大学野球

「人材育成×地域貢献」を目指し、第5回を迎えた大学野球サマーリーグ@新潟

地元の中学生を対象にした野球教室のあとで記念撮影(すべて撮影・武山智史)

8月11日、真夏の新潟・三条パール金属スタジアムで、「WASEDA」と「KEIO」のユニフォームを身にまとった両校の選手たちが躍動していた。バックネット裏のスタンド最前列に設置された応援台では、早慶両校の応援団が交互に華やかな応援を繰り広げていく。1、2年生主体のチームとはいえ、真夏の「早慶戦」にスタンドの観衆もその盛り上がりを肌で感じていた。

若手の試合経験増やすため、2015年にスタート

これは毎年8月、新潟県三条市で開催される「大学野球サマーリーグ」のワンシーンだ。大学1、2年生の硬式野球部員が試合経験を積むことや、大学野球を通した地域活性化などを目的として2015年にスタートした。第1回は慶應義塾大、明治大、新潟医療福祉大の3校で始まり、年々参加大学が増えて、第5回となる今回は9大学が参加した。参加する大学の数が増えたことで、三条パール金属スタジアムだけでなく、近隣の見附運動公園野球場(見附市)、悠久山球場(長岡市)と3会場に分かれての開催となった。参加大学の選手たちはチーム別に地元の公民館に宿泊。その公民館に地元住民が差し入れをしてくれる。地元の人たちとの交流も活発になっている。

バックネット裏の応援台から声援を送る

サマーリーグの意義の一つとして挙げられるのが「学生主体によるイベントの企画・運営」だ。参加大学の部員・マネージャーで構成する企画チームが結成され、地域貢献班、広報班に分かれてサマーリーグを盛り上げようと、力を注いだ。

イベントの一環として「地域貢献プログラム」がある。地域貢献班のリーダーである立教大野球部3年の塩瀬健太さんは1、2年生のときは選手としてサマーリーグに参加した。企画チームが立ち上がった今年3月から毎月会議を重ね、球場視察などで何度も新潟に足を運んだ。
「選手として出てたときは4日間で7試合とキツかったんですけど、楽しさが上回ってましたし、経験値が上がりましたね。立教の同期でもサマーリーグを経験して、神宮で活躍している選手もいます。チーム内では『神宮への登竜門』という認識があります」

試合直前のブルペンにも入れる「練習見学ツアー」

サマーリーグでは毎年、地域貢献活動として地元の小中学生を対象とした野球教室を開催してきた。今回は野球教室だけでなく、新しい地域貢献の企画づくりが大きなポイントだった。塩瀬さんは言う。
「三条市の方との打ち合わせの中で『子どもたちに体を動かす楽しさを伝えてほしい』というリクエストがあったんです。そのときに『野球教室だけでは足りない』と思って、野球をやったことがない子たちへのアプローチとして、誰でも参加できるイベントが必要ではないかと感じました。イメージとしは球場を使ったお祭り。『ストラックアウトができるよね』『球場の見学ツアーもできるかも』と、いろいろアイデアが出てきましたね」

野球教室は第1回から毎年開催されてきた
球場の外に設置された「ストラックアウト」のブース

メイン球場である三条パール金属スタジアムでは、球場外の広場を使ってストラックアウトのブースを設置した。球場近くの多目的広場では、選手たちと一緒に遊べるプログラムをやってみた。
そのほかにも「選手たちを身近で感じてもらおう」と企画されたのが、練習見学ツアー。試合開始約30分前、シートノックの時間帯にやった。ベンチ横のカメラマン席で見学するだけでなく、球場内のブルペンに入り、実際の先発投手の投球練習を見学する画期的な試みもあった。塩瀬さんは言う。「試合直前の選手たちの緊張感や真剣な雰囲気を感じられるのが、このツアーの目玉でしたね。ブルペン見学はピッチャーに負担がかかってしまうのですが、事前に了承してもらいました。バックネットの前に防護ネットを張って見学してもらおうかとも考えましたが、安全上の問題で断念しました」。まだまだいろんなアイデアが出てきて、実現しそうだ。

地元新潟の高校生が強豪大学に挑む

サマーリーグは大学の野球部同士が試合をするだけでなく、地元の高校の野球部が大学生と対戦するのも見どころの一つだ。今回は過去最多の7高校が参加し、強豪大学のレベルを肌で感じ取った。中でも今回初参加の新潟産大附属高は明治大に7-10と善戦。吉野公浩監督は「みんな積極的にバットを振ってましたし、いい方向に出てたと感じてます。大学野球に触れて、上で野球をやりたいと思う子が新潟に増えたらいいなと思いますね」と語った。
捕手の畠山祐輝主将は「大学生は簡単にアウトにならないと感じましたし、ピッチャーは不利なカウントでも変化球でストライクが取れるのはすごいなと思いました。この時期に明治大学さんと試合ができたのは貴重な機会でした」と振り返っていた。

慶應大と対戦した昨夏の甲子園出場校・中越の廣瀬航大主将は「大学生のプレースピードやスイングの速さを学べたのは大きいです。秋の県大会に優勝して北信越大会に出たいです」。秋季大会に向け、大いに刺激を受けていた。

この夏参加した9大学の選手たち。次世代育成にも貢献していく

サマーリーグのテーマとなっているのが「次世代育成」だ。企画チーム広報班のリーダーで筑波大野球部3年の谷口友耶さんはこう語った。
「次世代育成というテーマには出場する選手だけでなく、地域貢献プログラムに参加した小中学生、大学生と対戦した高校生の育成も含まれているのかなと感じてます」
大学野球をきっかけに人材育成と地域貢献を目指す大学野球サマーリーグ。その取り組みは来年以降も続いていく。

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