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拓殖大・岡田侑大が58得点をマーク、苦境で奮闘する背番号1のエース

拓大の岡田はこの試合、一人で58点をあげた

関東大学リーグ男子1部第6節

9月12日@筑波大中央体育館
拓殖大(1勝5敗)118-119 白鷗大(5勝1敗)

王者が苦しんでいる。拓大は昨秋、31年ぶりに優勝。そして今春の新人戦で26年ぶりの頂点に立った。原動力は昨年入学してきたセネガル出身のゲイ・ドゥドゥだった。203cmの長身ながらアウトサイドシュートも得意なドゥドゥが、得点王として引っ張った。

このリーグ戦でも、当然彼を軸に戦うはずだった。そのキーマンがリーグ開幕を前にチームを離れる。ドゥドゥと同学年で躍進を支えてきた岡田侑大(ゆうた、2年)が得点王争いを独走する一方、チームは第5節まで1勝4敗だった。そして迎えた第6節、白鷗大との一戦はオーバータイムの末、1点差で2勝目を逃した。

久々にリードして折り返す

岡田は序盤から誰よりも速くコートを駆け抜けた。岡田の16得点が効き、拓大は7点をリードして第1ピリオドを終えた。過去5戦はすべて第1ピリオドでリードを許してきた。ここでの差が大きかっただけに、「今日は違うぞ」というムードが広がっていく。拓大が岡田や多田武史(3年)というアウトサイドシューターを生かすのに対し、白鷗大はブラ・グロリダ(195cm/1年)のインサイド勝負。拓大の7点リードは変わらず、前半を折り返した。

そして第3ピリオド、白鷗大のディオップマムシェッハイブラヒマ(210cm/3年)が流れを変えた。リバウンドをことごとくもぎ取り、2本のダンクを決める。攻守でインサイドを支配した。一度は逆転を許した拓大だが、岡田と多田のプレーがさえ、3点リードで4ピリオドへ。だがここから白鷗大のインサイドプレーを防げず、オーバータイムへ。最後は逆転をかけた岡田のシュートが外れて、5敗目を喫した。

岡田はガードとしてゲームメイクをしつつ、アグレッシブにゴールへ向かう

これで拓大はリーグ戦全22試合中6試合を終えた。1勝5敗の11位。得点王争いでは、この試合で58得点した岡田が212点と、2位の増田啓介(筑波大、125点)を大きく引き離した。総得点の509は日大の515に次いでリーグ2位だが、総失点612はダントツのリーグワースト。これでは勝てない。多田と岡田ぐらいしか試合経験の豊富な選手がおらず、攻守の歯車がかみ合っていないのが現状だ。

「チームで戦おう」

拓大の池内泰明監督は言った。「選手のほとんどが試合未経験者で、まだ地に足がついていない。せっかく点を入れても、その後のディフェンスがちょっとルーズなところがある。守り方を試合の中で覚えていかないと。自分の中でうまく調整できるようになれば、もっと強くなれる」。そして白鷗大戦について、「今までの敗戦とは違う一歩を確実に踏めた」と語った。

さまざまなスタイルのディフェンスを組み合わせて相手のリズムを崩し、アウトサイドシューターを生かしてリズムをつかむ。それが拓大の目指すスタイルだ。前半をリードして終えた部分をはじめ、試合を追うごとに改善されてはいると池内監督は受け止めている。

岡田は今シーズンここまでを振り返って言った。「前半はいつもいい感じにプレーできるんですけど、後半は本能のままというか、何も考えずにやってしまうので、冷静に判断できなくてミスするケースが増えがちなんです。いままではドゥドゥとふたりで得点を担ってきたのが一人になって、『自分がやるしかない』という気持ちが強すぎて。身体がついていかなくて苦しい時間帯もありましたけど、多田さんや小室さん(小室望海・3年)もカバーしてくれてます。苦しいリーグ戦になるでしょうけど、意味のある戦いになってると思います」

拓大ベンチからの声は、試合開始早々から勢いがあった。シュートが入るたび、ブロックを決めるたび、立ち上がって声を送る。選手がベンチに戻ってきたらハイタッチで迎えるのはもちろん、選手をコートに送り出した後は、ベンチのメンバー同士で気合を入れ直し、一段と大きな声を送る。拓大のこうしたバックアップは昨年からだそうだが、この日のタイムアウトの際に聞こえた「チームで戦おう」という声はきっと、今シーズンの苦しみの中で生まれたものだろうと感じた。

拓大ベンチには常に勢いがあった

岡田の背番号は昨年2番だったが、今年は1番を選んだ。2番だった理由は、バスケを始めるきっかけとなった父親がクラブチームでつけていた番号だったから。1番にした理由を尋ねると、「飽きたから」とひとこと。関西人らしい返しについ笑ってしまったが、本当の理由があった。小学2年からバスケとともにやっていた野球が関係している。「1番はエース番号じゃないですか。だから1番って好きなんですよ」

自分は拓大の真のエースにならないといけない。2年生ながら、岡田はその自覚に満ちている。苦しみの中でどう成長していくのか、注目していきたい。

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