アメフト

躍進の明治、支えた最強の主将・茂木

リーグ最終戦を終え、ホッとした表情だった茂木(撮影・篠原大輔)

関東大学リーグ1部TOP8最終節

11月25日@横浜スタジアム
明治大(5勝1敗) 19-10 慶應義塾大(2勝4敗)

今シーズン快進撃を見せた明治大学アメリカンフットボール部「グリフィンズ」。初戦で32年ぶりに法大を下すと、2戦目の早大には10点差で負けたものの、3戦目から3試合連続の完封勝利。最終節の慶大戦もディフェンスが踏ん張り、19-10で制した。2014年にリーグの編成が変わって実力均衡の1部TOP8になり、明大の過去最高は5位だった。それが5勝1敗の2位に躍進。12月9日の「東京ボウル」で関西3位の関西大と対戦する。過去2年連続で入れ替え戦を経験した集団の飛躍を支えたのは、絶大な信頼を得る主将だった。

2年連続入れ替え戦のあとを受けて就任

2018年シーズンの明大アメフト部を主将として率いたのはLB(ラインバッカー)の茂木崇宏(4年、佼成学園)。高校時代は日本一を目指して苦しい練習にも耐えたが、3年の秋は関東決勝で早大学院に敗れ、高校日本一を決める「クリスマスボウル」には出られなかった。勉強も頑張っていた茂木はスポーツ推薦ではなく指定校推薦で明大に進学。「また日本一を目指す」と、グリフィンズで頂点に上りつめることを誓った。

しかし、学生日本一を決する「甲子園ボウル」はあまりにも遠かった。1年から試合に出てきた茂木だったが、2年のときは7位で1部BIG8との入れ替え戦に回った。翌年も入れ替え戦行き。優勝争いにかすりもせず、悔しいシーズンが続いた。そんな中、新チームの主将に。当初は「2年連続入れ替え戦に出たチームで、どこまで本気になってくれるだろう」と不安があった。だからこそ自分の行動と言葉で引っ張っていく必要があった。新チームが始動したときから「何事も誰よりも高いレベルで」と、練習での自分自身の追い込み方から声出しまで、常にチームで一番を意識してきた。同じLBの徳茂宏樹(3年、関西大倉)は「僕たちもやろう、という連鎖反応が起きる」と、茂木のリーダーシップを評する。茂木のまっすぐな言葉には説得力があり、練習に取り組む真摯(しんし)な姿はチーム全体に刺激を与えた。

キャプテンの中のキャプテン

また普段は温厚で明るく、いじられキャラ。後輩とゲームをすることもあれば、一発芸もやってしまう人柄だ。「元々怒るのは得意じゃないです。だけど緩んだ雰囲気を感じたときはその都度その都度、げきを飛ばしてきました」。雰囲気を締め直し、学生主体のチームでも緊張感のある環境をつくりあげた。普段は優しくてもグラウンドでは約90人の大所帯をまとめる立場。オンとオフの境界線をしっかりと作った。

茂木は試合中も大声でディフェンスメンバーを鼓舞した

グリフィンズの誰に聞いても、茂木主将の評価は高い。RB福田夕斗(4年、日大三)は「プレーで見せるリーダーとか、信頼で引っ張るリーダーとか、いろんなタイプのキャプテンがいると思うんですけど、茂木の場合はそれらを全部持ってるんです」と語る。試合ではLBというディフェンスのリーダー的ポジション。常に冷静さを保ち、的確な指示を出す。ときに鋭い動きからQBサックやロスタックルというビックプレーも起こし、チームを救ってきた。「全員が同じ方向を見て進めるように、周りに声をかけた」と、チームの全選手に対等な目線で接してきた。信頼は短期間で得られるものではない。普段の生活で、練習で、試合で、地道に信頼を積み上げてきた。だからこそ唯一無二の信頼される主将となれたのだ。

アメフトにおける茂木の原動力は「仲のいい同期と一緒に甲子園ボウルに出て日本一になること」だった。今シーズンはあと一歩まできたが、早大戦での敗戦が響いて2位。しかし、まだ終わりではない。「甲子園ボウルに出られないのは、本当に悔しい。だけど目の前の一戦で相手を圧倒する目標は変わらない」。関大を撃破することが最後で最大の目標となった。本気で日本一を目指し、本気で戦い抜き、つかんだもう一つのボウルゲーム。グリフィンズの最高のリーダーは、必ずやチームを勝利に導き、笑顔で学生アメフトを締めくくる。

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