サッカー

大学生フットサル「アイデムカップ」 関東代表の3チーム出そろう

死闘を制しFINAL出場権を獲得したチーム鈴木(すべて撮影・河合拓)

アイデムカップ2019関東セントラルFINAL出場決定戦

11月24日@埼玉・和光市総合体育館
FINAL進出:イナゴリズム、國學院大學7渡しFC、チーム鈴木

大学フットサルの日本一を決める「アイデムカップ2019」の関東大会が11月24日、埼玉県の和光市総合体育館であった。各予選を勝ち上がってきた16チームが参戦した関東大会は、見応えのある熱戦が続いた。関東勢は「アイデムカップ2013」で「早稲田大学百姓一揆」が優勝して以来、タイトルを獲得できていない。今回勝ち上がった3クラブは、全国大会での活躍も期待できる実力派ばかりとなった。

関東各地から16チームが集結した

16チームを四つに分けたグループステージから、全国大会出場につながるFINAL決定戦に進めるのは6チームのみ。大会は各グループの1位と、2位のうち成績上位2チームが勝ち上がるレギュレーションで進められた。午前中の予選から勝利への執念がにじむ戦いが繰り広げられ、午後のFINAL出場6チームが出そろった。

昨年の全国出場チームを破ったイナゴリズム

FINAL第1戦は、Bブロックで1位となり、1位チームのなかでも最高の成績を残した中央大学MAPLEと、Dブロック2位のイナゴリズムの顔合わせ。イナゴリズムはエントリーの7選手がすべて異なる大学から集まっているチームだ。予選リーグで12得点1失点と圧倒的な強さを見せつけてきた中央大学MAPLEが序盤から攻勢に試合を進め、先制点を挙げる。その後、1度は同点に追いつかれたが、勝ち越しゴールを奪って2-1で試合を折り返した。

イナゴリズムはシーソーゲームを制した

後半に入るとファーストプレーでイナゴリズムが同点に追いつく。これで試合の流れを変えたイナゴリズムは、1分も経たないうちに勝ち越しゴールを決める。リードを許すたびに中央大MAPLEも追いつくが、連続ゴールができない。3-3で迎えた後半5分からはイナゴリズムの樫平祥治(青山学院大2年)が連続ゴールを決め、5-3とリードした。中央大MAPLEも最後まであきらめずに攻めたが、反撃も1点にとどまり、5-4で試合終了。2ゴールの樫平は「昨年は出られなかったから、超気持ちいい。チーム名の由来となった岩切公亮がTOEIC受験のため不在だったので、彼を全国に連れて行きたかった。それが実現できてよかった」と、笑顔を見せた。

サッカーを出して勝ちたい

第2試合はAブロック1位の國學院大學7渡しFCと、2位のファンタジスタが激突した。予選リーグでは1-0という接戦をものにした7渡しFCは、リベンジに燃えるファンタジスタに力の差を見せつける。前半5分、右サイドから菅貴彰(平成国際大4年)が先制点を挙げると、6分にも鮮やかなパスワークで守備を崩し、スーパーゴールが生まれる。

7渡しFCは攻めの姿勢を見せ続けて鮮やかに勝った

前半で2点をリードした7渡しFCは、前半2ゴールに絡んだ菅をベンチに置く余裕を見せながらも得点を加える。後半5分にはカウンターの応酬となり、攻め残っていた選手がダメ押しのゴールを決めて3-0とした。最後までGK高田維斗(平成国際大4年)を中心とした守備も機能し、7渡しFCが2戦連続の完封で全国大会進出を決めた。菅は「全国大会ではフットサルに特化したチームも出てくると思います。僕たちは普段、サッカーをやっているので、フットサルチームに負けないくらい、サッカーを出して勝ちたいと思います」と、意気込みを語った。

守護神の負傷に奮起し、熱戦を制す

全国大会最後の切符を懸けたCブロック1位のチーム鈴木とDブロック1位の駒澤大学FC.AZULの試合は、名勝負となった。個々の能力の高い選手が集まるFC.AZULが、前半1分に強烈なシュートを叩き込んで先制する。後半に入ってもFC.AZULがチャンスを作り続けたが、なかなか2点目を決められない。

そんな中、懸命にゴールを守っていたチーム鈴木のGK井上法久(法政大4年)が相手と接触して負傷。井上は頭部を切り、プレー続行が不可能となってしまった。1点のビハインドに加えて守護神を失う苦境に立たされたチーム鈴木だが、このピンチに奮起した。「もうやるしかない」と声をかけ合って試合に戻ると、試合終了まで残り21秒というところで、CKを獲得。その流れから「ここまで思うように得点ができていなかったので、決勝はやらないといけないと思っていた」という佐藤拓海(駒澤大4年)が決め、土壇場で追いつく。試合は延長戦に突入した。

チーム鈴木はアクシデントにもひるまず、劇的な勝利を飾った

迎えた延長1分、ファウルを受けてFKを獲得したチーム鈴木は、同点ゴールを決めた佐藤が蹴る。「3枚で壁をつくるかと思ったら2枚で、シュートコースが見えました。そこに向けて振り抜くだけでした」という佐藤の強烈なシュートがゴールネットを揺らし、チーム鈴木が逆転に成功。その後猛反撃に出たFC.AZULの攻撃を「小3以来のGKでした」と急造GK堀川海都(日本医療科学大4年)を中心に凌ぎきり、チーム鈴木が全国大会への切符を手にした。

全国大会に3大会連続出場となるチーム鈴木、同2大会連続となる7渡しFCにとっては、全国大会を経験し、その雰囲気を知っていることは大きなメリットになるはずだ。初出場のイナゴリズムも含め、3チームが全国でどんな戦いを見せるかに注目したい。

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