大学陸上・駅伝

東京国際大・伊藤達彦 プレッシャーに勝つ好走、始まる世界への挑戦

5位入賞に貢献し、ガッツポーズでゴールする伊藤(撮影・藤井みさ)

第25回全国都道府県対抗男子駅伝

1月19日@広島・平和記念公園を発着点とする7区間48km
5位 静岡 2時間18分36秒
第7区5位 伊藤達彦(東京国際大学4年) 37分33秒

1月19日の全国男子駅伝で、静岡は5位となり3年ぶりの入賞を果たした。アンカーを任された東京国際大学の伊藤達彦(4年、浜松商)はガッツポーズでゴールテープを切った。

「達彦がなんとかしてくれるだろう」

期待に応える走りで静岡の3年ぶり入賞をもたらした。1区(7.0km)を走った伊藤の母校の後輩にあたる尾﨑健斗(浜松商高)が区間タイ記録の19分51秒、7位で通過。2区(3.0km)の杉浦柊人(吉田中)、3区(8.5km)の藤曲寛人(順天堂大4年、加藤学園)も順位をキープ。5区(8.5km)で14位まで沈むも、6区(3.0km)の馬場大翔(ひろと、御殿場中)が区間5位の走りで11位に浮上すると、8位入賞も見えてきた。監督やコーチたちは「達彦が何とかしてくれるだろう」と、伊藤へ期待を寄せていた。

襷を受け取った伊藤は軽やかに駆け出した(撮影・松尾誠悟)

3年連続で今大会に出場する伊藤は初のアンカー。圧巻の6人抜きでチームを5位に押し上げた。「かなりプレッシャーをかけられていたので、応えることができてよかったです」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

伊藤には今大会への不安があった。一昨年、昨年の2大会連続で3区を任されるも、区間29位と21位。「箱根終わりで合わせにくいこともあって、2年連続で自分が足を引っ張ってました」。今年はとくに疲労がピークを迎えていた。箱根駅伝後に来春から所属するホンダの練習に参加。今大会の直前まで奄美大島で走っていた。「足の疲労がとれなくて。調子がいいわけじゃなかったのでどうかなって思ってました。耐えられたのでホッとしてます」

相澤と「きょうは一緒に行けないな」

東洋大の相澤晃(4年、学法石川)は良きライバルだ。昨年7月のユニバーシアードハーフマラソンは相澤が金で、伊藤が銅。互いに意識し合う関係だ。箱根駅伝の2区(23.1km)では6km過ぎから約14kmを相澤と並走。何度か駆け引きを仕掛けるも、20.5kmでスパートをかけられた。「いままでで一番楽しかった」と語るように、伊藤と相澤は“長旅”を笑顔で走っていた。

1月2日の箱根駅伝、走る前にも笑顔で言葉を交わす2人(撮影・安本夏望)

今大会も二人の走りに注目が集まったが、相澤がいる福島は序盤で出遅れ、6区につないだ時点で27位。第6中継所で待機している間には相澤と「きょうは一緒に行けないな」と話した。相澤は26位で襷(たすき)を受けると、12人抜きで区間賞。伊藤は「調子がよくないこともあって勝てないと思っていたけど、(自分も)区間5位でちゃんとやっていれば勝てたかもしれないって思いましたね」と苦笑いだった。

日本を代表するランナーに

中学まではサッカー部に所属していて、足の速さを買われ、助っ人として駅伝に出場。高校から競技を始め、大学で才能が開花した。ラストイヤーは東京国際大から初の国際大会出場となったユニバーシアードに始まり、初もの尽くしだった。

初出場となった全日本大学駅伝で、伊藤は2区を走り13人抜き。箱根駅伝では総合5位で初のシード権獲得へ導いた。「成長できた4年間でした。4年目で(箱根駅伝の)シードをとれるまでに成長しました。高校で陸上をやめようと思ってましたし、大学でもやめようと思った時期もありました。でも、陸上しかないって思えるようになった。これからは日本を引っ張るランナーになりたいです」。取材中も笑顔の絶えない伊藤だが、表情をキリッとさせて言った。

伊藤は村山紘太(中央)、赤崎暁(右)に追いつくと一気に抜いていった(撮影・藤井みさ)

マラソンで2024年のパリオリンピックを目指す。まずはトラックで勝負し、マラソンに向けた足づくりをしていく。「これから社会人になり、全員が敵でライバルになります。設楽(悠太)さんや相澤に負けないように頑張りたいです」と闘志をたぎらせた。今シーズン大学長距離界で目覚ましい成長を見せた男を世界が待っている。

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