アイスホッケー

アイスホッケー界に「東京ブルーズ」旋風を!!

東京ブルーズの初代メンバーは関東の9大学に所属する19選手

東京ブルーズ 創設記念ゲーム

2月16日14時フェイスオフ@東京・ダイドードリンコアイスアリーナ

東京ブルーナイツ vs 電通

アイススポーツジャパン代表の山口真一さん(51)が立ち上げた大学アイスホッケーのエリートチーム「東京ブルーナイツ(略称・東京ブルーズ)」が2月16日に初陣を迎える。「長年のアイスホッケーファンには『チャラついたことしてる』って思われるかもしれません。でも入口が『かっこいい』だって、私はいいと思ってます。アイスホッケーを知らない人に、まずは触れてもらいたい。たくさんの人の前でプレーすることで、日本の未来を担う選手たちを育てたいんです」。山口さんが熱く語る。

日本のアイスホッケーを変えたい

東京ブルーズの初代メンバーは、関東1部リーグ9校の有志19人。各大学のチームに属しながら、随時集まって活動する。大学アイスホッケーの強豪は関東に集中している。そんな選手たちが一つのチームをつくることで、将来の日本代表強化にもつながるきっかけをもたらしたいと、山口さんは考えた。また一人でも多くの人に触れてもらえるよう、チームの拠点は東京都内にこだわった。

山口さんは小学生のときに初めてアイスホッケーに触れ、大阪芸術大学卒業まで続けた。卒業後は新聞、雑誌のスポーツ記者・編集者としてアイスホッケーに関わってきた。長年の取材を通じ、日本のアイスホッケーの将来に絶望して競技をやめる大学生がいることを実感していた。最近では昨年12月、アジアリーグの日本製紙クレインズが当シーズン限りでの廃部を発表。「重い空気が漂う業界を変えるには、自分が行動しないと」。4年間温めてきた思いを胸に、山口さんは昨年2月の平昌オリンピックが終わるとともに退社。東京都西部を拠点に、アイスホッケーやスケートを通じて学生の夢を後押しする会社「アイススポーツジャパン」を設立した。

試合のメンバー発表で使用する映像をチェックする山口さん(右)

アイスホッケーチームの設立・運営には3億円かかると言われている。山口さんのケースも、トントン拍子に話が進んだわけではない。保険や練習環境、ユニフォームなど、お金の問題は尽きなかったが、何より苦労したのは業界の人々を動かすことだった。「みんなアイスホッケーは好きなんですよ。停滞中の業界に対する危機意識もあります。でも、そこに踏み込むことで軋轢が生じるのを懸念して、牽制してる人が多いんです。だから私は業界に新しい風を吹きこみたいと思ってます」。山口さんから始まった東京ブルーズのプロジェクトは、地域や他業界の人たちも巻き込んで成長していった。

初代メンバーには大学1年から4年生まで全学年がそろった。4年生にとっては、2月16日の初陣が東京ブルーズでの最初で最後の試合になる。働きながらアイスホッケーに取り組む社会人と戦うことで学生たちの刺激になればという思いから、社会人チームから対戦相手を探し、東京の強豪である電通に決まった。多くの人に観戦してほしいと、入場無料にした。

個性的で前向きな選手たち

東京ブルーズの選手たちは1月になってから初めて顔を合わせた。初練習から、選手たちは声を出し合い、キツい練習を終えた後には笑顔でお互いを称え合った。トレーナーの庄司竜太郎さんはすでに、“チーム”としての雰囲気ができていると感じていた。初代主将は中央大のDF蓑島圭悟(4年、白樺学園)。蓑島自身は主将のキャラではないと言うが、昨年フィンランドに渡って得てきた知識も踏まえて練習メニューを考えていることもあり、チームは蓑島を中心に一つになっている。選手たちは2月12日、モスクワから届いたばかりのユニフォームに袖を通した。彼らは子どものように大はしゃぎだったそうだ。

日体大の佐野(手前)は小ささをネガティブにとらえたことがない

19人の選手のうち、1年生は4人。その一人であるFW佐野靖也(日体大)は、アイスホッケーが盛んな北海道釧路市の出身。釧路を拠点とする日本製紙クレインズの大ファンだった父の影響でホッケーに出会い、はまった。幼いころから小柄で、いま身長は160cm。本人はこれをまったくネガティブにとらえてはいない。小回りがきくのを長所としてとらえ、誰よりも動き回る。山口さんも「上を目指して頑張る佐野の姿に、何かを感じてもらえたら」と話す。

初代メンバーの一人である慶應義塾大の史習成リック(すう・しゅうせい、4年)は「普段の大学リーグの試合が、早慶戦並みに盛り上がってくれたら、それだけで日本のアイスホッケーは変わると思ってます」と言う。早慶戦は2000人クラスの観衆が集まる国内最大級の試合だ。「多くの人々にプレーを見てもらえて、応援してもらえることで、選手はモチベーションも選手としてのプライドも高く持てます。それが業界全体の意識の変化につながってくれたらいいなと願ってます」と、山口さんは語る。

普段は違うチームでプレーする選手たちが、東京ブルーズの下で一つになる

チーム名の“ブルー”には、青く未成熟ながら大きく羽ばたきたいという願いがこもる。創設記念ゲームに続く試合は、4月にある関東大学選手権のあとを予定している。

アイスホッケー界に新しい風をもたらすため、青い騎士たちの挑戦が始まる。

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