東医保大がリーグ戦全勝優勝! 恩塚亨HC不在を乗り越え、藤本愛妃ら4年生が躍動
第69回関東大学女子バスケットボールリーグ戦
8月31日~10月27日
1位 東京医療保健大(14勝0敗)
2位 白鷗大(11勝3敗)
3位 拓殖大(10勝4敗)
4位 筑波大(7勝7敗)
5位 早稲田大(7勝7敗)
関東女子バスケのリーグ戦は拓大八王子国際キャンパスで10月27日に最終日を迎え、東京医療保健大が2年ぶり2度目の優勝を全勝で達成した。今シーズンの東医保大は、下級生のころから主力として出場していた4年生が様々な困難を乗り越えながら牽引したチームだった。
「最強世代」の4年生、誓った春のリベンジ
今年の4年生は、歴代のチームと比べても最強世代と呼んでいいだろう。FIBA3×3 U23ワールドカップ2019日本代表優勝メンバーの主将永田萌絵(4年、長﨑商)、2017年ユニバーシアード大会で日本代表50年ぶりの銀メダルに貢献したビッグマン藤本愛妃(4年、桜花学園)、19年ユニバーシアード日本代表で司令塔の岡田英里(4年、明秀日立)、李相佰盃日本学生選抜の平末明日香(4年、四日市商業)。昨シーズンからメンバーは大きく変わらず、4年生が中心になってチームを支えてきた。
東医保大を指揮する恩塚亨ヘッドコーチ(HC)は女子日本代表アシスタントコーチでもある。昨年のリーグ戦前半と春の選手権は恩塚HCが代表活動のため不在となり、玉城耕二アシスタントコーチらスタッフと選手たちで試合に臨んでいた。昨年のリーグ戦ではけが人も多く、9勝5敗でリーグ戦連覇を逃した。今春の選手権では決勝リーグに進出するものの、拓殖大と白鷗大に敗れ、3位に終わった。
主将の永田は、拓大戦に負けたあと「前半はディフェンスでアグレッシブに戦えてましたけど、後半に入ってエネルギーが落ちてしまいました」と話していた。岡田は「(昨シーズンから)メンバーもあまり変わってない中で、期待に応えられなく、全員悔しい思いをしました」、藤本は「4年生が不甲斐なかった。苦しい中で4年生が一段上に引っ張らないといけないのに、後輩と同じように苦しんでいた。リーダーシップがうまくとれなかったです」と口にした。さらに平末も「春負けたことは、めちゃめちゃ悔しかった。秋にはリベンジを果たしたい」と一様に悔しさを胸に、練習に向かっていた。
迎えたリーグ戦。恩塚HCが再び代表活動でチームを離れたため、前半はHC不在で臨んだ。「もう同じことは繰り返せない」と玉城アシスタントコーチを中心にチームは心一つで戦い、開幕から連勝街道を突っ走った。前年下位チームと対戦する8試合を全勝で終えると、代表活動から戻ってきた恩塚HCの下でチームは前年上位チームとの対戦に挑んだ。
恩塚HCが戻り、いっきに優勝を決める
恩塚HC復帰後の初戦は、昨年のリーグ戦と春の選手権で連敗中の白鷗大。ここを86-77で勝利すると、続く早稲田大戦2試合を連勝。そして、再び白鷗大と顔を合わせ、70-69と1点差で振り切った。東医保大は2試合を残し、早くもリーグ戦優勝に王手をかけた。
残り2試合の相手は拓大だった。連敗となれば、拓大にも優勝の可能性があった。春の選手権では拓大・バイクンバディヤサン(2年、岐阜女子)の高さに圧倒された。「リベンジを果たすという気持ちでずっと練習をやってきました。相手チームのことも意識してました」と平末が話す通り、みな並々ならぬ気持ちで試合に臨んだ。
拓大の主力数人が欠場となった中、東医保大は第1ピリオドから30点を獲得。その後も終始、東医保大ペースで進み、117-76で拓大を下して優勝を決めた。この試合、4年生は全員2桁得点。とくに平末が30得点、岡田が22得点と大量得点をあげた。さらに藤本はリバウンドも2桁とし、ダブルダブルという結果を残した。全勝優勝がかかった最終戦も102-47で拓大を下し、2日連続100点ゲームを達成。攻撃面もさることながら、第3ピリオドで拓大を8点に抑えるなど、守備面でも相手を圧倒した。
結果を見てみると、東医保大は春の選手権で完敗した2大学にリベンジを果たした。HC不在という難問を突きつけられ、その度に悔しい思いをしてきたが、その苦労が報われた瞬間だった。
HC不在でさらに成長した選手たち
永田はリーグ戦中断期間に、中国・蘭州市で開催された「FIBA3×3 U23ワールドカップ2019」で日本代表のメンバーとして出場した。見事金メダルを獲得し、充実した中で帰国の途に就いたが、体は悲鳴を上げていた。「この2カ月間、日程がハードでした。白鷗大戦で足首の捻挫をしてしまい、早稲田との2試合は欠場しました。最後の拓大戦には間に合わせようと」
拓大には、春の選手権で悔しい敗戦を喫している。「拓大にも100点ゲームで連勝しましたし、正直よかったです」と永田は喜びを隠せなかった。
優秀選手賞を獲得した平末は、チームの得点王にも輝いた。優勝を決めた26日は30点、27日も16得点とし、2試合とも2桁得点を達成。「春の選手権で敗れたチームのことを意識してました。勝てたのはうれしい」と高揚感を抑えながらコメントする。
そして、何よりも恩塚HC不在というハンデを乗り越え、リーグ戦を制覇したことが彼女たちにとって大きな勲章となった。永田はキャプテンとして、チームの「熱」を意識した。「恩塚HCがいらっしゃるときは練習の熱が上がりますけど、いらっしゃらない場合は自分たちで熱を上げないといけない。私がみんなのエネルギーを上げて、強度や質の高い練習ができるようにと意識してました」。永田を支える平末も「すごく自信につながるし、これからのインカレに向けていいスタートが切れたと思います」と話した。
リーグ戦を制した東医保大の次なる目標は、12月9日から始まる全日本インカレだ。永田と平末はともに「絶対に優勝して3連覇」を宣言。インカレ3連覇を達成できれば、03年第50回大会の日本体育大以来、16年ぶりの快挙となる。
様々な苦難をこのチームで乗り越えてきた。これまでの経験を糧に、東医保大の強さを全国の舞台で見せつける。