大学アメフト

京大RB杉本 テニスサークルはピンとこなかった、からの4years.

試合を通じて思い切りのいい走りを披露した京大のRB杉本

双青戦(第61回定期戦)

5月11日@東京・アミノバイタルフィールド
京大16-6 東大
(京大の46勝13敗1分け、1休止)

京大が東大とのロースコアゲームを制した。昨秋の関西学生リーグ1部では3勝4敗の同率5位に終わったが、RB佐藤航生(当時4年、藤島)が計646ydを走り、リーグのリーディングラッシャーに輝いた。RBのために走路を切り開くOL(オフェンスライン)が5人とも入れ替わり、佐藤が抜けた。さてどうなるか。この東大戦では京大のランに注目してみた。

決して足を止めぬ、小さな走り屋

この日の京大はパスが決まらなかったこともあり、58プレー中43回がラン。計246ydをゲインした。OLが必死に体を張り、すでに実績のあるRB窪田幹大(3年、都立西)が14回のランでチームトップの93ydを進み、一つのタッチダウン(TD)。石井侑志(3年、県船橋)も縦に切れ上がるスピードがあり、何度もスタンドをわかせた。この二人もよかったが、私は背番号4の走りに心を奪われた。身長164cmと小さく、目を見張るようなスピードもない。それでも思いっきりよく突っ込み、決して足を止めない。実に京大らしいRBだったからだ。

彼は4回生の杉本紫了(しりょう)。この日は16回ボールを託され、89ydのゲイン。この試合のラストプレーで左オープンを突き、タックルをかわして転びそうになったが、何とかエンドゾーンに飛び込んでTD。笑顔がはじけた。「僕らは冬から走り込んできました。走り負けるわけがないと思ってたし、実際に相手の足が止まってました。TDが一つだけじゃ、しょっぱいんで、最後のシリーズは思いっきりスピードを上げて走りました」

試合終了と同時に、エンドゾーンへ飛び込んだ(撮影・篠原大輔)

杉本は昨年まではRBとして公式戦に出たことはない。ずっと仮想敵としてディフェンスの練習台になっていた。そんな男に、学生ラストイヤーを迎えてようやくチャンスが来た。4月21日の九大戦では13回45ydで3TD。東大戦でもアピールできた。

日本一を語る先輩のアツさに触れて

4回生になるにあたり、考えたのだという。このまま終わって自分の存在価値はあるのかと。
それなら、最後の秋の公式戦で活躍するにはどうするか。「RBにはいろいろ求められることがあると思うんですけど、結局はチームからボールを持たせてもらったときに、どれだけ思い切って走れるかなんです。それを強く思って、練習からプレーするようにしました」
確かに東大戦は、その思いがしっかりこちらにも伝わってきた。

東大戦後、笑顔で取材に応じる(撮影・篠原大輔)

彼は少数精鋭の進学校、大阪星光学院から京大へやってきた。高校ではテニス部だったが、練習は週に2、3回でサークルもどきの部だった。京大に現役合格して、テニスサークルの新歓イベントにいくつも行ってみた。ピンとこなかった。4月の半ば、ふらっとギャングスターズの新歓に顔を出してみた。アツかった。長らく頂点から遠ざかっていても、先輩たちは日本一への思いを語ってきた。そして「一緒に日本一になろう」と。杉本は思った。「大学では、こうやって熱中できるものに4年間を費やしたい」。その日まで考えもしなかった京大アメフト部へ入ることにした。

どんなポジションがあるのかも、ほとんど知らない。説明を聞いて惹(ひ)かれたのがOLだ。「楽しそうだと思いました。いちばん頭を使えるし、アツいポジションだし、カッコいいなって」。さすがにサイズの問題があり、RBをやることになった。

リーディングラッシャーになりたい

テニスサークル経由で足を踏み込んだフットボールの世界。ようやく光が見えかけている。
最後のリーグ戦が終わったとき、どんな自分でいたいかと尋ねた。
「俺が勝たせたと言えるように、練習していきます。リーディングラッシャーになりたい」
過去3年間何の実績もない男が、でっかい目標を口にした。半年後が楽しみだ。

走れ、スギモト!!

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