筑波・丸尾の主将力 3度目の正直でV
決勝の舞台に立つ2校は奇しくも昨年と同じ、筑波と青学になった。筑波にとって、リベンジのチャンス。筑波がやっと、最後に笑えた。
どん底からの立て直し
筑波は2年連続で準優勝と悔しい思いをしてきた。さらに、今年の秋リーグでは5勝6敗の7位に沈んだ。「けが人が多くて結果が残せず、チーム状態はどん底だった」と、中西康己監督は振り返る。しかし、そこからチーム全体で立て直しを図った。主将の丸尾遥香(4年、金蘭会)は「好不調の波があるのが課題でした。どこと対戦するときも、1点ずつ積み重ねるのを意識しました」と語る。
迎えたインカレ。筑波は準決勝までの4戦をすべてストレートで勝ち上がった。連戦の中で自信を取り戻した。準決勝では秋リーグでストレート負けを喫した松蔭大と対戦。3-1で完勝し、3年連続の決勝に進んだ。
第1セットの大逆転
決勝の第1セット序盤は拮抗したものの、中盤から青学のミドルブロッカー及川真夢(4年、東九州龍谷)や左利きのウイングスパイカー宮下聖果(3年、福井工大福井)のアタックに苦しめられ、5点差まで広げられた。19-23の場面から丸尾が勝負強さを発揮した。緩急織り交ぜたアタックや高さのあるブロックで6連続ポイント。逆転に成功し、25-23でセットを先取した。「要所ではキャプテンの自分が引っ張ろうという思いでプレーしました」と丸尾。
第2セットも丸尾や川上雛菜(2年、敬愛学園)、山城愛心(2年、東九州龍谷)らの活躍もあり、25-21で筑波が奪取。しかし、第3セットは青学の粘り強くつなぐプレーに対応しきれず、22-25で奪われた。
第4セット、24-23で迎えた筑波のマッチポイント。丸尾のアタックが相手のミスを誘発。9年ぶりの頂点に立った筑波が、歓喜に包まれた。「フルセットまでいったら青学に粘り勝ちされてしまう」という思いで挑んだ丸尾が、試合を決めた。
筑波は持ち味の攻撃だけでなく、ブロックやレシーブでも青学を上回った。そして僅差をものにした。中西監督は「これまでの重要な試合は接戦を勝ちきれなかったけど、今日の試合では焦らず、冷静に自分たちのよさが出た」と振り返る。丸尾は「今日のために4年間頑張ってきたので、優勝できてよかった」と涙を流した。