大学陸上・駅伝

特集:出雲駅伝2019

出雲駅伝4位の東海大 全日本へ両角監督「3週間あれば変わる」

「ごめん」の仕草をしながらゴールするアンカーの西田(撮影・藤井みさ)

第31回出雲全日本大学選抜駅伝競走

10月14日@島根・出雲大社~出雲ドームの6区間45.1km
4位 東海大 2時間10分18秒

今年の箱根駅伝で初めて総合優勝を飾った東海大は、「黄金世代」と呼ばれてきた選手たちが4年生になり、駅伝シーズン開幕戦で注目を集めた。しかしトップ争いから離れ、4位でのフィニッシュとなった。

1度もトップに立てず、4位でゴール

1区(8.0km)は北海道学連選抜のローレンス・グレ(札幌学院大2年)の飛び出しから始まった。第一工業大学のアニーダ・サレー(1年、Driss Premier)をはさみ、3位集団は牽制(けんせい)し合って超スローペース。ようやく6kmを過ぎたあたりからペースアップした。グレに遅れること1分16秒、駒澤大の山下一貴(4年、瓊浦)が2位で中継所に飛び込み、東海大の西川雄一朗(4年、須磨学園)は5秒差の4位で襷(たすき)リレーした。

2区(5.8km)は日本選手権の3000m障害で優勝した実力者、阪口竜平(4年、洛南)。両角速(もろずみ・はやし)監督(53)は前日の記者会見で阪口の2区起用について「ゲームを組み立てるため」と話していたが、ペースが上がらない。一時は2位集団のトップに立ったが、徐々に離れて6位での襷渡しとなった。3区(8.5km)の塩澤稀夕(3年、伊賀白鳳)は出雲駅伝初出場。目の前にいた東洋大のエース相澤晃(4年、学法石川)にぴったりとついたまま、中間点までレースをすすめた。相澤がペースアップすると置いていかれたが、トップと31秒差の5位でつなぐ。24分9秒は区間6位ながら区間新記録だった。

好走した市村。今後期待が持てる選手だ(撮影・安本夏望)

4区(6.2km)に起用された市村朋樹(2年、埼玉栄)は三大駅伝初出場。終始単独走となったが、粘った。17分29秒で区間2位、これも区間新記録だった。5区(6.4km)の鬼塚翔太(4年、大牟田)は4位を走る國學院大の茂原大悟(4年、県立高崎)に迫ったが、2秒差の5位のままアンカーの西田荘志(たけし、3年、九州学院)へとつないだ。6区は最長の10.2km。西田は強気の走りで前を追い、区間2位の好走。しかし3位東洋大の定方駿(4年、川棚)をとらえるまでには至らず、4位でゴール。西田は両手を合わせ「ごめん」という仕草をした。

黄金世代に表れた“ひずみ”、下級生には収穫も

前日会見で両角監督は「3位以内を目標に走りたい」と話していた。結果的に4位となったレース後、浮かない表情ながら取材に応じてくれた。「3位以内と考えていくと、区間4位以下はいただけないな、と。そういう区間が複数あったので……。全日本はもうちょっとマシにできると思います」。不本意な結果だったが、収穫もあった。「下級生の市村、塩澤、西田がよく走ったと思います。次につながるな、と。とくに塩澤は相澤君について走って、最後は離されましたけど、相澤君との格の違いを感じただろうし、学生トップのレースのレベルを経験できたのはよかったと思います。彼は去年はメンバーにすら選ばれなかった選手です。ようやくこういうところで名前が出てくるようになったので、焦らずやってもらいたいと思います」

アキレス腱に不安があったという鬼塚(左)は、区間4位だった(撮影・佐伯航平)

改めて、今回のレースには何が足りなかったのかを尋ねた。「鬼塚はアキレス腱、阪口は腰に不安があって、二人には期待していたけど、それがごまかせなかったかな、と。館澤(亨次、4年、埼玉栄)も關(颯人、4年、佐久長聖)もけが。大学に入って1、2年目に頑張ったツケが節々に出ているな、と。そこらへんがシーズンオフのない長距離のキツいところです。紆余曲折(う・よ・きょく・せつ)ありますね。どこかでみんなこれをバネにして頑張るんでしょうけど、全員が合わせてくるのはなかなか難しいところがあったりします」

出雲で思うように走れなかった選手については、次の全日本では休ませる可能性も示唆した両角監督。「使いたい者もいるので、ミックスしながらやっていこうと思います。3週間あれば変わる部分もあるので、その中でうまく体調を整えて臨みたいですね」

「選ばれなかった悔しさ」をぶつけた小松

出雲駅伝のあとには、県立浜山陸上競技場で「出雲市陸協記録会」があった。主に出雲のメンバーから漏れた選手たちが出場するため、いつからか「もうひとつの出雲駅伝」と呼ばれるようになった。東海大からは5000mの2組目に4人が出場し、小松陽平(4年、東海大四)が13分59秒49でトップ、郡司陽大(あきひろ、4年、那須拓陽)が2位、河野遥伎(4年、宇和)が4位と好走した。レース後、小松は息をはずませながら「けっこう調子がよくて、自信持って今日に臨めてたんですけど、残念なことに(メンバーから)外れてしまって。(自分を選ばなかったことを)後悔させてやるぞって気持ちで走りました」と言った。

小松(3番)は冷静なレース運びでトップに立った(撮影・佐伯航平)

4区を走った市村の付き添いをしていたという小松。市村の快走には「やばいっす! やっぱり新しい戦力が出てくるとチームも盛り上がるんで、うれしいです」と話したあと、「まあ、僕が付き添いをやったからってのもあるんですかね」と言って笑った。今年の箱根駅伝では8区の区間記録を22年ぶりに更新し、MVPに輝いた小松。トラックシーズンでは前半突っ込んで、後半落ちるというレース展開が多かった。「あんまりいい状態で臨めなかったことが多くて。レースを捨ててるわけじゃないんですが、何か爪痕を残せればなと思って、最初から突っ込んでいくレースが多かったです」と振り返る。「今日は自分から勝ちを狙ってレースに臨んだんで、最初は自重して後半上げました」。その言葉通り、後半になるにつれてスピードを上げ、ラスト1周でチームメイトの郡司を抜き去った。

「いい練習を積めてたんで、この調子のよさを継続して全日本、箱根と頑張っていきたいです。目標としてた三冠は無理になってしまったんですが、二冠、箱根二連覇を目指します」と小松。この結果を受けて、監督やコーチにどう言いますか? と問われると「全日本では任せてくれ、と」。頼もしい言葉が返ってきた。

11月3日、ブルーのユニフォームで伊勢路を駆ける8人は誰になるのだろうか。

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