走れば自己ベスト、東洋大・蝦夷森章太に春が来た
第22回日本学生ハーフマラソン選手権
3月10日@東京・立川
40位 蝦夷森章太(東洋大1年、愛知) 1時間3分56秒
長く厳しい冬を耐え、ようやく雪どけを迎えた選手がいる。東洋大1年の蝦夷森(えぞもり)章太(愛知)は、3月10日の日本学生ハーフマラソン選手権で自己ベストを更新した。入学以来けがが続き、思うような結果を残せていなかったが、昨年12月の記録会で10000mを29分46秒16で走って自己ベストをたたき出し、ことし2月24日にあった犬山ハーフマラソンでも自己ベストを更新して、3位に入っていた。
「1年から箱根」の期待に応えられなかった
犬山ハーフで3位に食い込んだのを弾みに、学生ハーフに挑んだ。63分半を目指し、先頭集団の中盤につけて自身のペースを守った。追いかけたのは先輩の定方駿(3年、川棚)の背中だ。後半にペースアップしても定方には追いつけなかったが、1時間3分56秒と自己ベストを再び更新した。ただ目標は63分半だったため、悔しさをのぞかせた。
苦しんだルーキーイヤーだった。だからこそ12月の記録会での10000mの自己ベストは自信となった。「自分に合格点を与えたいです」。蝦夷森はそう言うと、少し笑みを浮かべた。酒井俊幸監督には入学当初から「1年生のときから箱根駅伝を目指してほしい」との期待を寄せられていた。しかしけがが長引き、箱根を逃した。この悔しさが蝦夷森を奮い立たせた。いま長い距離が得意な持ち味を生かし、ハーフマラソンでの好成績につながっている。
蝦夷森は言う。「今年は自分が引っ張る覚悟を持って、学生三大駅伝でいい結果を残して、最終的に箱根で王座奪還できたら」。同期の鈴木宗孝(氷取沢)はすでに箱根を走った。それが刺激になっているという。
1年目で苦労したからこそ、いまの急速な成長がある。
東洋大に新たな風を吹き込むのは、蝦夷森章太かもしれない。