アメフト

特集:第74回甲子園ボウル

甲子園ボウルを出場を争う大学のヘッドコーチ・監督に、Xリーグ・オービック出身者ずらり

前回の対戦の日、試合前に談笑する関学の大村氏(中央左)と神戸大の矢野川氏(中央右、撮影・松尾誠悟)

アメリカンフットボールの第74回甲子園ボウル(全日本大学選手権決勝)の出場校争いが佳境に入ってきた。121日の東日本代表決定戦は早稲田大学(関東)と東北大学(東北)が対戦。今年から枠組みが変わった西日本代表を決めるトーナメントの準決勝は1124日にあり、関西学院大(関西2位)と神戸大(関西3位)が再び相まみえる。その勝者と立命館大学(関西1位)が12月1日に対戦し、西日本代表が決まる。

 10チーム中4人のヘッド格がオービック出身

 アメフトは選手同士の戦いだけでなく、コーチ同士の戦術、戦略を巡る戦いも同時に繰り広げられている。その中には、かつて同じ社会人チームで戦い、現在大学チームのコーチを務める男たちたち同士の戦いもある。今年の全日本大学選手権に勝ち進んだ10チームの監督とヘッド格のコーチのうち4人が、社会人Xリーグのオービックシーガルズ出身だ。

関学の大村和輝アシスタントヘッドコーチ(HC)は、ハワイ大学へのコーチ留学を経て2004年〜08年までオービックでコーチ、オフェンスコーディネーターを務めた。09年から母校関学のコーチに就任し、今年で11年目。試合中はオフェンスのコーディネーターとして、何度も後輩たちの窮地を救ってきた。神戸大の矢野川源HC、中京大の畠山大輝HC、東北大の萩山竜馬HCの3人は同期入団で、それぞれDB(ディフェンスバック)、DL(ディフェンスライン)、WR(ワイドレシーバー)の選手として活躍。10年〜13年度の日本選手権・ライスボウル4連覇を支えた。現役を引退した三人は母校に戻り、HCとして「現場監督」を務めている。

11月17日の試合後に語り合う神戸大の矢野川HC(左)と中京大の畠山HC(右。撮影・安本夏望)

1117日に神戸大と中京大が対戦。神戸大の矢野川HCと中京大の畠山HCは同い年でもあり、「源さん」「ハタケ」と呼び合う仲だ。試合前、畠山HCは「源さんとは同じディフェンスの選手でもあった。プレーの理解度が高くて、先輩にも指示してたくらいです。なんか不思議な感覚だけど楽しみ。お互い刺激になってます」と話していた。試合は神戸大が24-17と接戦を制した。矢野川HCは「よく研究されていて、飲み込まれてしまった。向こうはいいオフェンスで、なんか悔しい」と言いつつ、「(同期との対戦は)気持ちいいものですね」と照れ笑いした。

24日は関学の大村氏と神戸大の矢野川氏が激突

 いよいよ24日は関学と神戸大の再戦だ。関西学生リーグの対戦では関学が17-15で辛勝した。大村アシスタントHCと矢野川HCはシーガルズで2年間一緒だったが、オフェンスのコーチとディフェンスの選手ということもあって、関わりは少なかったという。

 いまは奇(く)しくも二人とも、オフェンスの作戦を最終決定するオフェンスコーディネーターを担う。大村アシスタントHCは「(矢野川は)DBやったから、セコいオフェンスをしてくる。目くらまし作戦やからな」と笑い、「コーチの感じはチームの色として出る。(神戸大は)学生主体のええチームをつくってる」と話した。挑戦者としてぶつかる矢野川HCは言った。「セコいプレーを磨いて、何とか食らいつきます」。笑顔で宣戦布告した。

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