大学陸上・駅伝

東海大「黄金世代」鬼塚翔太 最後の三大駅伝すべてで区間賞、そして三冠を

鬼塚は練習でも積極的に引っ張る姿勢を見せていた(撮影・北川直樹)

東海大の鬼塚翔太(4年)は、高校長距離界の名門である大牟田高(福岡)時代から名をはせていた。大学でも同学年の館澤亨次(埼玉栄)や阪口竜平(洛南)らとともに「黄金世代」と呼ばれ、注目され続けてきた。そして迎える最後の駅伝シーズン。マラソン日本記録保持者の大迫傑(すぐる、ナイキ)とトレーニングした経験も糧に、三大駅伝すべてで区間賞をとり、チームを初の三冠へと導くことを目指す。

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大迫傑との濃密な時間

鬼塚は今年、2度に渡って大迫傑と濃い時間を過ごした。最初は1月末から3週間、アメリカのフラッグスタッフでともに高地合宿に取り組んだ。そして2度目が7、8月の2カ月。鬼塚はチームを離れ、7月はアメリカのポートランドで、8月はボルダーに場所を移して練習したが、この期間も大迫と一緒にトレーニングする機会に恵まれた。

大迫との時間が刺激になったと語る鬼塚(撮影・北川直樹)

大迫と過ごした時間の中で、鬼塚はいろいろなことを吸収したという。「実は1月にお会いするまで、大迫さんとは面識がありませんでした。初めは緊張してて、うまく話せなくて……。それでも3週間一緒に過ごす中で、大迫さんの考え方をじっくり聞けました。練習では大迫さんの“覚悟”を強く感じました。上半身、臀(でん)部、ハムと筋力も強かったですね。フィジカル面でも僕はまだまだ未熟だと思い知らされました」

もっと上を目指してやりたい

7、8月は大迫がMGCを見すえた練習をする一方、鬼塚はトラック練習がメインと、一緒にトレーニングする機会は多くはなかったが、鬼塚は大迫のコーチが作ってくれた練習メニューに精力的に取り組んだ。ナイキの本社があるポートランドでの練習では、世界で戦う選手たちとも一緒に走った。レベルの高い選手と接することで「もっと上を目指してやりたい、という気持ちが強くなりました」と、鬼塚は言う。

日本選手権5000mで鬼塚(120番)は9位だったが、一定の手応えをつかんだ(撮影・藤井みさ)

鬼塚は今年が学生ラストイヤー。トラックシーズンは5000mで勝負した。「真価が問われる大会」としていた6月の日本選手権は自己ベストに約9秒及ばない13分47秒44で9位だったが、収穫はあったようだ。「内容的には勝負ができてました。まだまだやれる、という感覚も得られました」

これまで三大駅伝の区間賞は1度だけ

もうすぐ最後の駅伝シーズンが始まる。鬼塚はけがで走れなかった昨年の出雲駅伝以外は、学生三大駅伝にすべて出てきた。ただし区間賞は1度(2年生の出雲)だけ。区間2位が3度(1年生の出雲と箱根、3年生の全日本)ある。本人もそれが不本意で「今シーズンは三大駅伝すべてで区間賞をとりたい」と意気込む。そのための準備も十分に整えてきた。

「去年の夏はけがもあってあまり練習が積めませんでしたが、今年はけがすることもなく、中身の濃い練習を継続的にやれました。順調にきてます」

走り以外の面でも後輩の手本に

最上級生になった「黄金世代」の一員として、チームを引っ張っていく自覚も十分だ。練習では、常にその心意気を走りで示しているが、鬼塚は別の部分でも先頭に立とうとしている。「去年の4年生がそうだったように、ふだんの生活の部分で後輩たちの手本になることです。あいさつとか掃除とか、当たり前のことですが、そういうことをきちんとやることが、試合の結果にもつながると思ってます」

すべての面で後輩の手本に。鬼塚の意識は高い(撮影・北川直樹)

今年の箱根駅伝で初の総合優勝を果たし、周りからの期待がより大きくなった中、鬼塚は「チームの勝ちたいという思いは去年よりも強い」と感じている。もちろん昨年のチームもすべての駅伝で優勝を目標に掲げていたが、今年は思いの強さが違うようだ。「箱根駅伝で優勝してすぐ、選手の間で三冠を目標にしました。優勝したからにはもっと上を、という意識がチーム全体に浸透してます」と鬼塚。

来たる駅伝シーズンは追われる立場。それでも鬼塚はチャレンジャーの心を貫き、自らの走りと行動でチームを三冠へと引っ張っていく。

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