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4years.の井上編集長が早大コーチサミットで講演 「取材したくなる選手」とは

「学生スポーツとメディア 取材したくなる選手とは」と題して講演した井上翔太編集長

早稲田大学の体育会で指導に取り組む監督やコーチを集めた「コーチサミット」が7月6日、戸山キャンパスで開かれました。野球部の小宮山悟監督ら、約50人が聴講する中、4years.の井上翔太編集長が、長年、大学スポーツを取材してきた視点から「学生スポーツとメディア 取材したくなる選手とは?」をテーマに講演しました。

4年間にかけた情熱をユーザーに届ける

コーチサミットは、早稲田大学競技スポーツセンターが年に2回開催しています。スポーツテクニックやマネジメント、栄養学など、多岐にわたるトピックの課題や情報を共有するのが目的です。今回は、大学スポーツに特化した4years.の運営から見えてきた大学スポーツの魅力を指導者に伝えるため、井上編集長が講師に招かれました。

井上編集長は、早稲田大を卒業して2008年に朝日新聞社に入社し、キャリアの大半をスポーツ部で過ごしてきました。プロ野球の担当が長く、21年の東京オリンピックでは野球とソフトボールを取材し、両チームの金メダル獲得も報じました。23年4月から4years.の編集長となり、選手への取材、記事の執筆、SNSの運用なども手がけています。

4years.のコンセプトを「社会人になってもスポーツを続ける選手は、ごく限られているので、4年間にかけた情熱を少しでもポジティブな形で情報として届ける」こと、と説明した井上編集長。試合の勝敗だけではなく、その裏側にあるストーリーを大切にしていることも強調し、アメリカンフットボールの関西学院大学ファイターズ副将・衣笠吉彦選手(当時)の記事「関西学院大学WR衣笠吉彦 『合わなかった』ファイターズ、最後の立命戦前のパーマ」)を紹介しました。

選手のストーリーを掘り下げ、前例なき選手に注目

今年2月に配信した、この記事は、「チームに合っていなかった」と語る衣笠選手の4年間を追いかけたもので、内面を深く掘り下げ、抱えている思いを記事にした好例として解説しました。このほか、前例にとらわれずに挑戦するアスリートが、メディアの関心を集めることにも触れて、具体例の一つとして、文武両道に挑戦する東京大学水泳部の松本恭太郎選手の記事「東京大学・松本恭太郎 伸び悩み、モチベ低下のとき『水泳の楽しさ』教えてくれる仲間」を取り上げました。松本選手は、高校時代、インターハイの出場記録を上回りながらも、競技に区切りをつけて受験勉強に専念した経験を持っています。記事では、大学入学後に再び水泳に取り組み、インカレに出場するまでの姿を描きました。井上編集長は、記事を通して「彼らができるんだったら、自分も頑張ってみよう!と思う高校生が現れるかもしれません」と語りました。

このほか、国際大会やプロ野球のドラフト会議があると、注目選手を調べるため、検索エンジンを経由した訪問者数が増える傾向があるほか、記事に過激なタイトルをつけたり、対立をあおったりすることがないよう、注意していることなど、ウェブメディアを運用する上で大切にしていることも明かしました。

指導する学生の中にいる「推し選手」について話し合った監督やコーチ

講演後、一部の指導者はグループワークに参加。4~5人で1グループとなり、指導する選手の中に、前例がない挑戦をしているアスリートがいないかどうかを話し合いました。最後には、グループ内の「推し選手」として1人に絞り、選手の特長などを発表しました。

横の連係を作り「最強の早稲田」に

サミットには、早稲田大と基本協定を結んでいるアシックスジャパンから西島拓郎さんも登壇しました。西島さんは、早稲田大の野球部出身で、現在は同社のスポーツマーケティング部で早稲田大との窓口役を担っています。アシックスの社名の由来、創業理念といった企業としての来歴を説明し、今では、グローバルに展開して大きく業績を伸ばしている現状も説明。「今までできていなかったことにも一緒にトライしていきたい」と話しました。

「若い指導者で横の連携を作っていけば化学反応が起き最強の早稲田が出来上がると信じている」と語った競技スポーツセンターの石井昌幸所長

開催した競技スポーツセンターの石井昌幸所長は「若い指導者で横の連携を作っていけば化学反応が起きると思う。そうすれば、最強の早稲田が出来上がると信じている。そのために、この場を使ってほしい」と話していました。

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