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大東大が筑波大を下し、新人戦初優勝 菊地広人「大会を通じてチームが1つになれた」

菊地主将は「どんな状況になってもディフェンスとリバウンドを徹底しよう」と言い続けながら今大会を戦ってきた(撮影・全て小沼克年)

第61回 関東大学新人戦 決勝

3月13日@大田区総合体育館(東京)
大東文化大学 68-55 筑波大学
大東文化大学が初優勝

今年度の大学シーズンを締めくくる大会となった新人戦を制したのは大東文化大学。コロナ禍の影響で辞退や棄権を余儀なくされたチームが相次いだ中でも、全5試合を戦い抜いた。大会を通して際立ったのは徹底したチームディフェンスとリバウンド。筑波大学との決勝でもそれを存分に発揮し、チーム一丸で初優勝をつかんだ。

大東大・富山仁貴が淡路島で育んだ夢、「インカレ優勝」の先でバスケで生きていく覚悟

徹底した守備意識で初の新人戦制覇

筑波大はスタメンに身長190cmオーバーを4人そろえてきた。第1クオーター(Q)は大東文化大のバトゥマニ クリバリ(2年、中部大第一)がその高さに対抗してゴール下から得点を伸ばすも、191cmの山内ジャヘル琉人(1年、仙台大明成)、194cmの富山仁貴(1年、淡路三原)がともに2つのファウルを犯してしまう。たが、大東文化大は怯まなかった。今大会の主将を務めた菊地広人(2年、藤枝明誠)は言う。「どんな状況になってもディフェンスとリバウンドを徹底しようという話をずっとしてきました」

大東文化大は相手の起点となる小川敦也(1年、洛南)と三谷桂司朗(2年、広島皆実)の縦のドライブをチームで守り、なるべくアウトサイドシュートを打たせてリズムを狂わせた。5点リードでスタートした後半も全員でリバウンド、ルーズボールに飛び込んで流れを引き寄せ、第3Q終了時点で55-41。オフェンスでは谷川海斗(2年、長崎東)の3ポイントシュートや富山のドライブ、最後はクリバリのダンクシュートも飛び出し、筑波大を68-55で振り切った。

クリバリ(中央)は攻守ともに力を発揮した

筑波大・三谷「徹底力の差が敗因につながった」

大東文化大は失点を55点に抑え、リバウンドでも筑波大と18本の差をつけての勝利。最多の13リバウンドを拾ったのはクリバリだが、彼がベンチへ下がっている間も球際の強さで勝り、178cmの菊地も6本のリバウンドを記録した。

大東文化大の堅守の前に屈した筑波大は1試合しか戦えない状態で決勝に臨んだ。三谷は「仕方ないことですけど、その分、体力面ではアドバンテージがあると思っていました」と話す。筑波大としてはけが人を抱え、試合勘の面でも万全な状態ではなかったと言えるが、それでも三谷は相手との徹底力の差が敗因につながったと悔しさをにじませた。

「大東さんはいつもチームディフェンスを徹底してやってくるので、ルーズボールやリバウンドの球際で負けないように意識していました。だけど、後半になるにつれて自分たちの弱さと大東さんの徹底力に差が出てしまって……。そこの差が今回の得点差にそのまま出たと思います」

筑波大は1試合だけで決勝となり、三谷(34番)は主将として難しい舵取りを任されることとなった

西尾HC「選手たちにとっても自信になる」

全5試合の平均失点はわずか51.6。大東文化大は初戦の早稲田大学戦から自分たちのスタイルを貫いて初の頂点に立った。「点差が縮まる時間もありましたけど、40分間誰が出ても徹底できたことが良かったです。大会を通じてチームが1つになれたと思います」と主将としてチームを牽引(けんいん)した菊地が確かな手応えを口にすれば、西尾吉弘ヘッドコーチもこのように選手たちをたたえた。

「ディフェンスはフルメンバーの時も同じことをやらせていますし、この子たちも練習中から徹底してやってくれているので、それがいいチームディフェンスにつながりました。優勝できたことは僕としても選手たちにとっても自信になりますし、上級生もこれで負けてられないという気持ちになると思います。新1年生も力のある子たちが入ってくるので、チーム内の競争率も上がるかなと思っています。僕としてもすごく楽しみです」

練習から徹底してきたディフェンスを武器に、大東大は初のタイトルを手にした

2年ぶりの開催に踏み切った新人戦をもって、大学バスケは今シーズンの全日程が終了。振り返ればスプリングトーナメントは日本大学、リーグ戦は東海大学、インカレは白鷗大学、そして新人戦は大東文化大とそれぞれ異なるチームが優勝を飾った。休む間もなく明ける新シーズンは、覇権争いが更に激化しそうな気配だ。

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