陸上・駅伝

特集:第98回関東学生陸上競技対校選手権

東洋大トリオ 関東インカレのハーフで入賞、チームとしての強さ示す

宮下(左端)は序盤から先頭でレースを引っ張った

第98回関東学生陸上競技対校選手権 男子1部ハーフマラソン

5月26日@相模原ギオンスタジアム
2位(日本勢1位) 宮下隼人(東洋大2年) 1時間5分14秒
4位 蝦夷森章太(東洋大2年) 1時間5分34秒
6位 定方駿(東洋大4年)1時間5分47秒

陸上の関東インカレ男子1部ハーフマラソンで、東洋大学から出場した3人がいずれも8位以内に入り、入賞を果たした。日本勢トップの2位に入った宮下隼人(2年、富士河口湖)は今後に向けて「自分たち中間層がチームの底上げをしていきたい」と語った。

宮下、蝦夷森、定方が先頭集団で攻めた

東洋大学からハーフマラソンに出場したのは、宮下、蝦夷森章太(2年、愛知)、定方駿(4年、川棚)の3人。いずれも今年の箱根駅伝には出場していない選手だ。宮下はレース後、集まった報道陣の前で、おだやかな口調で話し出した。「自分は持ちタイム的にも速い方ではなく、注目されてる選手でもなかったので、しっかりと集団の中でためてためて、暑い中だったので粘りの走りをして、最後いけるところでしっかり仕掛けて日本人トップだったり、上位を狙おうと思ってました」。

ゴールの瞬間、宮下の全身から達成感があふれだしていた

彼の持ちタイムは5000m14分45秒95、10000m30分53秒26と、たしかに学生トップ選手と比べると「速い」とは言えない。だが、気温30度に迫る過酷な状況でもしっかり20kmを走りきれる「強さ」は確実に持っている。

宮下、蝦夷森、定方は3人とも先頭集団にいて、終始積極的にレースを進めた。「入賞を狙って、チームのためにしっかり得点を取ろうと思ってました」と宮下。結果的に日本人トップになって、自分で少し驚いている部分もあるという。「3人で入賞できたので、目標が達成できてよかったです」とほほえんだ。

宮下「5区を柏原さんのように走りたい」

宮下は山梨県立富士河口湖高校の出身。当時は標高の高いところで走っていたため、毎日が高地トレーニングのようなものだった。柏原竜二(東洋大学~富士通~引退)が大学4年生のときに見せた箱根駅伝5区の走りにあこがれている。「箱根では5区を走りたいです。今回のハーフマラソンに出るにあたって、今年5区を走った東海大の西田さん(壮志、3年、九州学院)を意識してたところもありました。勝ててよかったです。5区を任せてもらえればしっかり走って、往路優勝のゴールテープを切りたいです」。イメージはしっかりとできている。

4位に入った蝦夷森

今年の箱根駅伝は、部内の選考レースの直前に右の脛骨を疲労骨折してしまい、本番に間に合わなかった。8区の沿道で応援し、同学年の鈴木宗孝(2年、氷取沢)が東海大の小松陽平(4年、東海大四)に抜かれた直後の姿を見た。「自分がそこで応援しかできないのも、すごく申し訳ない気持ちで……」。だからこそ、宮下の今年にかける思いは強い。「もしほかの区間に選ばれたとしても、10人のメンバーの一人として、『その1秒をけずりだせ』のスローガンのもと、攻めの走りをしていきたいです。次こそは自分もしっかりと走って、鈴木と一緒に総合優勝できたらなと思います」

イチから挑戦者の気持ちで

東洋大はキャプテンの相澤晃(4年、学法石川)と西山和弥(3年、東農大二)に加えて競歩の池田向希(3年、浜松日体)、川野将虎(3年、御殿場南)も7月のユニバーシアード代表に選ばれるなど、上位層の選手がさらにレベルアップしており、チームの雰囲気は上向きだ。「その反面、自分たち中間層の底上げがイマイチでした。これを機に、中間層もしっかり上げていくぞと思って、夏合宿も走り込んでいきたいです。今日の結果は今日で終わりなので、またイチから、挑戦者の気持ちでやっていきます」

相澤、西山だけではない。チームとしての強さを示した東洋大が、頂点に向かって駆けあがる。

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