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特集:第73回全日本大学バスケ選手権

大東大が東海大に2点差で敗退、星野京介主将の笑顔と涙「一番いい試合ができた」

星野(右)は大東大の主将として、プレーでも言動でもチームを支えた(撮影・全て小沼克年)

第73回 全日本大学選手権大会 2回戦

12月8日@国立代々木競技場第二体育館(東京)
大東文化大学 63-65 東海大学

2回戦でこのカードが組まれたのはあまりにもったいなさすぎた。そう思える素晴らしい試合だった。今季の対戦成績1勝1敗の東海大学と大東文化大学によるインカレ2回戦は、ラストプレーまで目が離せない激闘の末、63-65でタイムアップ。勝ったのは、大会連覇がかかる東海大だった。

主将として貫いた笑顔

大東文化大は第3クオーター(Q)中盤で2桁リードを保たれる苦しい展開を強いられた。だが、決して諦めることなく、粘り強い守備で相手の攻撃を防ぐと、このチャンスから連続得点を奪って反撃開始。第4Qの序盤には星野京介主将(4年、中部大第一)の3ポイントシュートで一時逆転に成功した。

その後は一進一退の攻防となり、試合終了残り7分10秒で51-52。ここで、東海大はスタメンの5人を戻してきた。ここからが本当の勝負であり、1つのミスが命取りになる。しかし、この状況でも大東文化大の主将は試合を楽しむことを忘れず、たとえ仲間が連続でフリースローを外したとしても満面の笑みで振る舞った。

星野(右)は笑顔でチームメートの背中を押し続けた

「キャプテンとして自分が一番コミュニケーションを取らないといけないですし、この大会は『最後まで笑顔でやろう』と自分の中で決めていたので、そこは意識してプレーしました」

2点を追いかけるラストプレー、大東文化大は司令塔の中村拓人(3年、中部大第一)が自ら切れ込んでレイアップを放ったが、望みを託したボールは八村阿蓮(東海大4年、明成)のブロックショットに阻まれた。試合終了。この瞬間、星野の笑顔は涙に変わった。

試合終了の瞬間、星野(左端)は涙を堪えきれなかった

「試合に負けた悔しさもありましたし、4年間色々あったので。それが込み上げてきて、チームを勝たせられなくて……」。試合後のミックスゾーンでは涙は流さなかったが、星野の目は真っ赤なままだった。

嬉しさと悔しさが「半分半分くらい」の4年間

「1、2年生の時はなかなか試合にも出られず、出てもチームの中心というわけではなかったです。人のせいにしてしまったこともありましたし、『なんで試合に出れないんだろう』と色々考えた時期もありました」

星野にとっての大学バスケ生活は、嬉(うれ)しさと悔しさが「半分半分くらい」の4年間だったと笑みを浮かべて振り返った。昨年からは主力としてコートに立つようになり、持ち前のリーダーシップを買われて副将も務めた。しかし主将に就任した今季は思うような成績を残せず、スプリングトーナメントで6位、リーグ戦では東海大に勝利するも8位という結果に終わり、「チームと引っ張る立場としては、すごい責任を感じています」と悔やしさをにじませる。

主将としての責任を胸に、星野(右)は最後まで全力で戦いきった

学生最後の試合となったインカレも、結果だけみれば2回戦敗退かもしれない。ただ、東海大を最後の最後まで苦しめた。星野は「悔しい気持ちが強いですけど、今シーズンやってきた中で一番いい試合ができたかなと思ってます」と話し、そして最後は胸を張ってこう答えた。

「次の舞台に行って、この悔しさを晴らしたいと思います」

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