関学のルーキーFW山田剛綺、デビュー戦で鮮烈決勝ゴール
入学後わずか4日目に公式戦初ゴールを挙げた。FW山田剛綺(ごうき、1年、京都橘)が後半のアディショナルタイムに勝ち越し弾。遠慮のない豪快な雄たけびを挙げ、存在感をアピールした。4-3で大産大とのリーグ初戦に勝利。「初めての公式戦で緊張したけど、決めきれてよかったです」。新しい風がチームに勝利を呼び込んだ。
大学デビュー弾が決勝点に
昨年、2部から昇格してきた大産大に、チームは苦戦を強いられていた。どうしても互いに硬くなる初戦だけに、前半の終盤まで試合は動かなかった。だが、前半40分にFW林部晃己(3年、セレッソ大阪ユース)がゴールを決めると、そこから後半3分までに計3得点。しかし、21分、32分と続けて失点。実力差があるはずのチームに1点差まで迫られ、チームに不穏な空気が流れ始めた。
「出たら点を決める。やってやる」。1点差にされた直後に、闘志のみなぎった小柄な男がベンチからピッチに飛び出した。4月2日に入学したばかりの1年生、山田だった。ピッチに立つと、堂々としたプレーで相手ゴールに向かった。しかし、42分に同点とされ、アディショナルタイム3分の勝負となった。
緊迫の試合展開にも、山田はゴールから目を逸らさなかった。FW中村匡克(3年、洛北)からパスを受けると、前に飛び出したキーパーと向き合う。シュートを放ったが、弾かれた。あきらめない。体を浮かせながらこぼれ球に合わせ、右足を振り抜く。ゴール!!
「1発で決められたらよかったんですけど……。でも、素直にうれしかったです。いろんな人に、よくやったと言ってもらえました」。試合後には、フレッシュな笑顔が弾けた。ルーキーの大学デビュー弾がチームを救った。
日本一だけを見据えて
高校サッカーの名門・京都橘で技術を磨いた。日本一だけを見すえた3年間。土のピッチで練習し、予測できないボールの動きに反応できるのが、次第に強みになっていった。「味方がミスをしたときのカバーや、自分がミスをしたときの切り替えは速いです」。地道な努力を積み重ねたが、3年生のときには、全国大会に出られなかった。
必死にもがいても届かなかった日本一。「大学でも日本一を目指したい」と思うようになった。進学を考えたときに頭に浮かんだのが、昨年の天皇杯2回戦でガンバ大阪を破った関学だった。延長戦までもつれ込んだ末に勝利を挙げたチームを見て、「関学が日本一に近いチームだ」。山田に火がついた。また、京都橘のOBで、今シーズン関学から京都サンガF.C.へ進んだMF中野克哉の活躍も、山田の心を動かした。日本一を目指すための新しい居場所を、関学に決めた。
高校時代はサイドハーフとFWを兼任した。大学に入って、古塚恵太郎監督にFWとして起用された。「FWでやらせてもらえるのはチャンス」。新たな環境での絶好の機会に目を光らせている。
見据えるのは「日本一」。ただ一点だ。大学に入学しても、思いは変わらない。「ゴールを決めて、いい結果を残す。チームに貢献できる選手になりたい」。Aチーム唯一の1年生が、日本一へ向けて、新たな風をもっと吹かせる。