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筑波大・半澤凌太主将「絶対に後悔しないプレー」の先に見据えるインカレ制覇

半澤は勝負どころで決め、チームに流れをもたらした(撮影・全て松永早弥香)

第70回関東大学バスケットボール選手権大会 3位決定戦

7月11日@ 越谷市立総合体育館
筑波大学 75-60 日本体育大学

筑波大学は関東大学選手権(スプリングトーナメント)準決勝で東海大学に59-72で敗れ、日本体育大学との3位決定戦に回った。序盤は日体大にリードを許したが、第2クオーター(Q)で逆転。第3Qで点差を広げ、75-60で筑波大が勝ち切った。「最後は勝てていい終わり方ができたのでよかったんですけど、やっぱり昨日は東海に負けてしまったので、リーグ戦とかインカレでまたリベンジしたいです」と主将の半澤凌太(4年、福島南)と答えた。

日大が15年ぶり11回目の優勝 ディフェンスを鍛え、米須玲音らルーキーが爆発
東海大が日大に敗れて準優勝 大倉颯太の分まで戦い、勝ち切れなかった悔しさ

一進一退の攻防戦

7月3~11日にFIBA U19ワールドカップ(ラトビア)があり、筑波大からは木林優(2年、福大大濠)と小川敦也(1年、洛南)、浅井英矢(1年、北筑)が選出され、今大会には出場できなかった。加えて身長200cmの井上宗一郎(4年、福大大濠)はけがを抱えた状態で今大会に挑み、筑波大はインサイドでの戦い方を変更。東海大戦は試合に負けたとは言え、八村阿蓮(4年、明成)や佐土原遼(4年、東海大相模)に対し、全員でインサイドの守りを固められたことは収穫だった。

迎えた日体大戦、日体大のムトンボ ジャンピエール(1年、東山)が206cmの長身を生かして攻守で活躍。先制点をあげるとリバウンドでもチームを盛り上げる。日体大はさらに、井手拓実(4年、福岡第一)が高速ドライブで筑波大の守りを切り崩しにかかる。筑波大は中田嵩基(3年、福大大濠)のゲームメイクで追い上げ、15-18で第2Qへ。

第2Qも始めは日体大ペースでゲームが進んだが、筑波大の半澤がインサイドに切り込んでファウルをもらい、フリースロー。半澤はこの2本をきっちり決め、23-23の同点へ。さらに浅井修伍(筑波大3年、福大大濠)が3Pを決めて一気に逆転。一進一退が続き、第2Q終了間際に三谷桂司朗(筑波大2年、広島皆実)がシュートを決め、36-34で試合を折り返す。

「三谷(右)は持ち前の身体能力を生かした思い切りのいいプレーで流れをもってきてくれる」と半澤は言う

日体大ボールで試合が再開され、バム ジョナサン(日体大4年、福岡第一)がゴール下を決めて同点へ。点を取ったら取り返すシーソーゲームとなり、バムのダンクで日体大は3点差にリードを広げる。攻防戦が続く中、筑波大は連続ポイントで逆に3点差でリードを奪うと、日体大がタイムアウトを要求。それでも筑波大の勢いは止まらず、半澤の3Pでベンチが沸く。さらに半澤は第3Q終了間際にシュートを決め、57-48で最終Qへ。日体大はペースを上げて追い上げを狙うが、筑波大は堅い守りを継続。最後に筑波大が突き放し、75-60で試合を終えた。

誰よりも声を出し、ハッスルプレーを

さかのぼると筑波大はこの大会において、2016~18年に3連覇を果たしており、19年は決勝で白鷗大学に敗れて準優勝。20年は新型コロナウイルス感染症拡大を受け、中止になった。今大会でももちろん優勝を目指していた。

主将の半澤は今大会を通じて、「ディフェンスでは東海大戦も含めてインサイドを封じられたんですけど、まだまだオフェンスの精度、シュートだったりシュートをつくるまでの過程だったりがチーム内で意思疎通できていないんで、これから強化していきます」と新たな課題を見つけた。半澤個人としては、日体大戦ではチームの流れを変えるところでシュートを決められたことに手応えを感じているが、それが東海大戦でも発揮できなかったことに問題意識を向けている。

二上(左)が調子が悪い時は半澤が、半澤が調子が悪い時は二上が活躍し、互いに助け合ってきた

半澤は2年生の時、当時4年生で主将だった牧隼利(現・琉球ゴールデンキングス)に「お前しかいない!」と言われ、新人戦の主将になった。そしてチーム全体の主将になった今、「牧さんは毎試合プレーで引っ張ったり、(去年の主将だった)菅原(暉)さん(現・群馬クレインサンダーズ)ならガードでチームをまとめてくれたりと、おふたりと自分はタイプが違います。自分はまず、誰よりも声を出してハッスルプレーをすることでチームを盛り上げていきたいです」と話す。井上や二上耀(4年、北陸)などの同期の存在は心強く、特に二上に対しては「あっちはどうか分からないけど僕は二上を信頼しているんで、どちらかが調子が悪い時はどちらかが支えています。でもお互いいい状態でゲームができたらもっといいチームになると思う」と言う。

U19を戦った後輩たちもチームの力

FIBA U19ワールドカップはライブ配信で試合を追っていた。2大会ぶりに出場した日本は7戦全敗での最下位になったが、世界の舞台で躍動する後輩たちの姿に半澤も刺激を受けている。「小川の強みであるボールプッシュとかブレイクとか、スピードを生かしてどんどん点を取っているのを見ると、早くチームに合流して、大会での収穫をチームに還元してもらいたいなと思っています。小川だけじゃなくて、木林も浅井も」。後輩たちの活躍は頼もしく、試合を通じて見えてきた彼らの強みを生かし、またここからチームを作っていきたいと考えている。

半澤(中央)は同期に支えてもらいながら、下級生の勢いも力に変えながら、チームを強くしていく

ラストイヤーの目標はインカレのタイトル奪還。昨年はエース山口颯斗(現・レバンガ北海道)の活躍もあり、筑波大は接戦を制して東海大との決勝に進んだが、57-75で敗れ、2連覇を果たせなかった。「最後は体力がなくなってしまい、力負けしました。戦術の部分も含め、技術もそうですけど体力も向上していかないといけないなと痛感しました」

インカレ優勝に向け、半澤が思い描いているのは「絶対に後悔しないプレー」。充実した練習を継続し、仲間と一緒にチームを作り上げ、万全の準備をする。最後のインカレで笑えるように、後悔のない日々を積み重ねていく。

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