勝ちきれなかった中大・舟津彰馬 駅伝シーズンにすべてをぶつける
第88回日本学生陸上競技対校選手権
9月13日@岐阜メモリアルセンター 長良川競技場
男子1500m決勝
1位 飯澤千翔(東海大1年)3分43秒07
2位 小林青(鹿屋体育大学2年)3分43秒47
3位 舟津彰馬(中央大4年)3分44秒98
陸上の日本学生対校選手権(日本インカレ)2日目の9月13日、男子1500mの決勝があり、東海大の飯澤千翔(かずと、1年、山梨学院)が3分43秒47で優勝した。出場選手中もっとも速い資格記録、3分38秒65を持つ中央大の舟津彰馬(4年、福岡大大濠)は優勝を狙ったが、前に出られず3位に終わった。
優勝して箱根駅伝予選会への弾みにしたかった
スタートして1周目から桜美林大1年のダニエル・カヨウキが飛び出し、そこに飯澤がぴったりとつく。舟津は始め、集団の後方につけて様子をうかがい、次第に前方に位置をとった。ラスト1周、飯澤が先頭に出ると舟津はその後ろにつけ、飯澤が舟津の様子をうかがう仕草を見せた。ここから一気にスピードが上がり、スパート勝負へ。ホームストレートで舟津の前に鹿屋体育大の小林青(4年、祇園北)が出て、飯澤、小林、舟津の順でゴールした。
「目標はもちろん優勝でした」。レース後、舟津は振り返る。「位置は悪くなかったですけど、ラストちょっと悪かったのが結果に現れた感じです。ダニエルが前にいくのは分かってたんで、そこに飯澤がついて、その後ろからと思ってたけど、鹿屋の選手(小林)を前にいかせてから崩れてしまいました。そこは反省点です」
舟津は1年のときから、個人では1500mをメインに取り組んできた。4年間を振り返ってみると、1年では2位、2年では優勝。3年では3分38秒を出したものの、日本インカレ不出場。4年になってもいまいち勝ちきれていない。「勝てるようなレースのためにトレーニングをもっと積まないと、と思います」
チームは10月26日の箱根駅伝予選会に向けて走り込んでいる最中だ。「みんなに背中を押してもらって出させてもらったから、学生最後に優勝したかったです。キャプテン(駅伝主将)としても、レースの結果がうまく駅伝につながっていけたらと思ったんですけど……」。淡々とした口調の中にも、悔しさをにじませた。
勝ち切れない癖がついてしまった
舟津は4月の兵庫リレーカーニバルの際には攻めのレースで優勝したが、その後、関東インカレは飯澤と東海大の館澤亨次(4年、埼玉栄)に次いで3位、日本選手権では前の集団についていけず11位に終わった。いま一歩勝ち切れない要因はなんなのだろうか。「仕上げていってる感覚はあるけど、レースに出ると少し勝ち切れないというか、癖がついてしまってうまく前に出ることができてないです。今回もそこを改善して臨んだと思ったんだけど、今日も一度も前に出られなくて……」。癖というのは? 「自分自身でブレーキをかけちゃって、弱気なところが出てしまうんです。兵庫リレカのときは一番前で勝負できたんですけど、そのあとはいちかばちかっていうときに自分でブレーキをかけちゃって」
でもここで舟津の1500mは終わりではない。実業団に入ってオリンピックを目指していく、と明言した。「しっかり勝ち切れるようなレースを意識してやっていきたいです」。心のブレーキが外れたとき、また舟津の強気の走りが見られるはずだ。
主将・田母神は「かなりいい」
中央大メンバーでは、中距離を専門に取り組んできた主将の田母神一喜(4年、学法石川)が7月、箱根駅伝予選会も走るつもりで長距離に専念すると発表し、話題になった。いまのチームについてたずねると「雰囲気がいい状態に仕上がってきたと思います」と教えてくれた。「田母神が本格的に長距離に移行して、うまく走れてて。かなりみんなに対して刺激を与えてます。自分もチームの一番上でずっと走れてて、チームとしてのまとまりも増えてきました。全体的な実力が上がってきてると思います」
田母神が長距離に取り組むのは、大学では初めてのこと。舟津から見てどうだろうか。「田母神はかなりいいですよ。いままで駅伝練習してきた人よりもいいかもと思うときもあります。才能があるし。長距離って努力って言われてますけど、才能だと思うんです。距離が長ければ長いほどそうなのかなって思います。その中でしっかり自分のやるべきことを見定めて、経験を還元して、あいつなりにやってると思います」
1500mで東京オリンピックも目指したいと言った舟津だが、いまターゲットにするのは箱根駅伝予選会だ。「実業団の方と比べたら駅伝もあって、1500を専門にやっていくのはできないんですけど、東京、それからその先もあるので。まずは駅伝をしっかりやっていきたいです。予選会では日本勢1位を狙うぐらいの走りをしたいです。チームとしてはトップ3での通過が目標。うまく自分たちの走りを先につなげるために、しっかり勢いをつけていきたいです」
個人の戦いから、チームの戦いへ。舟津彰馬のラストイヤー、正念場の後半戦がはじまる。