明大支える「影のMVP」 謙虚な男、DF常本佳吾が川崎フロンターレに襲いかかる
サッカーの天皇杯は7月3日と10日に2回戦があり、ここからJ1、J2のチームも出てきます。天皇杯の醍醐味(だいごみ)の一つが、大学のチームがJリーグのクラブを「食う」番狂わせです。3日に6試合、10日に2試合、大学がJのクラブに挑むゲームがあります。4years.ではプロに挑む大学へのエールも込めて、さまざまな記事をお届けします。第二弾は7月3日に川崎フロンターレに挑戦する明治大学の注目選手紹介です。
数字には出ない活躍で快進撃支える
今年度のスローガン「挑超」のもと、明大サッカー部は5年ぶりに天皇杯本戦へと駒を進めた。7月3日には、ここ2年連続でJ1王者の川崎フロンターレと対戦する。栗田大輔監督は「自分たちのサッカーをお披露目できるチャンス」と、選手たちを鼓舞した。臆することなく強気で挑む。
明大は今シーズンから3バックを採用。昨季の主力だったDF岩武克弥(現・浦和レッズ)らが抜けた影響はいまのところ感じられず、前期リーグの8試合を終えて7勝1敗。2位の立正大に勝ち点4差をつけ、首位に立っている。天皇杯では5月26日の1回戦でJ3のブラウブリッツ秋田に3-0で快勝。勢いは止まらない。
カップ戦も含め、ここ16試合の公式戦で35得点。圧倒的な攻撃力もさることながら、安定した守備も見逃せない。失点は6に留めている。鉄壁の守備を支えるのが、3バックの中央に君臨する常本佳吾(3年、横浜F・マリノスユース)だ。
常本の身長は173cm。上背はないが、それを補って余りある能力を持っている。カバーリングや足もとの技術、そして瞬時の判断力を生かし、幾度となくピンチの芽を摘み取ってきた。栗田監督から「影のMVP」とたたえられるのもうなずける。「相手の嫌がるプレーや駆け引きを、自信を持ってやれてます」と常本。数字には出ない活躍で、明大の快進撃を支えてきた。
駒大戦で1ゴール、1アシスト
今シーズンはセンターバックとして躍動するが、2年生までは右のサイドバックだった。「どのポジションでも役割をまっとうできるのが自分のよさです」と、常本は言いきる。ユーティリティーの高さもまた、常本の武器の一つだ。それが顕著に現れたのが、5月29日の関東リーグ前期第7節の駒澤大学戦。今シーズン初めてサイドハーフで起用された常本は、果敢に仕掛けて1ゴール、1アシストの活躍。「サイドの選手として勝負できたことで、プレイヤーとしても自信になりました」。高い攻撃力を持つことも証明してみせた。
「影ではない真のMVPへの思いはどうですか? 」。常本にこう尋ねてみると、笑顔を見せながら、こう答えた。「もちろん目立ちたいという気持ちもありますけど、チームのために戦うことが明治のモットーですし、影のMVPであり続けられれば……」
謙虚さも兼ね備えたスーパーユーティリティープレイヤーが、強敵相手でもいぶし銀の輝きを放つ。