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東海大・西田優大 リーダーとしての期待を受ける「おでんくん」

東海大の西田(右から2人目)は、この秋のリーグ戦から戦列に復帰した(すべて撮影・松永早弥香)

バスケットボールの関東大学リーグ戦が8月24日に開幕し、約2カ月半の戦いが始まった。前回王者の東海大にとって、西田優大(3年、福岡大大濠)の復帰は明るい話題のひとつだろう。第4節を終え、3勝1敗で5位。けが明けの西田はまだ本来の力を発揮できていないが、陸川章ヘッドコーチ(HC)は「スリーポイントが打ててパスもできるオールラウンダーで、大型のガードになれる選手です。このチームのリーダーになってほしいですね」と、大きな期待を寄せている。

東海大・西田優大と八村阿蓮 代表選手との試合を経て、「タイトル奪還」へ思い新たに
インカレ5年ぶりV、東海大支えたルーキーコンビ

大東文化大戦でリーグ戦初黒星

9月8日の第3節は、前回2位だった大東文化大との一戦だった。大東大に先制を許したが、東海大は春日恒太郎(4年、東海大浦安)や大倉龍之介(4年、北陸学院)らがスリーポイントを立て続けに決めて逆転。開始5分から出てきた笹倉怜寿(れいじゅ、4年、東海大三)や八村阿蓮(あれん、2年、明成)、西田らがいい流れを保ち、16-11とリードしで第1クオーター(Q)を終えた。

第2Q早々、大東大は身長202cmのモッチ・ラミン(4年、桜丘)の高さを生かし、インサイドで東海大の勢いを断つ。逆転された東海大は笹倉のゲームメイクの下、八村が味方のシュートリバウンドをとり、佐土原遼(2年、東海大相模)らのスリーポイントで追いかける。しかしモッチの獅子奮迅の活躍でリードを広げられた。東海大は64-77で初黒星を喫した。

西田のこの試合における主なスタッツは10得点、1リバウンド、3アシスト、1スティール、1ターンオーバー。5月のトーナメント戦の最中にけがで戦線離脱し、8月に入ってやっと練習に復帰した。リーグ戦には第1節から出場しているが、まだ万全のコンディションではない。それでも陸川HCは「決めるときに決めないといけない」と、西田に注文をつけた。そして「このリーグはまだ続くので、練習と試合の中で(状態を)上げてほしい」と語った。

8月の合宿から練習に復帰。「まだバスケの感覚が戻ってきてない」

西田自身、けがでチームに大きな迷惑をかけたという思いがある。だからこそいま、チームのためにできることに意識を向けている。「けがをしてる間に外から見てて、いまのチームに足りないところが見えてきました。僕はシュートが打ててピックも使えるのが持ち味だと思うんですけど、相手にスクリーンディフェンスをされても動ける対応力もつけていって、もっとチームの起点になれるようにしたいです」。けがを経たいま、自分の責任を強く感じている。

1年生のときにU19日本代表入り

西田は小3のとき、バスケをしていた父の練習に遊びに行ったのことをきっかけに、バスケを始めた。徳島県の海陽町立海陽中学時代にはエースとして、また主将としてチームを引っ張ったが、決して強いチームではなく、悔しい思いをすることの方が多かったという。

高校では強豪の福岡大大濠へ。現在、西田の弟である公陽(3年)と陽成(2年)のふたりが通っている。高校3年間で一番印象に残っているのが、最後のウインターカップ。福岡大大濠は2回戦で北陸(福井)とぶつかり、西田は両チームトップの34点と気を吐いたが、最終ピリオドで逆転され、83-86で敗れた。チームを勝たせる難しさを痛感させられた。

西田(左)は「東海の選手ならディフェンスができて当たり前」と言う

東海大を選んだ理由として西田は「陸川ヘッドコーチの人柄も含めた、いろんな人のつながり」と語った。スター選手ぞろいで選手層の厚い環境に不安がなかったわけではない。それでも東海大でもまれることが、今後の自分にプラスになると考えて決めた。1年生のときから頭角を現し、U19日本代表に選ばれた。今シーズンからNBAワシントン・ウィザーズでプレーする八村塁らとともに「FIBA U19バスケットボールワールドカップ2017」で戦い、10位という成績をおさめている。

後輩のスター選手を引っ張り上げられる先輩に

昨シーズンを振り返ると、東海大は春のトーナメント戦では6位、新人戦では3位に終わったが、秋のリーグ戦では3年ぶり5度目の優勝、インカレでも5年ぶり5度目の優勝と、2冠を手にした。ただ西田自身は「リーグ戦で全然シュートが入らなくて、その中でもディフェンスを頑張ったんですけど、東海にはディフェンスができる選手がたくさんいます。それだけでは足りないな、と思わされました」。反省が口をついて出た。

スタメンで出させてもらえている以上、いい結果を残したい。そんな思いからシューティングなどのスキルアップに取り組んで3年生の1年をスタートさせたが、前述のように、早々にけがで戦線離脱。気持ちが折れそうになったとき、陸川HCは「これは神様が与えてくれた試練だから」と、ポジティブになれる言葉をかけてくれたという。約3カ月間のリハビリを経て、8月上旬の山形合宿からチーム練習に加わった。合宿は早朝の坂ダッシュに始まり、スキルやウェイトのトレーニング、夜にはまたバスケという日々。心身ともに鍛えられる合宿について選手たちは「それを乗り越えてこそシーガルス」と表現する。例年この合宿を経て、チームの一体感はより強固になる。

西田は大学時代の目標として「インカレをとるのはもちろんですけど、Bリーグのチームを倒したいんです」と勇ましく言った。先日、チームのみんなでB1王者のアルバルク東京の練習に加わり、自分の課題を意識させられた。

「東海はディフェンス力が強さであり、それがアイデンティティーでもあります。それにプラスしてオフェンスができる選手もたくさんいます。ひとつ下には八村や大倉(颯太=そうた、北陸学院)みたいなスター選手もいるんですけど、彼らがうまくいかないときはちゃんと自分が先輩として引っ張り上げることもできたらいいなと思ってます」

東海大はチームの強さを一人ひとりが自覚している

西田は1年生のときに「おでんくん」と愛称をつけられ、いまでは自身のInstagramでも「おでんくん」を名乗っている。「それでみんなが自分のことを知ってくれたらいいなって。ありがたく思ってますよ」と満面の笑み。自分のプレーで見てほしいところは? と尋ねると「個人というよりも、チームがひとつになって守って戦うところを見てほしいです」と返した。

チームがかみ合ったとき、東海大は力を発揮する。西田優大はきっと、その真ん中にいる。

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