國學院大キャプテン・土方英和、箱根往路優勝と総合3位を目指して
「とにかくこのタイトルだけを狙ってたので、すごくうれしいです」。レース後の第一声、土方(ひじかた、國學院大4年、埼玉栄)の声が弾んだ。スタート時間の午前9時にはすでに気温が25度を超えるという過酷な状況のもと、勝ちきった喜びにあふれていた。
自分に期待されてるのは優勝だけ
競技場を出たあと、周回コースを12周する。1km3分を超えるスローペースで進んだレースは、終盤まで土方のほか、駒澤大学の山下一貴(いちたか、4年、瓊浦)、神戸(かんべ)駿介(3年、都立松が谷)、上武大学の佐々木守(4年、山形中央)、青山学院大学の吉田祐也(4年、東農大三)、竹石尚人(4年、鶴崎工)、髙橋勇輝(2年、長野日大髙)、麗澤大学の国川恭朗(4年、美方)らが先頭集団を形成した。16キロ過ぎから土方がスパート。最後の1kmで1度は山下に追いつかれ、先に行かれたが、意地の追い上げで抜き返した。
最後は両手を大きく広げるガッツポーズでゴールした。
「最初に突き放して逃げ切ろうと思ったんですけど、暑さもあってさすがに最後の1kmはバテてしまいました。最後は追いつかれてからも冷静で、抜き返そうと思って走りました。うまく走れたなと思います」
このレースには「とにかく勝たなきゃいけない」という思いがあったという。「自分が自分自身に期待しているもの、周りが自分に期待しているものは優勝だけだと思ってました。絶対に勝たなきゃいけないという思いが働きました」。強い気持ちで、自身初のタイトルをつかみとった。
チーム全体が上り調子
チームメイトの浦野雄平(4年、富山商)は1日目に開催された男子2部10000mで日本人トップとなり、この日の夕方にあった5000mでも同じく日本人トップと好結果を残した。浦野の活躍に刺激を受けるところがあるのか尋ねてみた。「彼と一緒に練習してると、力の差を感じます。強いです。でも浦野と練習してるからこそ、周りの選手は浦野より強くないから、絶対に自分は勝てる、という思いで挑めました」。力のあるチームメイトの存在が、土方の実力をさらに引き上げている。
これまでは毎年6月の全日本大学駅伝の予選で出ていたため、そこへ向けてチーム主体の練習が多かった。だが昨年の全日本大学駅伝で6位に入り、初のシード権を獲得。そのため、この春はそれぞれがレースに出られる機会が多くなった。前期はチーム全員で自己ベストを出そうという雰囲気があり、選手たちの状態もとてもいいようだ。
土方は3年のときから主将を務め、今年がラストイヤーとなる。「いままでと変わらず、走りでも行動でもしっかりと引っ張っていきたいです。チームとしての目標は、箱根駅伝往路優勝、総合3位です。まだ、いまの力じゃ届かないけど、かなわない目標じゃないと思ってます。しっかり主力、中間層のレベルアップをしていけば、できると思います」
土方、浦野のこの春の結果を見るだけでも「今年の國學院はやってくれそうだ」と思わせられる。駅伝シーズンの「台風の目」になるかもしれない。