陸上・駅伝

特集:第98回関東学生陸上競技対校選手権

関東インカレ・ハーフマラソンの裏側、駒大マネージャーに密着

M高史です。ハーフマラソン前、ストップウォッチも持って準備万端です(撮影・佐伯航平)

5月23日から26日の4日間、神奈川・相模原ギオンスタジアムで陸上の関東インカレが開催されました。私も初日と最終日に駆けつけ、母校である駒澤大学を応援してきました。とくに最終日の朝イチにあったハーフマラソンでは、山下一貴(いちたか、4年、長崎・瓊浦)が2位になったこともあり、今シーズンの駒大の活躍がいっそう楽しみになってきました。そんなハーフマラソンの裏側をお伝えすべく、私は駒大のマネージャーさんたちに密着しました。

選手のタイム管理もマネージャーの責任

駒大の3人が出る男子2部ハーフマラソンのスタートは午前9時。7時前には現地に到着し、準備に入ります。場所取り(シートを敷く、テントを立てる)、給水準備(レース前後に飲む水やスポーツドリンク)、ほかにはレース前に必要な備品(ワセリン、テーピングなど)をセットしたりします。この日は気温の上昇が予想されたため、いつもより氷を多めに準備したそうです。

8時20分から出場選手の召集が始まり、8時40分で召集完了となります。召集に遅れると走れません。マネージャーは選手がアップに行く前と召集に行く前に、監督に報告します。

ハーフマラソンスタート前、大八木監督(左端)の指示を受ける駒大の3選手(写真提供・駒澤大学陸上競技部)

召集が終わるとそのままスタート地点に移動するので、監督からのアドバイスや指示は召集前に伝えておきます。ちなみに、長距離種目(5000m、10000m、ハーフマラソン)は最初に配布されたナンバーカードではなく、レース用のナンバーカードで走ります。

LINEグループを駆使し、選手をサポート

9時に男子2部ハーフマラソンが、9時6分に男子1部ハーフマラソンがそれぞれスタート。マネージャーたちは2部だけでなく、1部のタイムも計測しておきます。関東インカレでは1部と2部に別れてても、駅伝ではライバルになってきますからね。

2部ハーフマラソンがスタート。競技場内はまだ大集団です(写真提供・IMO-DENさん)

トラックを約4周すると、競技場外の1.58kmの特設コースへ。このコースを12周走ります。応援する側にとっては何度も声をかけられるのでうれしいんですが、選手にとっては精神的にもキツいコースですね(笑)。コースには起伏もあるので、スタミナだけでなく、筋力や体幹の強さも求められます。

駒大のマネージャーさんにご一緒して、私も5km、10km、15km、20km地点へ。すべて歩いていける範囲のため、移動しながらタイムを計ります。ポイントとなる5kmごとの各地点には、各大学のマネージャーさんたちがスタンバイ。序盤はまだ大集団なので、その中から自分の大学の選手を見つけるのも大変です。

今回の2部は留学生が出場していなかったこともあってか、スローペースで進みました。沿道では大八木弘明監督から選手たちに檄が飛びます。大八木監督の檄をはじめ、各大学の監督さんの様子をこんなに間近で見られるのは、関東インカレならではですね!!

マネージャーは選手が通り過ぎる数秒の間に、タイム計測、動画撮影、選手への指示などをこなします(写真提供・株式会社クロスブレイス)

マネージャーさんたちはLINEグループで情報を共有。僕が学生のころは電話連絡でしたから、情報共有のスピードは比較にならないほど速くなりました(笑)。タイム計測とともに携帯電話で動画も撮影。すぐにLINEグループで共有します。動画を見れば、集団に何人いるか分かりますし、選手の表情や動きや余裕度も分かります。これをチーム内で共有できるのは、非常に大きいですね。

また大八木監督が給水や選手の位置などについての指示を口にされたら、大八木監督の隣に控えている駒大主務の青山尚大さん(3年、中京大中京)が、すぐにLINEグループで共有。伝えたい選手に最も近いところにいる部員が直接声をかけ、リアルタイムに対応していきます。

駒澤大駅伝主将の中村大聖選手(右から3人目)も沿道から佃選手を応援(写真提供・IMO-DENさん)

箱根駅伝上位校が続々入賞

この日は8時台からすでに気温が25度になるような暑さで、非常にタフなコンディションとなりました。10km以降は集団の人数も徐々にしぼられていきました。途中からは集団から離れた1部と2部の選手がごちゃ混ぜで走るシーンもあり、各大学のマネージャーさんたちは必死でタイムと順位を確認。情報共有も大変だったと思います。外周コースは1周1.58kmですから、5分もしないうちにまた次の周回がやってきてしまいます。

2部ハーフマラソンで優勝したのは國學院大主将の土方英和選手(4年、埼玉栄)。母校の駒大は山下選手が2位、神戸駿介選手(かんべ、3年、松が谷)が5位と、2人が入賞しました。昨年の出雲駅伝と全日本大学駅伝を制した青山学院大も吉田祐也選手(4年、東農大三)が4位、竹石尚人選手(4年、鶴崎工)が8位と、2人が入賞しました。

2部ハーフマラソンは競技場内までもつれこむ接戦に(写真提供・IMO-DENさん)

1部ハーフマラソンでは日大のチャールズ・ドゥング選手(1年、札幌山の手)が優勝。1月の箱根駅伝で初優勝を果たした東海大は、3位に西田壮志選手(3年、九州学院)、5位に名取燎太選手(3年、佐久長聖)と2人が入賞。同じく3位だった東洋大は、2位に宮下隼人選手(2年、富士河口湖)、4位に蝦夷森章太選手(えぞもり、2年、愛知)、6位に定方駿選手(4年、川棚)と3人が入賞を果たしました。箱根駅伝の上位に入った大学は、ハーフマラソンでも複数の選手がきっちり上位に入ってきましたね!!

ハーフマラソンの1部と2部で入賞した選手が所属する大学の中で、まだ箱根駅伝に出場していないのが麗澤大です。エースの国川恭朗選手(4年、美方)が2部で7位入賞となりました。駅伝強豪校や常連校と競り合っての入賞。この秋の箱根駅伝予選会での躍進も期待されます。

麗澤大の国川選手(右から2人目)が7位入賞(写真提供・misatoさん)

ちなみに2部ハーフマラソンといえば、学習院大時代の川内優輝(埼玉県庁~あいおいニッセイ同和損害保険)選手も4年生のときに3位に入られています。今回出場された選手の中からも駅伝で活躍する選手はもちろん、川内選手のように世界に羽ばたく人が出てくるかどうか注目ですね!!

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