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宇都宮・遠藤祐亮 大東大時代「練習中も高い意識で」、プロを目指す学生へエール

大東大時代に鍛えたことが今の遠藤のベースになっている(c)TOCHIGI BREX INC.

Bリーグでは東地区と西地区に分かれ、両地区の上位チームがチャンピオンシップに出場し、その年の王者を決めるというシステムを採用している。2020-21シーズン、東地区優勝を決めた宇都宮ブレックスは、Bリーグが開幕した16-17シーズン以来となる優勝を目指している。

その宇都宮の中心選手のひとりである遠藤祐亮(31)は、ベストディフェンダー賞を2回、最優秀選手賞を1回獲得した経歴を持つ。宇都宮の下部組織であるTGI D-RISEに所属し、そこからコールアップという形でトップチームに所属することになった、宇都宮の生え抜き選手である。

宇都宮・比江島慎 「とにかく厳しい」青学大時代、王者が抱えた葛藤

ルーキー時代から活躍、友と過ごした大東大での4年間

強豪・市立船橋高校(千葉)を経て、大東文化大学に進学。「体の使い方や仕組みを学び、バスケに生かせる学部」という思いからスポーツ科学科を選んだ。

大東大は2017年にインカレ初優勝を果たすなど、大学バスケ界で存在感を示しているが、遠藤が在籍していたころは関東1、2部リーグを行き来していた。1年生の時からスターターに名を連ねていた遠藤にとって、西尾吉弘監督の存在は大きかったと振り返る。西尾監督は選手と年齢が近かったこともあり、それが話しやすく信頼関係が高いチームにつながった。3年生の時に関東リーグ2部で優勝し、1部昇格を果たしている。昇格がかかっていたこの一戦が、大学4年間で最も記憶に残っている試合だ。

練習中から試合を意識する。大東大時代から遠藤が実施してきたことだ (c)TOCHIGI BREX INC.

授業の合間には図書館に行ってバスケに生かす勉強をしたり、空いた時間には体育館で練習をしたりと、バスケ中心の生活を続けた。遠藤の強みである3Pシュートとディフェンスは大学からの積み重ねで完成されたものだ。練習でも試合を意識してシュートを打ち、ディフェンスに関しては「チームのルールもあると思うが、気持ちの部分が大きい。試合中も練習中も高い意識でプレーすることが大事」と言う。

試合がない日も寮のチームメートの部屋に集まったり一緒に出かけたりと、多くの時間をチームメートと過ごした。「大学卒業後も連絡をするし、会うこともある。(寮は)かけがえのない友人と出会えた場所で、プロでの悩みごとも友人に相談することで解決することもたくさんあった」と振り返る。また、スポーツ科学科の同期とも親交を深められたことはいい思い出だ。

プロを目指す後輩たちへ

大東大を卒業して早9年。後輩たちの試合を直接見ることはできていないが、試合結果は気にかけている。「後輩のみんながインカレなどでいい結果を残していることはとてもうれしいです」と遠藤。Bリーグの舞台でも先輩・後輩の絆(きずな)は続いており、「バスケの慣習で後輩が先輩に挨拶するというものがあるんですけど、自分と学年が重なっていなかった選手なども挨拶してくれます。中村くん(拓人、大東大3年、中部大第一)も挨拶に来てくれましたね」とうれしそうに明かしてくれた。

大東大を卒業した今も、後輩たちとの絆はつながっている (c)TOCHIGI BREX INC.

昨年は大学バスケも新型コロナウイルスの影響を受け、多くの大会が中止になった。各大学ではそれぞれが目指す舞台に向け、感染症対策をしながら練習を続けている。そんな学生たちへ、遠藤は「バスケだけでなく(対面)授業もできないこともテレビで見て知っているし、そんな中で部活と学問を維持するのは大変なことです。学生期間の限られた時間や試合などの機会を思うように過ごせないことはとても悔しいと思う。だけど自分が大学生活で得たものはバスケだけでなく、友人と過ごすということでした。バスケも大切だけど、友人も大事にしてほしいです」とエールを送った。

プロを目指す上で、遠藤は「才能や身体能力など、プロになる上で必要な能力を元々持っている選手もいる。その選手に勝つためにはその選手以上に努力する必要があるし、自分の努力に満足せずに向上心を持って努力することが必要。その選手を目標にするのではなく、自分がどのように成長したいかを考える」と言う。特に試合に出られない選手へ、「自分に足りないものが必ずある。試合に出られなかったとしてもふてくされず、自分と向き合うことが大事」とアドバイスをしている。

日本一に向けて「勝ちきる」

日本一を決めるチャンピオンシップは5月13日に開幕する。東地区覇者として挑む遠藤は「1試合1試合に集中し、勝ちきる」と力を込めた。

宇都宮は16-17シーズン以来となる優勝を目指している(右端が遠藤)(c)TOCHIGI BREX INC.

「比江島(慎)のオフェンス力と、泥臭く戦い抜くチームディフェンスに注目してほしいです。ブレックスの強みであった『声』による応援は、今は時期的にできないですけど、手拍子など観客の皆さんの気持ちは選手たちを後押ししてくれています。今しか聞くことができないかもしれないコートでの選手の声などに注目して、試合を見ていただけるとうれしいです」

宇都宮の勝利のために、遠藤は飛躍を止めない。

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