アメフト

特集:第73回甲子園ボウル

関学「去年の借り返す」早大「歴史変える」 16日に甲子園ボウル

記念撮影に臨む関学主将の光藤(左)、早稲田主将の斉川

アメフトの学生日本一を決める「甲子園ボウル」(全日本大学選手権決勝)は12月16日13時5分、阪神甲子園球場でキックオフを迎える。西日本代表は3年連続52回目出場の関西学院大(関西1位)、東日本代表は2年ぶり5回目の出場となる早稲田大(関東)。両校は2年前に甲子園で対戦し、31-14で関学が勝っている。昨年の甲子園ボウルは関学が17-23で日大に敗れた。関学と早大の監督、主将が3日、阪神甲子園球場で記者会見に臨んだ。

「関学が帰ってくるべき場所」

関学では68年ぶりにQBの主将となった光藤航哉(みつどう、4年、同志社国際)は「早稲田はオフェンスもディフェンスも頭を使ってくる。いい準備をして、チーム全員で絶対に勝ちます。去年の借りを返すという意味もありますので」と力強く話した。関西学生リーグを6勝1分で制し、甲子園ボウルの西日本代表決定戦では立命館大との死闘を「逆転サヨナラ」のフィールドゴールでものにした。勝ちきれた要因について光藤は「立命との再戦は、しんどい状況も想定して練習してました。絶対に勝つ。全員がそう信じたから勝てたと思ってます」。今シーズンの早大については「WRのブレナン君、RBの元山君が怖い存在だと思ってます」と言って表情を引き締めた。

関学を率いて実に27年目の鳥内秀晃監督(60)は早大について問われるたび、「まだビデオ見てないから、なんも分かりませんねん」と言って、狙い通りに笑いをとった。笑顔から真顔に戻ると、「このチームは去年、ここでの敗戦から始まりました。やっとここに戻ってきたんで、勝って終わりたいです」と語った。2年前に早大と戦った印象から、「簡単ではない作戦も見られました。何にしろ4Q勝負になると思います」と慎重な口ぶりだった。甲子園ボウルという大会について問われたときは冗舌だった。「55年ぐらい前から父親に連れられて見に来てたんですわ。ずっと関学が出てて、ここは出るのが当たり前の場所やと思ってます。我々が帰ってくる場所という認識です」。現時点で相手に勝っている部分を問われると、「トシ」と答えてニヤリ。11月26日に60歳になったばかりだけに、旬のネタを披露してご満悦だった。早大には関学出身のコーチが4人いる。これについては「またいらんことしてきよるんちゃうか?よう言うとかなあきませんわ」と言って、自分で笑った。

還暦ネタで報道陣の笑いをとる鳥内監督

「早稲田の歴史を変える」

早大は過去、立命館に3度、関学に1度負けている。主将のDL斉川尚之(4年、獨協)は「この1年、ここで関西に勝つためにやってきました。2年前の借りもありますし、しっかり練習して初めて勝って、早稲田の歴史を変えたいです」。関東を全勝で制したことについては「初戦の日体大戦で苦戦して、そこからオフェンス、ディフェンス、キッキングのそれぞれが大きく成長できたからだと思ってます」と話した。自分たちの前に立ちはだかる関学について聞かれると、「西日本代表決定戦を見ても、すごく試合巧者だと感じてます。各ポジションにスター選手がいて、手ごわいです。かなり厳しい試合になると覚悟してます」と返した。現時点で自分たちが関学より勝っているものは、という問いには「正直分かりません。でも僕らはまだ日本一になったことがありません。日本一になりたいという、その気持ちは勝っているかもしれません」と言った。

就任2年目、早稲田の高岡勝監督(50)は早大ビッグベアーズのOBで、現役時代はOLだった。社会人Xリーグのマイカル(当時)でプレーしたときに関西での暮らしを経験している。鳥内監督の繰り出すネタの数々に、「さすがですねえ」と感心しながら質問に応じていた。「関東1部の監督会で、『ぜひ勝ってくれ』という言葉ももらってます。東日本の代表として関学さんに勝って、早稲田の歴史を変えたいです」。関学については「チーム力が、かなり厚いと思います。ほんとにチャレンジャーとして、どこまで正面からぶつかれるか。それが、この1年の本当の成果なんだろうと考えてます」と力をこめて語った。甲子園ボウルという試合について問われ、「今年のチームは主将の斉川が1年を通じて『甲子園で関西に勝つ』と言い続けてきました。我々にとって甲子園は、歴史を変えるために勝つ場所です。そう強く信じて戦いたいと思います」と話した。

社会人時代に関西で暮らしたことがある早大の高岡監督

現在、甲子園球場のバックスクリーンが工事中で、試合当日はライト側にずれた場所に仮設のスクリーンを設置する。
関学が勝てば通算29度目の優勝、早大なら何度も書くが初優勝である。

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