大学ラグビー

明治の新9番・飯沼連「どんなときも波のない、心の強い選手に」 12月1日に早明戦

飯沼は前主将の福田から紫紺の9番を受け継いだ(すべて撮影・斉藤健仁)

関東大学対抗戦Aグループ 第7週

12月1日@東京・秩父宮
明治大(6勝)vs 早稲田大(6勝)

昨シーズンの大学王者である明治大は、今年も関東大学対抗戦で開幕から6連勝を達成した。その紫紺のジャージーの9番を背負い、10番のSO山沢京平(3年、深谷)とともにチームを動かしているのが、本格的にSHに挑戦して2年というSH飯沼蓮(2年、日川)だ。春から重戦車FWを巧みにコントロールし、自身もSHとして日本代表経験がある田中澄憲監督に「将来、日本代表になれる」と太鼓判を押されている逸材である。

田中澄憲監督のアドバイスでプレーに幅が出た

11月24日の帝京大戦でも、飯沼はもちろん9番を背負った。試合のテーマは「コンプリートビクトトリー」だったという。飯沼の活躍もあり、明治は前半から4トライの猛攻を見せて、対抗戦8連覇中の相手を40-17で一蹴。「前半は(緊張で)硬くなって、SOの京平さんと合わなかったんですが、少しずつ修正して目標を達成できたので、いい状態だと思います」。飯沼はそう振り返った。

一方で飯沼は「後半、すぐにトライを取られたことが課題です。80分間、気を抜かないで、状況を考えてプレーしたい。前半は京平さんに任せっきりでミスしたシーンもありました。後半は、もっと強い気持ちでチームを動かしたかった」と、反省も忘れなかった。

飯沼は日川高校時代は10番だった

日川高(山梨)時代は、チーム事情で主にSOでプレーしていたが、高校日本代表ではSHだった。明治に入ると、1年生の対抗戦の初戦だった青山学院大戦からFB雲山弘貴(2年、報徳学園)とともにベンチメンバーに入り、後半途中から出場を果たした。

しかし昨シーズンはキャプテンのSH福田健太(現・トヨタ自動車ヴェルヴリッツ)という絶対的な存在がいたため、飯沼はベンチを温めることが多かった。シーズンが深まった帝京戦、慶應戦、早稲田戦ともなればなおさらだ。大学選手権でも21番をつけてベンチにいただけだった。「試合に出られなかった思いがあるから、いまがあると思います。いろいろと自分なりに考えられました」と飯沼。

昨シーズンまでの飯沼はSHとして「個人のプレーばっかり意識していた」と振り返る。しかし、田中監督に「ゲームの流れや相手の特徴を踏まえながらプレーしろ」とのアドバイスをもらった。少しずつ全体を把握できるようになり、FWを動かしたり、キックを蹴ったり、自分でチャレンジしたりとプレーに幅が出てきた。

また、今年の春からずっと9番をつけて先発出場してきたことも大きかった。飯沼は「監督から課題をいただいて、一つひとつクリアして。まだまだだと思いますが、自分でも成長を感じて、プレーしていて楽しいです」と言って笑った。

飯沼(右)には、いまでも刺激を与え合う高校の同級生が2人いる

ラグビーとハンドボールの“二刀流”だった

筑波大、NECで同じSHとしてプレーした父の健(たけし)さんの影響で、山梨ラグビースクールで3歳からラグビーに親しんできた。小2のころにハンドボールも始めた。中学時代はラグビーよりもハンドに熱中し、山梨県で優勝。強豪校から誘いもあったという。

高校でラグビーとハンドのどちらを続けるか、真剣に悩んだという。両親と相談し、やはりやはり父に背中を押されて「将来的にラグビーで食べていく」と、名門の日川に進学した。

2年生からレギュラーになると、主にSOとしてプレーした。しかし花園では1回勝つのがやっとだった。それでも個人としてはU-17日本代表や高校日本代表に選ばれていた飯沼は「伝統校だし、対抗戦の華やかな舞台にあこがれた」と、明治に進んだ。

飯沼には、いまでも切磋琢磨(せっさたくま)し、いい刺激を受けている日川の同級生が2人いる。幼なじみで高校時代にハンドボール女子のU-16日本代表に選ばれた経歴を持つ今川真奈(日体大2年)だ。そして、高3のときに重量挙げで高校3冠に輝き、全日本ジュニアでも優勝した澤登健太郎(法政大2年)だ。「お互いに日本代表になろう」と言い合っているそうだ。

明治に入った後は田中監督の下、高校時代よりラグビーに集中した生活を送るようになった。フィジカルトレーニングにも精を出し、ベンチプレスは130kg近く挙がるようになり、管理栄養士の意見を参考にした食事で、体脂肪は10%台に。「走れるようになりました!」

早明戦でこの1年の成長を示せるか

もっともっと信頼される選手に

すでにレギュラーポジションを確保したようにも見えるが、本人はこう思っている。「監督から『SH、SOは信頼のポジションだ』と言われてます。1年生のときは怒られることが多かったですが、少しずつ信頼されてきた。でも、もっともっと監督や周りから信頼されるような選手になりたい」

好きな言葉は元ニュージーランド代表のFBイズラエル・ダグが言った「自信なくして能力は出しきれない」である。好きな選手はワールドカップに3度出場した日本代表SH田中史朗(キヤノン)。もちろん、将来は桜のジャージーを着てワールドカップに出るのを夢見る。「うまい選手ではなく、どんなときでも波のない、心の強い選手になりたいです」

紫紺の9番は、昨シーズンは出場できず悔しい思いをした早明戦や大学選手権といったビッグマッチで、この1年で成長した姿を見せてくれるはずだ。

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