アメフト

関学アメフト和泉智也、本場のパスの洗礼浴びた 神戸ボウル

第4クオーター、関学の和泉(左)は相手のパスに頭を越され、エレコム神戸にタッチダウンを許す(撮影・廣田光昭)

第69回神戸ボウル

6月9日@神戸・王子スタジアム
関西学院大学 14-14 エレコム神戸

アメリカンフットボールの神戸ボウルは昨年の学生王者である関西学院大学が社会人Xリーグのエレコム神戸と14-14で引き分けた。試合後に関学の鳥内秀晃監督が「勝てとったな」と言ったように、誰も善戦では満足していなかった。この試合、3度目立った2回生がいた。DB(ディフェンスバック)の和泉智也(関西学院)だ。「雨のち晴れのち雨」といったパフォーマンスだった。

目測ミス、インターセプト、目測ミス

和泉はこの春、スターターとして3試合目の出場だった。和泉はDBの中でも、フィールドの外側に開いた相手のWR(ワイドレシーバー)と対峙(たいじ)することの多いCB(コーナーバック)だ。

最初に目立ったのは関学が7-0でリードしていた第3クオーター(Q)2分すぎだった。エレコムはゴール前31ydでの第3ダウン8ydで右奥を狙ったパス。そこには和泉と相手のWRアルフォンソ・アヌワー。和泉はアヌワーをよくカバーしていたが、思ったよりも相手QBコーディー・スコールのボールが伸び、頭を越された。アヌワーも一発ではキャッチできず、右腕をいっぱいに伸ばし、固めた拳でボールをたたき落とした。そして浮いているボールに飛び込み、地面に着く直前に右手でつかんだ。アクロバティックなタッチダウンで、関学は7-7と追いつかれた。和泉はアメリカ・ルイジアナ工科大出身のQBに、本場の洗礼を浴びた。

第4クオーター、関学の和泉がインターセプトを決める(撮影・廣田光昭)

次は14-7と関学リードで第4Qに入ってすぐ。QBスコールが右のサイドライン際に放ったパスに反応し、WRの前に走り込んでインターセプトを決めた。第3Qのミスを取り返すプレーに、和泉は控えめに喜んだ。

最後は試合終盤、第4Qの9分すぎだった。関学はゴール前18ydまで攻め込まれた。第1ダウン10ydでエレコム神戸はパスに出た。QBソコールは投げようとしたが、ターゲットがカバーされていたのか、腕を止めようとして落球。パスを守っていた関学の選手たちは、一瞬足を止めた。ソコールは器用にボールを拾って右へ走りながら、エンドゾーンの中を右に走ったWR南本剛志へパス。和泉はそのコースに入っていた。彼が振り返る。「投げた瞬間は、またインターセプトできると思いました。ジャンプしなくても捕れる、って。でもめっちゃボールが伸びて……。あんなボール見たことないです。弾丸でした」。思いっきりジャンプして伸ばした和泉の両手の上を、ボールが過ぎていった。その瞬間、和泉は思わず「うわっ」と叫んだ。後ろにいた南本がやすやすとタッチダウンパスを受けた。14-14。和泉は再び洗礼を浴び、このまま試合が終わった。

和泉は言う。「社会人との試合ってことで、最初はビビリながらやってました。だんだん慣れてきてたんですけど、一発の脅威は思った以上でした。2本もいかれたら……。完全に目測が違いました」。関学中学部からアメフトを始めて8年目、初めて体感する本場のパスに、してやられた。

大きなミスなく、落ち着いたCBに

関学高等部でもスターターだった和泉だが、大学では選手として通用しないと思っていた。それでも1回生だった昨秋のリーグ戦で、ほぼ勝ちが決まったあとに出場機会をもらえた。そこで自信をつかみ、いまは秋のスターターを狙う。

和泉にどんなCBになりたいか聞いた。「足がめっちゃ速いわけでもなければ、フィジカルもないです。強みはあんまりないんですけど、経験を生かして大きなミスなく、落ち着いたプレーのできるCBになりたいです」。関学育ちの選手らしい言葉だと思った。

この日の二つのミスで、目標が決まった。「ライスボウルで、社会人チームの外国人QBのロングパスをビンゴ(インターセプト)したいです。それでこそ、今日のミスが生かせたってことになると思います」。神戸ボウルの悔しさを心に刻み、夏に鍛える。

試合後、なんともいえない表情だった和泉(撮影・篠原大輔)

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