中大・五島莉乃 練習で鍛えた“勝負師”の感覚
中央大4年の五島(ごしま)莉乃(星稜)には、4月に二つのターゲットがあった。
まずは21日の兵庫リレーカーニバルの10000mでユニバーシアードの参加標準記録(33分0秒)を破ること。そして27日の織田記念の5000mで、日本選手権の参加標準記録(15分40秒)を突破すること。ともに自己ベスト更新で達成。連戦で強さを示した。
積極策が実って日本選手権出場へ
21日の10000mでは、記録とともに学生トップを狙った。大東文化大4年の関谷夏希(市立船橋)と競りながらも最後は突き放し、学生トップの全体6位。32分32秒95の自己ベストで、7月のユニバーシアード出場権をたぐり寄せた。
27日の広島では、5000mで日本選手権を目指した。1000mを過ぎたところで、学生3人による第2集団ができた。五島のほかには立命館大4年の佐藤成葉(荏田)と名城大2年の和田有菜(長野東)。「このペースだと参加標準記録に届かない」と感じた五島は、3000m付近で一気に前へ。食らいついてきた和田に、ラスト1周のところで前に出られた。差を広げられた五島は必死で追ったが、和田から2秒遅れの全体8位でゴール。それでも積極策が実り、15分37秒45の自己ベストで和田ともに日本選手権出場を決めた。
レース後、五島は「今日はタイムを狙ってたので、最初から前についていこうと思ってました。結局、自分が前に出る展開になりましたけど、結果的にベストも出て、日本選手権の標準も切れたので、連戦のわりには、まあよかったかな」と笑った。
日本選手権の参加標準記録突破のカギとなったのが、レース中の判断だ。五島自身はもともと、自分で仕掛けられるタイプではなかったという。「冬季練習を積んできた中で、なんとなく自分の中で『いまいける』って思ったときに出られるようになった気がします。今日は『このタイムだと標準は切れないな。出るならいまだな』って思って出ました」。日々の練習から得た自信や感覚がそのスイッチになっているのだろう。
ナポリでメダルを
学生最後となるトラックシーズン、五島は「ユニバーシアードでメダル獲得」を最大の目標にしている。舞台となるイタリア・ナポリのイメージを尋ねると、「ヨーロッパだから、なんだろう、きれいでキラキラした感じ。楽しそう!! あ、でも大会なんだから楽しんじゃダメですかね? 」と満面の笑み。「でも日本のトップの選手とか、いろんな人と仲よくなりたいです!! 」と言って、また笑った。
駅伝に対する思いも強い。五島は1、2年生のときに全日本大学女子駅伝で1区を走り、2年生のときには区間賞に輝いた。しかし昨年は予選会11位で本戦出場を逃した。「最後ですし、今年はみんなでリベンジしたいです」と意気込む。
まずは5月の関東インカレでは5000mと10000mのダブル優勝を狙う。どこで“勝負師”のスイッチが入るのか、楽しみにしたい。