関西学生アメフト30日開幕、関学・鳥内秀晃監督「最後いうんは関係ない」
関西学生アメリカンフットボール連盟は8月26日、30日のリーグ戦開幕を前に大阪市内で記者会見を開いた。1部8大学の監督・ヘッドコーチが顔をそろえ、来たる2019-20年シーズンについて語った。
関学は大黒柱のDL寺岡主将が復帰
昨シーズン学生王者に返り咲いた関西学院大は特別なシーズンを迎える。チームを率いて28年目となる鳥内秀晃監督(60)が、今シーズン限りで退任を表明している。関学史上最も長くチームを率いてきた名将のラストシーズンだ。だが、そんな質問にも「最後いうんは関係ないんです」と、鳥内節。
「初戦ですけどね同志社さんといつもやらせてもらってるんですけど、スペシャル含めていろいろやられてる。対応できるようにしてますんで、やらん方がええですよ」。隣に座る同志社大の藤原良弘監督(58)をちらっと見ながら言った。キーマンとなりそうな選手には、QB奥野耕世(3年、関西学院)とDLで主将の寺岡芳樹(4年、同)を挙げた。「奥野は問題ないんちゃう? 2回生QBの平尾(渉太、啓明学院)、山中(勇輝、関西学院)は出るチャンスがあれば使っていきたいですけどね。(昨秋のリーグ戦中のけがで戦線離脱していた)寺岡は夏から復帰したんで、背中で示していってほしい」と期待を込めた。
立命の古橋監督「とにかく関学に勝たなあかん」
立命大は昨シーズン、古橋由一郎監督(54)が10年ぶりに復帰した。長年、関西のアメフト界をともに引っ張ってきた鳥内監督の勇退について「とにかく勝たなあかんなと思ってます。退任は残念です」と語った。前回指揮を執った2002〜2008年は、甲子園ボウル決定戦も含めて関学に5勝3敗と勝ち越していた。「2008年までは僅差(きんさ)の試合をやってきた。いまは、力では関学の方が上です。何とか魂の込もったフットボールでやり合いたい」と、4年ぶりの甲子園ボウル出場にすべてをかける。
昨シーズン1部3位の関大は、初戦を京大と戦う。2シーズン連続で負けている相手だ。「苦手意識がないといえばウソになる。今シーズン最大の目標として、とにかく京大さんに勝ちたい」。新たに就任した高田保監督(61)は、切実な思いを口にした。
京大の相原敬監督(64)は、隣に座る関大の高田監督に向かって「お手柔らかによろしく」と言ってほほえんだ。「去年からメンバーがガラガラッと入れ替わった。春から控えの選手にも経験を積ませてきました」。京大は第3節の9月21日に関学戦を迎える。今シーズンも負けると、伝統の「関京戦」で15連敗となる。
近大の大城監督「初戦の神戸大戦にかけてます」
近畿大は昨シーズン、1部に復帰して4位と健闘。最終節では3勝3敗同士で迎えた神戸大との接戦をものにした。初戦の相手はその神大だ。今シーズンから9年ぶりに復帰した大城健一監督(51)は「去年、神戸大学さんに僅差で勝てましたけど、『受けて立とう』ではあかん。初戦にかけてます」と力を込めて言った。
神戸大は増田卓司監督(43)に代わり、矢野川源ヘッドコーチ兼オフェンスコーディネーターが出席。神大も初戦の近大戦を山場と位置づける。「(近大は)思い切ったディフェンスをしてくる。ごまかせるように、ちょこまかちょこまか動いていきたい」と、入念な準備を伺わせた。
昨シーズン、6年ぶりの入れ替え戦を経験し、何とか残った龍谷大。今シーズンは立命、関学と、開幕からタフな戦いが続く。「今年は合宿にも行かず、暑い京都で走り込んできました。体力だけには自信があります」と吉田晋監督(39)。
昨シーズンの入れ替え戦で、最短での1部復帰を果たした同志社大。藤原良弘(58)監督は「2年ぶりに帰ってきました」と切り出して会場を沸かせた。初戦の関学戦については「真っ向勝負で挑みます」と言って、不敵な笑みを浮かべた。
今シーズンから全日本大学選手権(決勝=甲子園ボウル)の枠組みが変更となった。西日本代表を決めるトーナメントに関西3位校も組み込まれる。例年、中位争いをするチームの監督からは、「選手の士気が高まった」「3位は現実的に狙える位置にある」と、前向きな声が聞かれた。追われる立場にある関学の鳥内監督は言いきった。「1位にならんことには話にならん。優勝しか考えてないです」。
関西学生アメリカンフットボールリーグは8月30日、立命大と龍谷大の対戦で戦いの火蓋が切られる。秋本番、新たな輝きを放つ選手に出会えるのが楽しみだ。