東海大が日大に敗れて準優勝 大倉颯太の分まで戦い、勝ち切れなかった悔しさ
第70回関東大学バスケットボール選手権大会 決勝
7月11日@ 越谷市立総合体育館
東海大学 57-61 日本大学
日本大学が15年ぶり11回目の優勝
昨シーズンから公式戦負けなしだった東海大学は7月11日、関東大学選手権(スプリングトーナメント)決勝で日本大学に敗れた。接戦の末での敗北に、佐土原遼(4年、東海大相模)も八村阿蓮(4年、明成)も悔しさを隠しきれずにいた。陸川章監督は試合後、「日大さんの勢いにのまれてしまったところはありましたが、我々がやろうとしていたことはやれたと思っています。あともう少しのところまでみんながベストを尽くしてくれました。競ったゲームで勝てなかったのは監督の私の責任だと思っています」とコメントした。
日大リードで進み、シュートが決まらない
今大会のシード校だった東海大は7月6日に初戦を迎え、1日空けて8日から連戦で11日の決勝を迎えた。先制点をあげたのは日大の米須玲音(東山)とコンゴロー デイビット(報徳学園)のルーキーコンビ。身長205cm/体重105kgのコンゴローが続けざまにリバウンドをもぎ取り、東海大はなかなかペースをつかめない。第1クオーター(Q)を10-17で終え、第2Q開始1分半で17-17と試合を振り出しに戻したが、リードがとれない。
30-25で試合を折り返し、第3Qではまず八村がシュートを決める。さらに坂本聖芽(東海大4年、中部大第一)が粘り強いディフェンスで少しずつ東海大に流れを引き込む。30-30、ファウルを受けた佐土原にフリースローが与えられ、逆転のチャンス。しかし佐土原はフリースローを2本とも外し、続く八村のフリースローも決まらない。米須がフローターシュートを決めて日大が再びリード。日大が5ファウルとなり、一時は37-36で東海大がリードをとったが、飯尾文哉(日大3年、洛南)がすぐに取り返し、37-44で最終Qへ。
最終Qで佐土原がこの日、2本目となる3Pを決めて流れを作ろうとするが、すぐに飯尾が3Pを決め返す。残り3分58秒で若林行宗(日大4年、日大豊山)が3Pでのバスケットカウントで4点をもたらすと、8点差の48-56へ。東海大はタイムアウトも取りながら最後まで逆転を狙ったが、57-61で試合終了のブザーが鳴った。目に涙を浮かべてうなだれる佐土原に陸川監督が手を差し伸べた。試合中、佐土原は何度も足を伸ばすしぐさをしていた。陸川監督が「コロナ禍でトレーニングができたり休んだりでやってきて、4連戦してみんなの疲労、痙攣(けいれん)が出ていたので、それを見据えた準備が必要だった」と話していたように、選手たちはギリギリのところで戦っていた。
「この負けを単なる負けにしたくない」
試合を振り返り、陸川監督は「我々のペースにならなかったのはリバウンド。ディフェンスはしっかりできていたんですけどリバウンドが課題です」とコメントした。コンゴローにリバウンドを取らせないよう、八村はボックスアウトで対応していたが、コンゴローにパワー負けしてしまった。八村もまた疲労ゆえにベストコンディションでは挑めなかったが、「ベストコンディションにするのが僕の仕事」と受け止め、当たり負けしない体幹など体作りに意識を向けている。
佐土原も思いは同じだった。特にこの大会はけがで出られなかった大倉颯太(4年、北陸学院)の思いを受け継ぎ、佐土原はゲームキャプテンとしてチームを支えてきた。
「阿蓮も体を張ってくれていたけど、連戦で疲労もあって抑えきれないところがあって、阿蓮ができないところを自分が補っていかないといけなかったのに、自分がボックスアウトをするよりも自分のことに専念してしまいました。シュートも、チームの流れを作るきっかけとなるところでミスをしてしまいました。颯太がいる時は颯太がゲームキャプテンとして自分たちを引っ張ってくれたけど、今は自分や阿蓮がこのチームを引っ張っていかないといけないので、リーグ戦に向けてもう1回チームを作り直していくために、4年生がリーダーシップをとって、チームのスタンダードを上げられるようにいい練習をしていきたいです」
大倉はこの試合を観客席から見ていた。試合後、河村勇輝(東海大2年、福岡第一)は大倉にまず「ごめん」と言ったという。大倉はコートにこそ立てなかったが、スカウティングなどでチームを支えてきた。そんな大倉の思いを受け止め、選手は皆、大倉の分まで戦った。河村はなんとしても結果で恩返しをしたかったが、「最後しっかりとPGとしてまとめ、やり通せたら勝てた試合だったと思うので、本当にこの負けは一番自分に責任があると思っています」と自分に矢印を向けている。大倉から良かったところと悪かったところを指摘してもらい、素直に受け止めた。「くよくよしてもしょうがないので、負けてしまったことは素直に受け止め、この負けを単なる負けにしたくない」と言い切った。
東海大のアイデンティティーは「強固なディフェンス」。日大を61点に抑えた選手たちを陸川監督はたたえた。それでもあと一歩で勝利を逃した。この悔しさを何倍にもして返してみせる。