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特集:第72回全日本大学バスケ選手権

東海大が2年ぶり6回目のインカレV 津屋一球主将の「東海大を象徴する魂」を後輩へ

「強い東海を取り戻す」。その思いで津屋主将(中央)はチームを支えてきた(撮影・全て小沼克年)

第72回全日本大学選手権 決勝

12月13日@東京・国立代々木競技場第二体育館
東海大学 75-57 筑波大学
東海大学が2年ぶり6回目の優勝

2日連続の延長戦を制して大会連覇へ王手をかけた筑波大学と、オータムカップ2020覇者・東海大学によるインカレ決勝戦。試合は前半のリードを手堅い守備で守りきった東海大が75-57でものにし、2年ぶり6回目の優勝を飾った。

手堅い守備で反撃の芽を摘む

注目の立ち上がりは、互いの守備が目立った。両チームとも理想的なシュートが打てない状況が続き、開始4分間で0-2。東海大は津屋一球(4年、洛南)のレイアップシュートで4点を加点し、更には河村勇輝(1年、福岡第一)を投入して重い展開を変えようとする。すると、すぐさま河村が3ポイントとアシストで存在感を発揮。しかし、筑波大も山口颯斗(4年、正智深谷)の個人技と終了間際の3ポイントで食い下がり、第1クオーター(Q)は13-10で終了。

第2Q中盤、二上(右)は連続得点で流れを筑波大にもたらした

第2Q、東海大は松崎裕樹(2年、福岡第一)が2本の3ポイントを沈めて好スタートを切る。このままリズムに乗るかと思われたが、筑波大の二上耀(3年、北陸)に連続得点を許してしまう。それでも、中盤以降はインサイドから着実にスコアを伸ばし、守備では相手にタフショットを打たせて徐々に点差を拡大。終了間際には八村阿蓮(3年、明成)のバスケットカウント、オフェンスリバウンドから佐土原遼(3年、東海大相模)が押し込み、12点リードをつくって後半へ。

第3Qに東海大は一時19点差をつけることに成功。しかし中盤以降、二上の1対1に加え、相手が仕掛けてきたゾーンディフェンスに手を焼き、苦しい時間が続く。それでも、「ひとりで守るのではなく、みんなで守るようにと話し合いました」と津屋。その言葉通り、最後の10分間はスタイルであるディフェンスを締め直して反撃を食い止め、歓喜のタイムアップを迎えた。

ルーキー河村(右)は自らリバウンドをとりにいくなど、攻守ともに活躍した

今季2冠の裏に、津屋一球のキャプテンシーあり

東海大の陸川章ヘッドコーチ(HC)は、「今日はディフェンスの勝負になり、我慢比べだと思っていました。そんな中で、第2Qから少しずつディフェンスで流れをつくれたのが良かったですし、やはり前半のリードが大きかったと思います」と試合を総括。今年、チームのキャプテンを務めた津屋についての話が及ぶと、こんな言葉で称えた。

「彼の紹介文を書くことになった時、私は『東海大を象徴する魂』と書きました。それを表現してくれましたし、過去にもいろんなキャプテンがいましたけど、彼の『強い東海を取り戻す』というの意気込みがチームを勝利へ導いたと思います」

陸川HC(左)は今年の東海大において、津屋が果たした役割が大きかったと話す

陸川HCが言うように、津屋は新チームの主将に就くことが決まった際、まずは陸川HCのもとへ足を運び、「昔のような強い東海を取り戻す」と宣言した。津屋の頭の中に強く焼き付いている“強い東海”。それは中学生の時に見た、狩野祐介(現・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)が主将、田中大貴(現・アルバルク東京)がエースを担っていた姿だ。

この代の東海大もインカレで優勝しており、津屋は「それがきっかけで自分も東海にいきたいと思った」とも明かしている。歴史ある名門チームの主将という重責を担い、「最初は不安でしかなかった」津屋だが、4年生同士でどんな些細なことでもミーティングを重ねたことで、少しずつ自分が思い描くチームを完成させていった。

「チーム全員が『最高』と思えるチームづくりを目指しました。東海と言えばディフェンス・リバウンド・ルーズボールなので、練習ではそこをフォーカスして取り組んできましたし、今の東海はベンチも常に明るく、意思疎通もできています。明るく、楽しいチームをつくれたと思っています」

取り戻した“強い東海大”。その強さを象徴する魂は、後輩へと引き継がれる。

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