アメフト 真っ向勝負で散った京大
関西学生リーグで名勝負を繰り広げてきた関学と京大の「関京戦」だが、2005年以降は関学が勝ち続けている。ライバル対決は、勝敗だけ見れば、すっかり色あせた。
今シーズンも関学が開幕4連勝でこの日を迎えたのに対し、京大は2部から上がってきたばかりの神戸大と近大に負けて2勝2敗。力の差は明らかだが、関学サイドには「こういうときの京大こそ怖い」との声もあった。果たして、京大は最もシンプルな中央突破にすべてをかけ、散った。
対関学戦14年連続の敗戦
5人のOL(オフェンスライン)が関学ディフェンスを相手に渾身(こんしん)のブロックを繰り返し、エースRB(ランニングバック)#20佐藤航生(4年、藤島)とRB#17植木宏太郎(3年、高槻)がその穴を駆け抜けた。とくに植木はほとんど中央付近ばかり14回のランで、90ydを稼いだ。最後まで関学に手を焼かせた。
ただ、いかんせんパスが決まらない。ゴール前までいっても、タッチダウンを狙うのに有効なプレーがない。中央のランだけで勝たせてくれるほど、関学は甘くない。きっちりと力の差を見せつけられて、対関学戦14年連続の敗戦となった。
1992年から関学を率いる鳥内秀晃監督は言った。「現役のヤツらに言うてるけど、分かりよらへん。『京大はもう2敗してるけど、ウチに対しては違うで』って。やっぱり、京大はえげつない執念できよったがな。ウチの学生らは京大のファイティングスピリットを見た。それは今後のために、ええ勉強になったんちゃうか」。関学の選手たちは「気迫が違いました」「絶対に関学を倒すっていう、ものすごい当たりでした」と京大を評した。
くるか、RB植木の逆襲
「関学だけには負けられない」という思いが、いまも京大にしっかりと根付いているのことをうかがわせる戦いではあった。一方で関学相手にその戦いができるなら、なぜもう2敗もしているのか。京大ギャングスターズの苦悩は深い。
ただ、RB植木が今後チームを勝たせるRBになっていったとしたら、この関学戦は、彼にとって節目になった試合と言えるのかもしれない。高槻高時代は味方のOLが強かったこともあり、ボールを託されれば独走タッチダウンというスーパーランナーだった。1年の浪人生活を経て京大に入り、けがにも泣いて、ほとんど活躍できないまま3回生まで来た。この日の力強く粘り強い走りは、このまま終わらないという宣言だったのか。
ひとり、京大で気になった選手がいた。WR(ワイドレシーバー)#21原田陽平(4年、浜松北)だ。チームのベストアスリートながら、今シーズンここまで目立った活躍がなく、この日もフィールドには立たなかった。試合前の練習時から仲間に向かって叫び続けた。「関学だぞ」「Beat KG」。ほんとうに、ずっと叫んでいた。4回生の原田にとって、そして2018年の京大にとって、残りのリーグ戦は2試合になった。