卓球

中大卓球・森田彩音、悲願の全日学初優勝で有終の美

果敢にボールに食らいつき、粘り強さを見せる森田

全日本大学総合卓球選手権大会 個人の部

10月24日~27日@京都・島津アリーナ
優勝 森田彩音(中央大4年)

「本当にうれしいです」。そう笑顔で答えたのは、昨年同大会で準優勝だった中央大の森田彩音(4年、帝京)。自身最後の全日学で悲願の優勝を手にし、昨年の雪辱を果たした。

志を持って戦ったが「まさか優勝できるとは」

一年前はフルセットの末、あと一歩というところで敗北を喫した。決勝の舞台で競った試合を展開したが、「まさか決勝までいけると思ってなくて、ふわふわした感じで終わってしまった」と森田は当時を振り返った。その気持ちはラストイヤーとなった今年も同様だった。「優勝を目標に頑張ってはいたんですけど、まさか優勝できるとは思ってなかった」。去年との違いを問うと「自分のプレーや志をしっかりと持って戦えたと思う」と話し、その表情は満足感にあふれていた。

第1シードの森田はとにかく試合に集中していた。ダブルスではまさかの2回戦敗退。シングルスではその負けを引きずることなく、常にボールに向かっていく積極的な試合運びで隙を与えず、確実に駒を進めていった。

コースをついたプレーが決まり、ガッツポーズを連発する

そして昨年も味わった決勝の舞台。その対戦相手は、同じ中大でともにプレーし続けてきた山本笙子(3年、福井商業)だった。「練習のときから本当に強くて、分はよくなかった」(森田)、「強い選手で、尊敬している先輩」(山本)。普段から非常に仲がよく、チームでは互いに戦力としてリーグ戦を戦ってきた。

緊迫した「中大対決」、一進一退の攻防を制す

中大対決となった決勝は互いに譲らない緊迫した試合となった。森田が1セット目を先取すると、負けじと山本もすぐに取り返す。一つのミスも許されない一進一退の攻防が繰り広げられた。

セットカウント3-1で迎えた第5ゲーム。森田は最後の最後まで集中力を切らさず、攻めの攻撃を続けた。「胸を借りるつもりで、相手についていこうと思って思い切ってできた。相手のボールが早いので、それにどうやって対応していくかをずっと考えながらできた」(森田)。そして優勝が決まったとき、ずっと硬かった表情がようやく緩み笑顔が顔をのぞかせた。山本と握手を交わしたあと、緊張から解放された森田の目からは涙がこぼれた。長いトンネルの先にあった「優勝」に、ついに手が届いた瞬間だった。

試合終了後、森田は感極まって涙を流した

苦しい一年、最後に最高の形で終われた

森田は大学1年生のときから戦力として活躍してきた。昨年は3年生ながらエースと呼ばれ、チームの勝利に大いに貢献。個人としても同年にフィンランドオープン・シングルスで優勝。また山本や同じく中大の梅村優香(2年、四天王寺)らとともにTリーグにも出場するなど、森田は常に追われる立場として戦い続けた。

そんな森田にとって、今季は苦しい一年だった。グランドスラムを目標に主将として率いた今季の中大は「優勝候補」と言われながら、団体戦となる春秋両リーグ戦、インカレの3大会で優勝を逃す。「全日学が始まるまでの試合で自分が思ってるようにできなかったりとか、技術的な面でもあまり思うようにいかなくて悩んでて、その不安の中で大会が始まった」と自身も葛藤の日々を振り返る。

表彰式後、トロフィーを手に笑顔を見せる森田

そんな森田を優勝に導いたのはいままでの練習、そして揺るがぬ意思だった。「できることをやるしかないと一球一球集中してできた」。やってきたことを出し切る。今季森田はこの言葉を何度も口にしており、それが自身を奮い立たせる原動力となっていたことだろう。その信念と日々の努力がついに実を結んだ喜びは、森田が号泣しながら母と抱擁を交わしていた様子からもはっきりとうかがえた。この4年間を振り返って、森田は「大学4年間で父と『一回は全日学で優勝すると約束してたので、その約束が果たせてよかった」と話した。

森田の大学生活最後の試合は最高の形で幕を閉じた。しかし森田の卓球人生はまだまだこれからだ。学生生活での経験を糧に、スタートラインに立つ。日本、世界と戦う森田の活躍から今後も目が離せない。