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FWで勝る明治が優位 早稲田はハーフ団生かせるか 1日に25年ぶり「早明戦」全勝対決

前回の全勝対決だった1994年の早明戦。舞台は国立競技場だった(撮影・朝日新聞社)

関東大学対抗戦Aグループ 第7週

12月1日@東京・秩父宮
明治大(6勝)vs 早稲田大(6勝)

121日に関東大学対抗戦の「早明戦」がある。今年は早稲田、明治ともに開幕から6戦全勝。全勝対決の早明戦は実に1994以来25年ぶりだ。早稲田大が勝てば2年連続24度目の対抗戦優勝、明治が勝てば4年ぶり17度目の優勝となる。 

明治は早稲田が苦しんだ帝京と慶應にも快勝

 過去の対戦成績では早稲田大が58382分とリード。昨年も早稲田大が3127と勝った。ただ昨シーズンは大学選手権の準決勝で再戦し、明治大が31-27でリベンジ。大学王者に輝いた。今年6月の春の「早明戦」は明治が29-14で快勝している。

 互いに開幕戦からワールドカップの休止期間を挟んで6連勝と好調を維持している。データを見ると、得失点差は明治大の+374点(得点444、失点70)に対し、早稲田は+323点(得点383点、失点60)。明治が51点上を行く。

明治を引っ張るフッカーの武井主将(撮影・斉藤健仁)

 試合内容を見ても早稲田が帝京、慶應にどうにか勝利した一方で、明治は両大学にも快勝している。総合力は明治がやや上回っていると言えるだろう。とくに明治はFWの先発8人中、キャプテンのHO武井日向(4年、国学院栃木)を筆頭に5人が4年生、3年生が3人と上級生ばかりだ。

 PR笹川大五(4年、明大中野)はスクラムに定評があり、LO片倉康瑛(3年、同)はラインアウトの空中戦にめっぽう強い。またPR安昌豪(4年、大阪朝鮮)、LO箸本龍雅(3年、東福岡)、No8坂和樹(4年、明大中野八王子)はボールキャリアとして前に出る力に秀でている。

 早稲田としてはHO森島大智(4年、早稲田実)、LO三浦駿平(4年、秋田中央)、FL幸重天(4年、大分舞鶴)らを中心にスクラム、ラインアウトといったセットプレーでどこまで対抗できるか。最低でも四分六分まで持っていきたい。またゴール前で相手の大きなFWに対し、粘りのディフェンスで止め続けられるかどうかもキーポイントになる。

来年のサンウルブスのスコッドにも入った早稲田の齋藤主将(撮影・斉藤健仁)

 齋藤と岸岡、大舞台慣れしている早稲田のハーフ団

 早稲田はある程度FWで戦えれば、1年生から大舞台を経験しているキャプテンSH齋藤直人(4年、桐蔭学園)とSO岸岡智樹(4年、東海大仰星)のハーフ団がゲームをうまく運べるはずだ。2020年シーズンのサンウルブスのスコッドにも選出された齋藤の判断力、そして今年はトライも積極的を狙いにいっている岸岡のランにも期待したい。

 ただ早稲田がFWで劣勢になると明治のポテンシャルにあふれたハーフ団、攻撃的なSH飯沼蓮(2年、日川)とSO山沢京平(3年、深谷)の二人に余裕を与えてしまうことになり、やはり明治が優位になるだろう。

 BKの選手はほぼ互角と言っていい。早稲田にはWTBでもプレーできるCTB長田智希(2年、東海大仰星)、決定力の高いWTB古賀由教(3年、東福岡)、WTB桑山淳生(4年、鹿児島実)、FB河瀬諒介(2年、東海大仰星)と才能豊かな選手が多い。

 明治大のBKを見ても、ゲームコントロールもできるCTB森勇登(3年、東福岡)、縦に強いWTB山﨑洋之(4年、筑紫)、スピードが武器の副将WTB山村知也(4年、報徳学園) 、FB雲山弘貴(2年、報徳学園)とタレントがそろう。

早稲田の2年生FB河瀬(撮影・斉藤健仁)
明治の2年生FB雲山(撮影・斉藤健仁)

 河瀬と雲山、FBのマッチアップも面白い

 2年生FB同士のトイメン対決にも注目したい。ルーキーイヤーだった昨年の早明戦でも二人はマッチアップしたが、早稲田の河瀬、明治の雲山はともに、今年は力強さ、ハイボールキャッチやキックで成長した姿を見せている。二人の豪快なランやビッグタックルが勝負を決めるかもしれない。

 なお対抗戦のトライランキングは早稲田大SO岸岡、明治大WTB山﨑、FB雲山の3人が9トライで並んでいる。

 FWで勝る明治の優位は揺るがない。早稲田としては競った展開に持ち込み、走り勝つ展開に持っていきたいところだ。下馬評通りにいかないのが早明戦である。

 すでにチケットは完売しており、秩父宮に2万人を超える観衆が集まる。どちらの意地とプライドが上回るのか――95回目を迎える早明戦は121日、午後2時にキックオフの時を迎える。

 早稲田大学メンバー

【先発】1横山太一(2年、國學院久我山)2森島大智(4年、早稲田実業)3小林賢太(2年、東福岡)4三浦駿平(4年、秋田中央)5下川甲嗣(3年、修猷館)6大崎哲徳(2年、國學院久我山)7 幸重天(4年、大分舞鶴)8丸尾崇真(3年、早稲田実)9齋藤直人(主将、4年、桐蔭学園)10岸岡智樹(4年、東海大仰星)11古賀由教(3年、東福岡)12中西亮太朗(2年、早稲田実)13長田智希(2年、東海大仰星)14桑山淳生(4年、鹿児島実)15河瀬諒介(2年、東海大仰星)
【控え】16宮武海人(2年、早大学院)17久保優(3年、筑紫)18阿部対我(2年、早稲田実)19中山匠(4年、成城学園)20柴田徹(4年、桐蔭学園)21河村謙尚(2年、常翔学園)22吉村紘(1年、東福岡)23梅津友喜(4年、黒沢尻北)

明治大学メンバー

【先発】1安昌豪(4年、大阪朝鮮)2武井日向(主将、4年、國學院栃木)3笹川大五(4年、明大中野)4片倉康瑛(3年、同)5箸本龍雅(3年、東福岡)6石井洋介(4年、桐蔭学園)7繁松哲大(3年、札幌山の手)8坂和樹(4年、明大中野八王子)9飯沼蓮(2年、日川)10山沢京平(3年、深谷)11山﨑洋之(4年、筑紫)12射場大輔(4年、常翔学園)13森勇登(3年、東福岡)14山村知也(4年、報徳学園)15雲山弘貴(2年、同)
【控え】16松岡賢太(4年、京都成章)17山本耕生(2年、桐蔭学園)18大賀宗志(1年、報徳学園)19高橋広大(3年、桐蔭学園)20柴大河(3年、國學院久我山)21丸尾祐資(1年、報徳学園)22児玉樹(2年、秋田工)23石川貴大(3年、報徳学園)

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