大本命の早大が初のインカレ連覇 大学4冠も達成
「大学4冠を意識してなかったと言ったらウソになります」。早大主将の藤中優斗(4年、宇部商)は、そう認めた。昨年の主力が残った状態で挑む早大。初の連覇と年間タイトル4冠、さらにやり慣れない相手……。プレッシャーの要因には事欠かなかった。
一方の福山平成大は中国学連の所属チームとして初のセンターコートであり、もちろん初めての決勝。舞台に対する緊張は少なからずあったはずだが、対するは優勝候補の大本命。失うもののない挑戦者として、余計な緊張はなかった。ただし、6連戦は未経験の領域だ。
鵜野が攻守に躍動
第1セットは25-23、第2セットは26-24と早大にとってはギリギリの内容で連取。「硬かったですね」と松井泰二監督。結局そのままは押し切れなかった。第3セットは序盤からリズムを失い、19-25で落とした。
全力での戦いが続く第4セット、わずかにジャンプのキレが落ちたところを早大のディフェンスは逃さなかった。「データを基にした対策や、ブロックの速さが全然違いました」と福山平成大主将の迫田郭志(4年、鹿児島商)は語った。
この日の早大のキーマンは鵜野幸也(4年、早稲田実)。好レシーブから自らスパイクを決め、チームを勢いづけた。今年のチームになってからスタメン入りした鵜野だったが、この大事な舞台で攻守に躍動し、松井監督も絶賛する活躍を披露した。コースが甘くなったスパイクを村山豪(2年、駿台学園)らのブロックでしとめ、鵜野の連続得点でマッチポイント。最後もチームとして連動した結果のブロックが決まった。
「ホッとしてます。ずっと迷惑をかけてきましたけど、決勝ではチームに貢献できてよかったです」と鵜野。彼や藤中、さらにセッターの小林光輝(4年、創造学園)、さらに学生スタッフを含めた4年生たちが良好な関係を築き、チームをまとめた結果、早大の歴史に輝かしい1ページが加えられた。(日本バレーボール協会 豊野堯)