新人戦前回覇者の東海大が初戦敗退 黒川虎徹主将「自分の力不足です」、雪辱を誓う
第61回 関東大学新人戦 3回戦
3月10日@駒沢オリンピック公園総合運動場体育館(東京)
東海大学 51-69 中央大学
1・2年生のみのチームで争う関東大学バスケットボール新人戦が2年ぶりの開催に踏み切った。3月10日の大会4日目、前回大会覇者として登場した東海大学だったが、中央大学に敗れ無念の初戦敗退。「自分の力不足です」。今大会の主将を務めた黒川虎徹(2年、東海大諏訪)は自らを責めた。
連覇狙った初陣は後半に失速
大会3試合目の中央大に対し、東海大はこれが初陣。確かに初戦の入りは難しい部分がある。だが、この大会へ向けて相応に練習を重ね、1カ月前からは上級生たちを交えた中でも黒川が全体の主将となって照準を合わせてきた。
前半は25-25。ロースコアながらディフェンスに重きを置く東海大としては決して悪い出来ではなかった。しかし、「前半でやれないことはないと分かったので、後半はもっと強気に攻めようと話していました」と中央大の内尾聡理(2年、福岡第一)が言うように、相手も同点で試合を折り返したことで手応えをつかんでいた。
その言葉通り、第3クオーター(Q)に入ると中央大は蒔苗勇人(2年、明成)の連続3ポイントを皮切りにペースを握り、走力でも東海大を上回る。シュート精度が上がらず徐々に引き離されていく東海大。オフェンスリバウンドを試みても相手の執着心が勝り、空中でボールを弾かれ、そこから走られる展開が続く。
第3Q終了時点で11点差。劣勢な時こそ盛り上げなければいけないベンチも重い雰囲気が漂ったままだった。試合終盤は西田公陽(2年、福大大濠)の3ポイント攻勢で追い上げを図った東海大だったが、一度崩れた流れは最後まで立て直すことはできなかった。
司令塔・黒川「相当悔しかった」昨季からの挽回を誓う
51-69。試合終了の瞬間、東海大の0番はスコアボードで現実を受け止め、腰に手を当て、下を向き、首を横に振った。
「この点差を見て分かるように、中央さんが自分たちのやるべきことをやって、逆に自分たちはやるべきことをやらなかった結果だと思います」
チームとしては東海大のアイデンティティーである「ディフェンス・リバウンド・ルーズボール」を徹底して勝利を手にするはずだった。けれど、流れが悪い時間帯にディフェンスよりもオフェンスにフォーカスしてしまったことが敗因につながったと黒川は分析する。陸川章ヘッドコーチ(HC)も「自分たちが何にフォーカスすべきかというのができなかった」と同様の意見を述べ、「ミスをしてしまった時にそれにとらわれてしまって、チームとしてやらなければいけないこと、例えばディフェンスであったりしっかりパスをつなぐことであったりことが少しルーズと言いますか、リズムが合っていなかった気がします」と続けた。
主将として初戦に臨んだ黒川は、周囲を束ねるリーダーシップがあり、広い視野を駆使したゲームコントロールや得点力も兼ね備えるポイントガードだ。しかし昨シーズンは春先やリーグ戦の序盤こそセカンドユニットとしてプレータイムを得ていたが、リーグ戦終盤からインカレの期間はベンチにすら入ることができなかった。
「あまりみんなには見せてないですけど、相当悔しかった」
黒川はそう言って本音を漏らした。東海大は大倉颯太(4年、北陸学院、千葉ジェッツへ)、3月末に中退する河村勇輝(2年、福岡第一、横浜ビー・コルセアーズへ)という強力なポイントガードが抜けた。だからこそ黒川にとっては「チャンス」であり、「今日ここで自分の実力を示そうと思った」
この試合では前半こそ自身の能力を随所に発揮していたが、やはり後半はチームと同様に影をひそめてしまった印象は否めない。黒川の言葉からもその悔しさが十分に伝わってきた。
「チームとして注目されているのにもかかわらずこの結果というのは、キャプテン、ポイントガードとしてチームを勝たせてあげられなかった自分の力不足です。チームをもっと鼓舞して、一人ひとりが何をやるべきかを明確にさせてあげられなかったことが反省点ですし、これから一回りも二回りも成長しないと上のレベルではやっていけないと思いました」
それでも最後は、「逆にここまで何もできなかったことが、これからプラスになるんじゃないかなと考えています」と黒川は前を向いた。ディフェンス、シュート精度、バスケットIQなど、高めていかなければいけない課題は山ほどあるが、「この悔しさを次のシーズンで発揮できたらなと思います」と雪辱を誓う。
昨年までの主力がごっそり抜け、新たなスタートを切った東海大。チーム浮上の鍵を握るその1人は、黒川虎徹で間違いない。