陸上・駅伝

男子100m 関西大・坂井隆一郎 飛躍のラストイヤー、学生日本一まで駆け抜ける

オールスターナイト陸上の男子100mを制した坂井(左端、撮影・佐伯航平)

2019オールスターナイト陸上

7月27日@神奈川・Shonan BMWスタジアム平塚
男子100m決勝 1位 坂井隆一郎(関西大)10秒29(追い風1.1m)

「2019オールスターナイト陸上」秩父宮賜杯第59回実業団・学生対抗陸上競技大会が7月27日にあり、男子100m決勝は学生ラストイヤーに自己ベストを10秒12まで縮めてきた関西大の坂井隆一郎(4年、大阪高)が10秒29(追い風1.1m)で制した。

スタートでつまずき、立て直して1位

坂井は得意のスタートでは飛び出せなかったが、中盤から抜け出し、デーデー・ブルーノ(東海大2年、創造学園)と競り合いながらゴール。0秒03差で1位を手にした。「ベストを狙ってたんですけど、スタートで失敗してしまって……。つまずきました。でも、中盤からは落ち着いて運べたのでよかったです」。トレードマークのいたずらっぽい笑顔が広がった。

このレースに臨むにあたり、坂井は決めていた。「全カレ(9月の日本学生対校選手権)に向けて、自分の位置を確認する試合にしよう」と。そしてユニバーシアード代表のデーデーと宮本大輔(東洋大2年、洛南)に勝ちきった。

この夜と同じShonan BMWスタジアム平塚で、坂井の名は全国区になった。6月上旬の日本学生個人選手権準決勝で10秒12(追い風1.0m)。5月の関西インカレで出した10秒29の自己ベストを一気に上回ってきた。そして決勝では0秒01差で宮本に競り勝ち、初の全国タイトルを手にした。6月下旬の日本選手権では初の決勝進出。10秒31(向かい風0.3m)で6位に終わったが、日本のトップクラスと自分の現在地の隔たりを実感できた。

日本選手権が終わってからの約1カ月は、それまで試合が続いてあまり取り組めていなかった筋力トレーニングに力を入れた。「冬期の練習からウェイトを重視してフィジカル強化に取り組んできました。それで中盤から後半が伸びるようになりました」。首回りから上腕にかけての筋肉の膨らみで、身長170cm、体重58kgの体がサイズ以上にたくましく見える。

坂井は真の学生日本一まで駆け上がれるか(撮影・藤井みさ)

小池の9秒台突入に見た希望

7月20日に小池祐貴(慶應義塾大~ANA~住友電工)が日本勢3人目の9秒台に突入した。このニュースは坂井にとって衝撃的だったという。「(サニブラウン・)ハキーム君はストライド型で9秒台を出したけど、小池さんは僕と同じピッチ型です。ピッチ型でも9秒台にいけるという希望になってます」。坂井の笑顔がひときわ輝いた。

日本学生個人選手権で初の全国タイトルをつかみ、「関大スポーツ」の1面を飾った。「有名にならせてもらいました」と坂井。大学で声をかけられることも増えましたかと問われると、「いや、声はまったくですけど」と報道陣を笑わせた。

今後の目標について坂井は「全カレでしっかり優勝して、今年中には10秒0台を出したいです」。全カレは1回生から予選敗退、準決勝敗退、予選敗退ときている。9月の岐阜でも快走し、昨年までは見えもしなかった真の学生日本一をつかめるか。

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