慶大、課題克服で日本一まで駆け上がれ
黒黄軍団の戦いも佳境に入ってきた。慶大は19年ぶりの日本一を目指す。その前哨戦とも言える対抗戦の結果、3位で大学選手権の切符を手にした。慶大の初戦は16日、相手は京産大だ。3回戦の前に、対抗戦における慶大の戦いぶりを振り返りたい。
明大の「重戦車」止め、優勝戦線に残る
対抗戦は春に出場のなかったWTB丹治辰碩(4年、慶應)やU-20日本代表から戻ってきたLO相部開哉(2年、同)、PR大山祥平(2年、同)、FL山本凱(1年、同)らを擁し、フルメンバーに近い状態で迎え、とくに大きな負傷者も出さずに終えられた。「全試合に全力をぶつける」と金沢篤ヘッドコーチ(HC)が言って迎えた開幕戦、日体大を相手に10選手が12トライを挙げて圧勝し、上々の滑り出しを見せた。続く筑波大戦、成蹊大戦と連勝したが、後半の失速やセットプレーの安定などに課題を残した。
次の相手は王者・帝京大。昨年3点差で敗れた相手に後半追い上げたが、絶対に落とせない試合という緊張もあってか、終盤はここぞというチャンスでミスを連発。5点差で落とした。点差以上に、プレーの精度に差が見えた試合だった。
ここまで明確な課題があれば、修正してくるのが慶大だ。明大戦では「重戦車」の異名を持つスクラムに押されながらも、少ないチャンスをものにした。相手ボールのラインアウトをFL川合秀和(3年、國學院久我山)がキャッチ。そのまま先制トライを決めれば、敵陣深くでのマイボールラインアウトは山本が確実に受けて、追加点とした。後半に一時逆転を許したが、終盤には押されていたスクラムからNO8山中侃(あきら、4年、同)が抜け出し決勝点。それまで全勝だったライバルを破り、優勝戦線に留まった。
早大に負けてV逃す
早慶戦では両校のプライドをかけて戦った。チャンスでのセットプレーに失敗が続き、前半は無得点に終わった。後半最初のトライは慶大が決めたものの、着実に得点を重ねる早大に追いつけず敗戦。8年ぶりの早慶戦勝利はならず、優勝も逃した。「しっかり改善して最後までいけるように」と金沢HCは語り、最後の青学大戦に備えた。
迎えた青学大戦は高いボール支配率で9トライを挙げ、ディフェンスでも3トライのみに抑えて圧倒。「ブースター」としてベンチに控える8選手のうち7人を投入しての大勝だった。
例年以上に混戦だった今年の対抗戦。慶大は5勝2敗で終えた。2敗したものの、チーム全員で目指すべき「自分たちのラグビー」をじっくりと育ててきた。セットプレーを強みとする京産大、さらにその後に待ち受ける全国の強豪に慶大がどう立ち向かうか。1月12日の決勝戦、歓喜に包まれる黒黄軍団の姿を期待したい。