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木林優と小川敦也、U19W杯で知らされた世界の壁 新生・筑波大の大きな力に

U19ワールドカップを終えての思いを、木林(左)と小川にたずねた ©FIBA

FIBA U19ワールドカップ(ラトビア)が7月3~11日に行われ、日本は0勝7敗で最下位だった。木林優(筑波大2年、福大大濠)は大会を振り返り、「一番はコミュニケーション不足。コロナで一緒に練習できなかったのが一番大きかった」と言う。途中出場で流れを変える役割を任された小川敦也(筑波大1年、洛南)は、「どう流れを変えるのか、それまでの状況から考えて切り替える難しさがありましたし、個人としてもシュートやディフェンスの強度をもっと上げないといけない」と課題を口にした。

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身長220cmのビッグマンとの勝負

メンバーには大学1年生を中心とした12選手が選出された。身長2m以上の選手は5人、平均195.2cmと、従来の代表チームと比べると大型化が進んだが、世界が相手だと優位とはまだ言えない。佐古賢一ヘッドコーチ(HC)は身長203cmの木林を4番(パワーフォワード)から5番(センター)に変更し、ビッグマンとの勝負を求めた。その上で、「空いていたらドンドン外から打て」と木林に要求。佐古HCは2018年よりアンダーカテゴリーの指揮官を兼任しており、木林はその頃から佐古HCに指導を受けている。「『外のプレーを身につけた方がいいよ』と昔から言われていましたし、自分としても将来的に4番で勝負するためにも、自分がボールをもらった時は積極的に打つようにしてきました」と木林は言う。

初戦となったセネガル戦、日本は序盤こそリードしたが40-42と逆転され、前半を折り返す。その後も追いかける展開となり、残り1分半、木林が3Pを決めて69-71と2点差に迫った。しかしそこからシュートが決まらず、最終スコアは71-76。「試合前に相手選手の映像を見て備えていたんですけど、実際にマッチアップすると想像を超えていました」と木林。思うようにシュートが決まらず、競った展開で敗れたものの、「ああいう場面でみんなで声をかけ合いながら、モチベーション高くやれたのはよかったと思います」と振り返った。

2戦目のカナダはFIBAユースランキング2位の相手。特に木林は身長220cmのビッグマンとの勝負となった。木林はディフェンスに重点を置いて挑んだが、カナダはリバウンドをつないで得点を重ねる。第3クオーター(Q)で点差が開き、75-100で2連敗。それでも「思い切ったドライブとかはうまくいって自信になった」と収穫もあった。

木林(左)はビッグマンとの勝負を任された ©FIBA

大会を通じて、木林はディフェンススキルに課題を感じている。「相手のビッグマンにリバウンドをとらせないことが自分の役割だったんですが、当たり負けしてしまうこともありました。日本で自分よりも大きな選手は留学生に限られますし……」。木林自身はパワーフォワードで勝負したいという思いはあるが、筑波大のメンバー的にセンターとしても活躍できるよう、体作りから見直していく。その上で「リバウンドをとって、3Pとかゴール下を決めるという役割を全うしていきたい」と力を込めた。

ディフェンスやリバウンドに課題

木林は先発としても活躍した一方で、小川はベンチスタートとなった。大会前、小川は「優勝を目指して1試合1試合にこだわり、自分が試合に出る時は自分の役割を果たそう」と思い描いていた。試合の展開を見極めた上でコートに立ち、ボールプッシュなど速い試合展開に持っていくことで流れを変える。それが自分の役割だと感じていた。

敗戦が続いた5戦目・トルコとの9-16位決定戦、小川は9-19と点差が開き始めた第1Q残り4分でコートに立ち、ディフェンスリバウンドでチームに貢献。第2Qでもディフェンスからの速攻で流れを変えようとしたが、その第2Qで最大25点差をつけられ、49-97で敗れた。この試合で小川はチーム最多の8得点と5リバウンドをもたらした。

「トルコ戦は追い上げる展開でディフェンスリバウンドがとれていたので、流れをつかむきっかけにはなったと思います。ただトルコ戦に限らず、どの国と対戦しても高さや能力が劣っているという現実はあるし、その差を埋めるだけのディフェンスやリバウンドを強化していかないといけない。個人的にも特に、シュートやディフェンスの強度を上げないといけないと思っています」

トルコ戦で小川(中央)は攻守ともに活躍したが、流れを変える難しさを痛感した ©FIBA

洛南から京都ハンナリーズへ、精度と強度の差を実感

小川は昨年12月のウインターカップ準々決勝で足を捻挫し、洛南高校(京都)としての最後の試合を車椅子から眺めていた。洛南は続く準決勝で同じ京都のライバル・東山高校に敗れた。けがが癒えたのは今年2月中旬。小川は練習生として京都ハンナリーズに加入し、筑波大に合流するまでの約1カ月間、プロ選手の中でもまれた。「一つひとつの精度と強度が全く違いました。1つのミスに対しても突き詰めるなど、プレーに対してすごく考えていて、バスケに対する取り組み方を学ばせてもらいました」

筑波大でもまた多くの刺激を受けている。「筑波もみんなうまくて、誰が出ても強さが変わらないというのが特長だと思います」。同じポイントガードには中田嵩基(しゅうき、3年、福大大濠)がいる。中田もまたアンダーカテゴリーでの国際経験が豊富な選手であり、持ち前のリーダーシップを発揮し、仲間を生かすプレーでチームを支えている。一方、小川は洛南時代、状況に応じて1番(ポイントガード)から4番までこなすオールラウンダーとして鍛えられてきた選手だ。「嵩基さんはザ・ポイントガードというタイプで自分とは違います。でも嵩基さんはミスが少ないし、試合の状況に合わせて考えながらプレーしていますし、自分もポイントガードとしてリーダーシップを身につけたいです」と小川は話す。

U19W杯の経験をチームの力に

U19ワールドカップと同じタイミングで関東大学選手権(スプリングトーナメント)があり、日本大学が15年ぶりとなる優勝を果たした。小川が最後のウインターカップで負かされた日大ルーキー・米須玲音(東山)も、すでに大学バスケ界で存在感を示している。「これまで彼とマッチアップする機会はあまり多くなかったんですけど、大学バスケという舞台で戦えるのを楽しみにしています。コートに出ている短い時間でも自分の力を100%出せるよう、準備はできていると思います」。中学でも高校でも、あと一歩で日本一を逃してきた小川の日本一への思いは、誰よりも強い。

木林(右手前)らの世界での経験が筑波大の新しい力になる ©FIBA

そのスプリングトーナメントで、筑波大は準決勝で東海大学に敗れての3位だった。主将の半澤凌太(4年、福島南)は「小川の強みであるボールプッシュとかブレイクとか、スピードを生かしてどんどん点を取っているのを見ると、早くチームに合流して、大会での収穫をチームに還元してもらいたいなと思っています。小川だけじゃなくて、木林も浅井(英矢、1年、北筑)も」とU19ワールドカップメンバーたちに期待を寄せている。2年ぶり6度目のインカレ優勝を目指す筑波大にとって、新しい力の躍動は欠かせない。



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