大学野球

DeNA3位の明治・伊勢大夢 ラスト登板は成長促してくれた森下へ零封バトン

最後のマウンドで笑顔を見せる伊勢

東京六大学野球2019秋季リーグ戦第7週

10月26、27、28、29日@神宮球場
第1試合 明治大 5-5 立教大
第2試合 明治大 6-1 立教大
第3試合 明治大 1-6 立教大
第4試合 明治大 0-1 立教大

明治大は38年ぶりに春の日本一に輝くも、秋はリーグ5位に終わった。大学ナンバーワン投手・森下暢仁主将(4年、大分商)を中心に、最上級生が主体となったチームだった。その大きな存在で影が薄れるも、先発、中継ぎとして腕を振ってきたのが伊勢大夢投手(4年、九州学院)だ。先月実施されたドラフト会議で横浜DeNAベイスターズが3位指名。プロへの挑戦権を得るまでの成長を促したのは、前を歩いてきた森下の存在だった。

スタンドで感じた森下との差

伊勢の高校時代の実績は輝かしい。熊本県の九州学院高で2年秋からエースの座をつかんだ。すぐさま九州大会で優勝を遂げ、春の甲子園出場を果たした。3年夏には熊本県予選の6試合をすべて一人で完投。2学年下の村上宗隆(現・東京ヤクルトスワローズ)らを5年ぶりに夏の甲子園へけん引した。一方で「2番手とは明らかな差」とチーム内にライバルがおらず、競争心を求めた自分もいた。

そんな中、進学先に選んだの明治だった。1年生のときに東京六大学で春秋連覇を遂げると、神宮大会で優勝。柳裕也選手(現・中日ドラゴンズ)が率いる日本一のメンバーに森下と一緒に入った。

森下(左)に負けた悔しさが伊勢を成長させた

鳴り物入りで入学した森下と1年生までは肩を並べていた。しかし2年生のときに肩や肘のけがで一定期間投球禁止を余儀なくされ、森下との差は広がった。その伊勢を置いていくかのように森下はリーグ戦初勝利、大学日本代表入り。チームの主戦力となるだけでなく、日の丸を背負うまでに成長した。「めちゃくちゃ差が開いたのはすごく悔しかったです。スタンドと、先発の一角で投げている差は歴然だったので」。2年生での足踏み期間はいまでも後悔が大きい。

「打者に向かう姿勢が素晴らしい」

しかし、その悔しさが成長を促した。3年目の春は伊勢の存在感が際立ったシーズンとなった。落とせば優勝の可能性がなくなる慶應義塾大2回戦で完封勝利を果たすなど、3勝をマーク。先発した試合では負けなしと安定した投球で防御率は2.64。リーグ4位で森下に勝った。今年は明治のエースナンバー11を背負うなど、投手陣の要として躍動し日本一に貢献した。

総合力ではエース兼主将には劣ってしまう。しかし伊勢にも譲れないものがある。それはマウンド度胸だ。「強気のピッチング、相手に向かっていく姿勢は暢仁よりも絶対にある。喧嘩腰はいいすぎですけど、そんな感じで相手打者に向かっているので」と伊勢は言う。最速151kmの直球が打者の内角をえぐれば、まず安打性の当たりは至難の技だ。制球が定まらない日でも腕が振れ、ボール球でも打者の空振りを誘う。DeNAの吉田孝司スカウト部長は「打者に向かっていく姿勢が素晴らしい」と最も伊勢の強みとする部分を高く評価した。

ラスト登板は伊勢から森下へ

最終カードの立教大1回戦では2被弾を浴びリードを守れなかった。今季の3被弾はすべてチェンジアップ。「あとは抜くボールがいけば(ドラフトの)評価通りの仕事ができる」と善波達也監督も緩急の精度を課題に挙げる。

プロ入り前にさらなる成長を。来年の春からは横浜スタジアムで躍動する

立大4回戦、1点を追う8回に伊勢、9回に森下がマウンドに立ち、零封リレーを見せた。今季の投手陣を引っ張った二人のラスト登板を善波達也監督が演出し、その期待に応える形となった。「厳しい人ですけど、監督の下で4年間やれてよかった。まず体を鍛えて、1年目を見越して自主練をやっていきたい」と伊勢。もう明治のユニホーム姿は見られないが、次なる舞台、プロ野球が待っている。

「森下を見下すぐらいの気持ちで」。伊勢はプロ入りまで一回り、二回り成長を遂げることを誓った。春先に何倍も成長した「ISE」の背中を、DeNAファンは待ち望んでいる。

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