108代目の同志社ラグビーに幕
全国大学選手権出場を逃し、同志社にとってこれが今シーズン最後の試合となった。ところどころミスはあったものの、5点差で逃げ切った。4勝3敗のリーグ5位でシーズンが終わった。
0-14になってため息
開始早々から関大の強いアタックに押され気味だった同志社。自陣5mの関大ラインアウトからゴールライン手前で攻められ続ける。ラックの近場をFWで突いてくる関大に対し、同志社も粘ったが、前半5分にインゴールへ飛び込まれた。その直後、FB安田卓平(4年、同志社)のキックがチャージされると、転がったボールを拾ったのは関大。7分に自陣22mから独走トライを決められた。開始10分も経たないうちに0-14。同志社の応援席からため息が漏れた。
その後もパスミスやノックオンなどお互い流れに乗りきれない時間が続く。同志社がゲインしても、ブレイクダウンでターンオーバーされる場面が多々見られた。関大のディフェンスに押されていた。
同志社も負けてはいられない。敵陣22mのラインアウトを獲得すると、左へ展開。安田が左サイドでゲインするも、止められ右へ。左右に振り、最後はCTB永富晨太郎(4年、東福岡)から主将のCTB山口修平(4年、同志社香里)、そして右サイドのWTB高野蓮(4年、東福岡)にわたり、21分にトライ。5点を返した。
しかし、パスミスでこぼれたボールを関大にキープされ攻守逆転。自陣22m付近のラックから関大FWが持ち出し、強いアタックでゲインされる。倒すもののオフロードパスを通され、そのまま25分にトライを許す。5-19。ここで一度、インゴールで円陣を組み、気持ちを入れ直す。
同志社は30分、LO野中翔伍(4年、筑紫)が相手ディフェンスを弾き飛ばしてトライを決め、コンバージョンゴールも成功して12-19の7点差に迫った。さらに前半終了間際に高野がまたも右の大外へトライを決めて17-19。2点ビハインドで折り返した。
永富のステップが流れを変えた
後半も、敵陣まで攻めてもノックオンという悪循環。7分にNO.8嶋﨑晴也(3年、摂津)が相手ディフェンスを突破し逆転トライを決めるも、直後にハーフラインのマイボールスクラムでターンオーバーされ、関大のSHが持ち出しそのままインゴールまで独走トライ。24-26とすぐに逆転された。
アタックを試みるも堅いディフェンスになかなか前に出ることができない。ターンオーバーも何度か許し、攻めあぐねる同志社。そんな苦しい中で、流れを変えてくれたのは永富だ。
自陣まで追い込まれていた同志社だったが、関大のこぼしたボールをキープし、キックで敵陣まで陣地を戻す。関大にキープされるがパスミスで同志社がボールを奪うとSO古城隼人(3年、修猷館)が仕掛け、オフロードパスで永富へ託した。永富は華麗なステップでディフェンスをかわし、19分にインゴールへ飛び込んだ。31-26で再びリード。さらに29分にはHO平川隼也(4年、長崎北陽台)がディフェンスに倒されるも、再び自ら持ち出して突破。7点を加え38-26と点差を広げた。
試合終了間際に同志社のサインミスで無人のところにパスを投げてしまい、拾った関大に一気にトライを決められた。38-33と1トライ1ゴールで逆転可能な点差で残り時間は約6分。最後の攻防が繰り広げられた。敵陣10~22mのマイボールラインアウトから左に展開し途中出場のWTB江金駿(3年、同志社香里)がゲインするも、反則で攻守逆転、自陣に戻された。
同志社も必死にディフェンスに入るが、関大は早いパス回しで連続攻撃を重ねながら、少しずつゴールへと近づいていく。負傷者で一時中断すると、主将の山口はチームメイトの背中を叩きながら声を出し、盛り立てる。関大スクラムで試合が再開すると、関大の猛攻撃に同志社も食らいついた。最後は右サイドに回されたボールに江金が絡んで外に出し、ノーサイド。序盤は受け身になったシーンの多かった同志社だったが、試合の中で立て直し、最後はしっかりと点を重ねた。
これで4回生は引退だ。納得のいく試合内容だったかどうかは選手それぞれ。観客席で叫ぶ控え部員たちに手を振る主将の表情は笑顔であふれていた。開幕3連敗のあと4連勝はしたが、届かなかった大学選手権。日本一という目標を達成することはできなかったが、最後までやり遂げた。一つの代が終わり、次の代へ。それぞれの色を残しながら、同志社ラグビーはこれからも歴史を紡いでいく。第108代同志社大学ラグビー部の戦いは、静かに幕を下ろした。