テニス

関大・林大貴、最後の大舞台で弾けた笑顔

主将として関大を牽引した林。自身4度目の今大会で、持ちうる力を存分に発揮した

全日本大学対抗テニス王座決定試合 3位決定戦

2018年10月15日@愛媛県総合運動公園

関西大 7-2 近畿大

1カ月前とは対照的な笑顔だった。全日本大学対抗テニス王座決定試合の3位決定戦。関大の相手は近大。張り詰めた雰囲気の中、主将の林大貴(4年、大阪産大付)のフォアハンドが決まり、試合終了。関大の勝利。プレッシャーから一気に解き放たれたように林の表情が緩み、副将の安積祐貴(4年、関大一)と握手を交わした。1回生のときからレギュラーを務め、この大会も4度目。それでもやはり、最後の大舞台は林にとって格別なものだった。

先輩の言葉で前を向けた

1カ月前の関西大学対抗リーグ戦1部では、決勝で近大に敗れ、トロフィーを逃した。実に5年ぶりに、関大に土がついた。試合が終わり、応援席へのあいさつ。林は目に涙を浮かべ、言葉に詰まった。「リーグ戦のときは、近大と試合したくなかったです。勝てるようなイメージがなかった」。林は今大会後のインタビューで胸の内を明かしてくれた。主将としての重責や、リーグ戦4連覇中という現状。プレッシャーが、主将に重くのしかかっていた。

最後の勝負まで残りわずか。前を向くきっかけになったのは、尊敬する先輩の言葉だった。「終わってしまったものは仕方ない。いまから何をするかが大切」。染矢和隆(2016年度卒、柳川)が林に寄り添ってくれた。ダブルスのペアを組んでいた先輩からのひとことが響いた。残りの1カ月で何ができるのか。追い込み期間に50球以上の球出しや、100本の坂道ダッシュをこなした。「4年間でいちばんしんどかった。ほんとに死ぬかと思いました」。終わったリーグ戦のこと、これから来る大会のことなど考える暇もないぐらい、徹底的に体を追い込んだ。

リーグ戦での無念を晴らすために積んだ猛練習の成果をぶつけた

関大を背負う最後の試合となる3位決定戦。「負けるのを怖がらずにできました。最後は(テニスを)してて楽しかったです」と林。リーグ戦とはまるで違う姿が、そこにはあった。王者としてではなく、今度は挑戦者として。主将対決をストレートで圧勝し、自らの手で関大の勝利を決めた。「最後のチームは、一番笑顔で終わることができました」。林にはもう、何一つ後悔はなかった。

嫌なこともしんどいこともあった

リーグ戦の連覇を止めてしまい、どん底を見た林のラストシーズン。「今年になって優勝が当たり前じゃないと分かりました」と、チームの先頭に立つ難しさを味わった。関大テニス部に入ってよかったかと尋ねると、「嫌なこともしんどいこともあったけど、最後思ってみれば楽しかったです」。林が言うからこそ、重みのある言葉に感じられた。

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