バスケ

大東大・富山仁貴が淡路島で育んだ夢、「インカレ優勝」の先でバスケで生きていく覚悟

富山は高2での国体以外、全国の舞台を経験したことがない(撮影・全て松永早弥香)

第61回 関東大学新人戦 準決勝

3月12日@大田区総合体育館(東京)
大東文化大学 74-63 中央大学
決勝は3月13日15:00より 大東文化大学vs.筑波大学

大東文化大学と中央大学との新人戦準決勝で、大東文化大は序盤からリードをしたものの、第4クオーター(Q)開始30秒で1点差に迫られた。しかしそこから連続得点で逃げ切り、74-63で大東文化大が勝利。筑波大学との初の決勝に進む。

194cmの長身を生かして攻守で躍動した富山仁貴(とみやま・としき、大東文化大1年、淡路三原)は決勝を前にして、「筑波は身長が高くて能力のある選手がたくさんそろっているチームだと思うので、ペイント(エリア)をしっかり守ることを意識しながら、オフェンスは今日の試合よりも改善して挑みたいです」と意気込んだ。淡路島で生まれ育ち、高2での国体を機に高校以降も続くバスケ人生を思い描いた男が、新人戦初優勝、そしてその先にインカレ優勝を目指す。

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バスケ強豪校よりもずっと戦ってきた仲間たちと

小さい頃から背が高かった富山は友達の誘いで小4の時に地域のミニバスクラブに入り、中学ではバスケ部に入部。立った舞台は兵庫県大会までだったが、県内の高校から声をかけられていたという。バスケ強豪校に行けばウインターカップなど全国の舞台を経験できるかもしれない。だがそれ以上に「ずっと一緒に戦ってきた先輩たちや同期、後輩たちとバスケットがしたい」と思っていた富山は、地元・淡路島の淡路三原高校(兵庫)に進んだ。富山をバスケに誘ってくれた友達とは結局、小中高の9年間一緒に戦うことになった。

高校に進んだ当初は、バスケは高校で終えて大学で教員免許を取得し、教員をしながらバスケの指導ができたらと考えていた。しかし高1の秋、ジュニア世代の育成を目指したJBA主催のジュニアユースアカデミーに参加した時に、「案外、自分でもやれるところがあるんだな」と感じ、少しずつその先を思い描くようになったという。高2で国体メンバーに選ばれ、初の全国の舞台を経験。大学やその先でもバスケがしたいと明確に思うようになった。

全国の有力選手と接する中で、次第に自分も戦えるのではと感じるようになった

高3になるにあたり、富山は主将に就任。先生から「次のカテゴリーでもバスケットを続けるなら、もうちょっと外でもやれるような練習をした方がいい」とアドバイスをもらい、センターからパワーフォワードへポジションを変えた。だがチーム内で一番長身だったこともあり、特にディフェンスでは「自分がゴールを守る」という意識でチームを支えた。強豪の育英高校や神戸市立科学技術高校に勝ち、ウインターカップ予選でベスト16入りすることを目指していたが、ウインターカップ予選2回戦で甲南高校に敗れ、高校バスケを終えた。「一緒に戦ってきた仲間と挑む最後の大会だったのでやっぱり思い入れはありました」。悔しさはあったが、自分たちの持てる力を出し切れた試合だった。

「自信を持ってプレーしたらもっと光る」

「大学バスケで最もレベルが高い関東1部リーグのチームで、自分がどれほど通用するか試したい」と考え、大東文化大に進学。強豪チームでの練習は初ということもあり、富山には驚きの連続だった。「一つひとつのプレーの精度が高く、ルーズボールとか基礎的なこともしっかりしてて、技術も高い。そういう一つひとつがすごいなと思いました」

春のトーナメントの専修大学との5位決定戦で大学デビュー戦を飾ったが、「ずっと緊張していた」と富山。秋のリーグ戦で少しずつプレータイムを獲得していったが、12月のインカレはベンチ外だった。大東文化大はインカレ2回戦で東海大学と対戦。序盤にリードを許したが、第3Qに追い上げて第4Qで逆転。一進一退の攻防戦が続き、最後は東海大が2点差で逃げ切った。

手に汗を握る試合を応援席で見る悔しさ。だがそれ以上に、4年生たちが最後の大会で見せてくれた気持ちのこもったプレー、諦めない姿に圧倒された。この大会をもって4年生たちは引退。深渡瀬海(ふかわたせ・かい、4年、広島皆実)は富山に「もっとできるんだから、自信を持ってプレーしたらもっと光ると思うから、頑張って」とエールを送ってくれた。

富山(21番)はベンチにいる時も笑顔で仲間と接していた

「インカレ優勝」を経てプロの世界へ

例年、新人戦は春に開催されていたが、新型コロナウイルスの影響で2020シーズンは中止となり、2021シーズンは今年3月に延期して開催された。準決勝の中央大戦、相手は3ポイントで流れを作ってきたチームということもあり、富山はペイントエリア内も守りながら、3ポイントシューターにプレッシャーをかけることを意識して試合に臨んだ。西尾吉弘監督からの「もっと思い切ってやれ」という声かけを受け、ペイントエリア内にアタックし、バスケットカウントで3点をもぎ取るシーンもあった。第3Qで交代してからは仲間の得点を笑顔でたたえ、ベンチに戻ってきた選手を笑顔で出迎えた。

富山は大学4年間での目標として「インカレ優勝」を掲げ、その先にはプロを見据えている。「プロにいけたらいいな、ではいけないと思うんですけど、バスケをやっているからにはそれを職業としているプロは目標です」。高校入学時に思い描いていたバスケの指導者も視野に入れ、在学中に教員免許を取得しようとしている。

「インカレ優勝」の前に、まだ大東文化大が手にしていない新人戦のタイトルを狙う

大東文化大は2007年にトーナメント初優勝、17年にインカレ初優勝、19年にリーグ戦初優勝を果たしており、唯一とれていないタイトルが新人戦だ。今大会は棄権するチームが相次ぎ、筑波大は日本大学との1試合しか戦えていない。一方の大東文化大はこれまでの4試合を通じて培ってきたチーム力をもって決勝を戦えるという違いがある。

家族に限らず、地元・淡路島の人々が自分を応援してくれていることを富山も肌で感じている。高校時代にはまだぼんやりとしか描けていなかった未来を、ここからたぐり寄せる。

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