ランオフェンスの光った京大、東大とのロースコアゲーム制す
1990年代にこんな夢が語られたことがあった。「東大と京大の甲子園ボウルが実現するのでは」。その夢が現実に最も近づいたのが1996年のシーズンだった。関西学生リーグで京大が関西学院大と立命館大との三つどもえプレーオフを制し、甲子園ボウルへ進出。関東大学リーグでは東大が当時の1部(2ブロック計16チーム)で4強による決勝トーナメントまで進んだが、準決勝で敗れた。あの夢がまた現実味を持って語られる日が来るのだろうか。そんな思いで、この対決を見つめた。
機能した京大のラン
ともにオフェンスに決め手がない中、京大が第2クオーター(Q)に先制した。敵陣43ydから始まったオフェンスで、第4ダウンギャンブルも含めて6プレーでタッチダウン(TD)につなげた。7-0。最後は右でピッチを受けたRB窪田幹大(3年、都立西)が5ydを駆け抜けた。東大は前半修了間際、キッカー伊藤拓(4年、六甲)が46ydと長いフィールドゴール(FG)を蹴り込み、3点を返して試合を折り返した。
後半はまず、東大のキッカー伊藤拓が31ydのFGを決め、1点差に追い上げた。
この日、両チームを通じて最も勢いのあったのが京大のラン。5人全員が新スターターのOL(オフェンスライン)たちが体を張って走路を開き、RB窪田、石井侑志(3年、県船橋)、杉本紫了(4年、大阪星光学院)らが思いっきりよく駆け抜けた。
ランを中心に前進し、京大は第4Qに入ってすぐ、キッカー丸山和馬(4年、豊中)が23ydのFGを決めて10-6。東大はQB伊藤宏一郎(4年、立教池袋)のランで大きくゲインし、短いFGでまずは1点差に迫ろうとしたが、伊藤拓のキックは右のポストを直撃して失敗。京大が再びランを軸に攻め、試合終了と同時に杉本が4ydのTDランを決めた。16-6で京大の勝利。京大は43回のランで246ydを稼いだ。
現時点では京大、東大ともに関西、関東の優勝争いに絡むのは難しいだろう。しかしこの先、この2校ならではの創意工夫とやりきる力で、また夢を語れる日が来るのを待ちたい。