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大学スポーツ新聞記者が交流 早大・花田勝彦駅伝監督も駆けつけ取材手法をアドバイス

学生スポーツ新聞の交流会に参加した学生ら(すべて撮影・松﨑敏朗)

大学スポーツ新聞の記者が、学校の垣根を超えて交流するイベントが3月13日に朝日新聞東京本社でありました。4years.の呼びかけに集まってくれたのは、8校で活動する15人。早稲田大学競走部駅伝監督の花田勝彦さんをゲストに招いたトークセッションのほか、グループワークも通して交流を深めました。

昨年に引き続いて2回目の交流会に参加してくれたのは、立命スポーツ編集局、青山スポーツ新聞編集局、駒大スポーツ新聞編集部、スポーツ法政新聞会、中大スポーツ新聞部、立教スポーツ編集部、明大スポーツ新聞部、帝京スポーツ新聞部の計8大学15人。

花田監督は、滋賀県立彦根東高校を卒業後、早稲田大に進学。櫛部静二さん(現・城西大学男子駅伝部監督)、武井隆次さんとともに、「早大三羽烏(さんばがらす)」と呼ばれて人気を集めました。3年時には箱根駅伝で4区を走り、区間新記録をマークして総合優勝に貢献。卒業後は、エスビー食品で競技を続け、1996年のアトランタ・オリンピック、2000年のシドニーオリンピックにそれぞれ出場。現役を引退した後は、上武大学駅伝部を率いて箱根駅伝初出場を果たしたほか、GMOインターネットグループでも指揮を執り、指導者としても活躍の場を広げてきました。この日は、アスリートと監督双方の立場で多くの取材を受けてきた立場から、取材する記者に求められる姿勢などについて語ってくれました。

学生スポーツ新聞の記者に取材の方法などについてアドバイスを送った花田勝彦さん

まずは元気にあいさつを

取材時に心がけてほしいことを聞かれた花田監督が挙げたのは、基本中の基本とも言える元気なあいさつ。「グラウンドを訪れた際に元気よくあいさつしてくれると『頑張ってね』という気持ちになれます」と強調。その一方で、あいさつせずに取材を始めて、いつの間にか帰ってしまうと、「心理的には『もう、来ないでほしいな』と思ってしまうこともある」とも話していました。そして、チームの取材では監督、主将、主務といったキーパーソンと関係性を構築する大切さを挙げました。

チームがピリピリしていたり、大事な大会の選手選考があったりと、いつもと違う雰囲気を感じた時には、その場で無理に取材しようとするのではなく、少し時間をおくか「いま、大丈夫ですか?」と一声かけてほしいとアドバイス。「選手たちは取材されるとうれしくなって、気が緩んで集中が切れてしまうこともあります。そういう時には、タイミングを考えて取材してもらえれば」と話していました。取材対象が同じ大学の学生ということもあって仲が良くても、レース前に話しかけてしまうと、緊張感が切れてしまうこともあります。このため、前もって試合前に声をかけていいかどうかを確認しておくことも大事だと教えてくれました。

花田さんと井上編集長のトークセッションに耳を傾ける参加者

一歩先の話を聴くためには事前準備が大切

取材前の下調べの大切さも強調。「インターネットで検索すると、過去の経歴なども分かります。事前に調べておけば、他の媒体とは違った一歩先の話も聞けると思います」と助言しました。

話が進むうち、情報発信する立場からも花田監督のアドバイスがあがりました。現在、花田監督は「早稲田大学競走部駅伝強化プロジェクト」と銘打ったクラウドファンディングを実施しており、3月までに寄付総額2千万円を目指しているといいます。多くの人に注目してもらうために情報発信にも力を入れていて、活動報告を送る時にも、ただ競技の成績を送るのではなく、その時のチーム内のトピックを盛りこんで、関心を持ってもらう仕掛け作りを心がけていることも説明。箱根駅伝が近づくにつれて関心が高まっていくことに着目し、タイミングを合わせて情報を出してきたことも話ながら「結果報告だけではなく、みなさんも何か感じたエッセンスを載せてみてください」と呼びかけました。

花田さんが考える大学スポーツ新聞の価値とは?

学生時代、早稲田スポーツの取材を受けたことを「大きく取り上げてもらい、すごくうれしかった記憶があります」と振り返り、記事になることがモチベーションにつながっていた、と語った花田監督。大学スポーツ新聞が持つ価値について聞かれると「自分たちの大学を応援する新聞なので、チームの盛り上がりや選手のやる気につながることが大事だと思う」と回答。多くの競技で選手が減っている現状を踏まえ、「マイナースポーツの魅力を紹介してもらえれば、競技人口の増加につながることもあるかもしれません。そういう役割も果たしてほしいです」と期待を込めました。大手マスコミが、トップレベルのスポーツを中心に取材するのに対し、学生スポーツ新聞は自分の興味を大事にできることに注目。「学生も取材してもらうことで成長します。いろいろ失敗することもあると思いますが、いろいろなことにチャレンジしてください」と語っていた。

今後、取材したいアスリートたちについて熱いプレゼンも繰り広げられました

取材したいアスリートたちを通して交流も

花田監督とのトークセッションの後、学生スポーツ新聞の記者は、四つのグループに分かれて、それぞれが「いま取材したいアスリート」について情報を交換。それぞれが、いま、注目している選手やスタッフを挙げるとともに、その理由、選手の特長などを解説。その後、各グループの「代表選手」を決めて、記者のみなさんがプレゼンしました。女子ラグビー、駅伝、野球、フィギュアスケートなど、グループによって選んだアスリートの競技はさまざま。そのアスリートに初めて着目したきっかけや華々しい成績、これまでの経歴や魅力をあますところなく伝えようと、プレゼンにも熱がこもりました。もしかすると、今後、4years.の中で記事化されるかもしれません。グループワークを終えた後も、参加者は大学の垣根を超えて取材方法などについて積極的に情報交換していました。

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