法大インカレV 来年こそ大学界席巻を
近年にない好調を維持して関東大学リーグ戦前期を終えた法大だったが、2回戦敗退に終わった総理大臣杯のあとから状況は一変した。
チームの主軸を担うU-21日本代表FW上田綺世(2年、鹿島学園)、MF紺野和也(3年、武南)らにタイトなマークが集まり、得点が減少。リーグ戦は5試合勝ちなしと苦境に瀕した。MF青柳燎汰(4年、前橋育英)が「本当に何をしても勝てなかった」と振り返るほど不振を極めたが、リーグ第16節の専大戦を機に徐々に復調。最終的には長山一也監督の就任後では最高位となるリーグ戦1部3位で終えた。
「人任せにしない」を徹底
復調の大きな要因は、 私生活の見直しにあったという。「ピッチ外の人任せがピッチ内の人任せにつながる。ピッチ外のことから人任せにしないように徹底しよう」。不振に陥る中、4年生の間でも、そう話し合った。普段は1年生が担当する掃除当番に、4年生も進んで参加したという。その結果「ただの仲よし集団みたいになってしまっていた」(青柳)というチーム状況が、徐々に改善されていった。
また、Iリーグ組の奮起もチームに好影響をもたらした。トップチームが勝利を収められていなかった約1カ月間、Iリーグ組は4勝1敗と善戦。前述した専大戦でもIリーグ組としてプレーしていたMF北川公貴(3年、札幌第一)、MF橋本陸(3年、西武台)、FW中井崇仁(1年、尚志)が攻守に渡って活躍。3-1での快勝に貢献した。「自分たちが忘れかけていたものを思い出させてくれた」(FWディサロ燦シルヴァーノ=4年、三菱養和SCユース)、「Iリーグ組の選手たちが引き上げてくれた」(GK吉田舜=4年、前橋育英高)との言葉通り、今シーズンのチームスローガンでもある『共進共闘』に立ち返り、チーム一丸となって苦難を超克してみせた。
そして、これまで以上の一体感で臨んだインカレ。大会終了後に「難しい試合もあったが、崩れることなく自分たちのやるべきことを徹底できた」と語ったDF黒崎隼人(4年、栃木SCユース)だったが、象徴的なのは初戦の新潟医療福祉大戦だ。57分にDF前谷崇博(4年、ガンバ大阪ユース)のゴールで追い付いたわずか1分後に、再び失点。誰もが総理大臣杯の苦い記憶を蘇らせた。しかし、途中出場のMF森俊貴(3年、栃木SCユース)が大車輪の活躍を見せ、3-2で逆転勝利。その後も高い総合力を発揮し、並み居る難敵を次々に撃破。42年ぶり3度目のインカレ制覇を成し遂げた。
しかし、チーム始動当初の目標は『四冠』であったことを思うと、今季シーズンは心底満足のいく結果ではないだろう。天皇杯への出場も決まった来シーズンは、昨シーズンの筑波大のように大学サッカー界を席巻し、オレンジ色に染め抜いてみせる。