陸上・駅伝

連載:M高史の走ってみました

部員の7割が留学!「バイリンガル女子駅伝チーム」関西外大で走ってきました!

関西外大女子駅伝部の皆さん。明るくステキな笑顔で元気いっぱいでした!

「M高史の走ってみました」です。関西外国語大学女子駅伝部の練習に参加してきました。言語を真剣に学びながら駅伝も頑張る「バイリンガル女子駅伝チーム」です!

北京オリンピック代表・竹澤健介さんが指導する大阪経済大で走ってきました!

山本泰明監督「陸上も語学もコツコツと」

大阪府枚方市にある関西外国語大学中宮キャンパス。広大な敷地に清潔感のある美しい校舎、噴水、石畳、ガラス張りで開放感にあふれる教室。キャンパス内は海外からの留学生も多く、国際色豊か。思わず「通ってみたい!」とあこがれてしまうほど(笑)、素敵なキャンパスです!

正門には「全日本大学女子選抜駅伝競走出場!!」を祝う横断幕が飾られていました

女子駅伝部を指導されているのは、山本泰明監督(47)。筑波大学のOBです。筑波といえば今年、26年ぶりに箱根駅伝本戦に出場しましたが、前回に出たときに3区を走ったのが山本監督でした。その後、営団地下鉄(当時)で競技を続け、マラソンの自己ベストは2時間10分44秒。いまでも年に2、3本はマラソンを走るそうで、練習では選手のみなさんを引っ張ることもあります。

英語キャリア学部の准教授である山本監督は「陸上も語学もコツコツ続けるのが大切です。1日で急激に上達するものではないですからね」。優しく穏やかな口調で話されました。

優しくて穏やか、細やかな気配りで選手からの信頼も厚い山本泰明監督

希望すれば留学できる環境があり、女子駅伝部員の7割以上が短期留学をするそうです。短ければ5週間、長くて4カ月ほど留学する選手もいます。

留学中、ホームステイでお世話になったホストファミリーの皆さん(写真提供・関西外国語大学女子駅伝部)

留学中はそれぞれの環境で個人で練習を積みます。とはいえ数週間から数カ月もの間、何人もの選手がチームを離れるのは、全国レベルの駅伝チームとしては大変珍しいです。「陸上だけでは経験できないこと、留学でしか経験できないことがありますし、行けば視野も広がります。社会に出たときに役に立ちますし、より人生を豊かにするためです」。山本監督は選手のみなさんの今後の人生まで考えて指導されています。

留学中、タイミングが合えば現地のレースに出場することも。写真はRock‛n’ Roll Marathon in San Francisco(写真提供・関西外国語大学女子駅伝部)

女子駅伝部の卒業生には、英語の教員になった選手もいます。また航空会社への就職を希望している現役の選手もいるそうです。語学力を生かして進路を選ぶのは陸上選手としては珍しく、関西外大ならではですね!

朝からハイテンション! 元気に寮生活

19人の部員全員が寮生活を送っています。朝夕は管理栄養士さんによる献立で、バランスのとれた食事をしています。選手のみなさんによると、みんな朝からテンションが高くて「めっちゃにぎやか」だそうです(笑)。「食事のときから元気です(笑)。元気がないときも笑って元気になります(笑)」と口をそろえます!

元気いっぱい!寮の食事風景です。チームの明るい雰囲気が伝わってきますね!(写真提供・関西外国語大学女子駅伝部)

夏は北海道深川市内や岐阜県の御嶽で、冬は鹿児島県の奄美大島で合宿をしていいます。

留学、教育実習、課題と勉強も忙しいはずですが、みなさん勉強にも前向きで、長期休暇明けは「授業が始まるのが楽しみ」という声も聞こえてくるそうです! 学生の鑑(かがみ)ですね(笑)。みなさんのイキイキとした表情が印象的でした。

関西外大でやっていくには、必ずしも英語の成績が飛び抜けて優秀でなくても「英語が好き」「言語に興味がある」「やる気がある」のどれかに当てはまれば大丈夫とのこと。いろんなことに興味があって、語学も陸上も純粋に楽しめる人、そしてもちろん「このチームで走りたい」という人は大歓迎だそうです!!

ギリギリで富士山駅伝出場!

チームとしては2014年から5年連続で全日本大学女子駅伝(杜の都)に出場していましたが、昨年は出場を逃しました。

「前年が4回生中心のチームだったので、少し厳しい戦いになるもしれないとは思ってました。杜の都に出られなかったので、富士山駅伝はなんとか出たかったです」と山本監督。杜の都の予選にあたる関西学生女子駅伝のあとは、すぐに富士山出場に照準を合わせました。

5000m上位7名の合計でシード校以外の10番目となり、富士山女子駅伝出場を決めました(写真提供・関西外国語大学女子駅伝部)

12月の富士山女子駅伝に出場できるのは、杜の都で12位までに入ったチーム、そして全国の大学のうち、5000m上位7人の合計タイムの上位10校です。記録の有効期限はその年の4月1日から、エントリー前日となる12月1日まで。そのため11月は各校が記録会に出場、出場権獲得に向けてしのぎを削ります。

11月30日の記録会でライバル校に好記録が続出。背水の陣で臨んだ12月1日の京都陸協記録会でなんとか逆転し、ギリギリの10番目で通過を果たしました。

大事な練習の日にお邪魔しました

取材にうかがったのは昨年の12月下旬でした。この日のメニューは4000m〜6000m走。そのあと1000mを1本です。翌週の富士山女子駅伝の区間編成を決める、大事なポイント練習の日でした。

「そんな大事な練習のときに来てしまって大丈夫でしたか?」と心配していると、山本監督に「選手には緊張しすぎず、リラックスして走ってほしいので、ぜひ一緒に走ってください!」と言っていただいて、ホッとしました(笑)。選手のみなさんにも歓迎していただき、本当に感謝です。

スタート前に設定ペース、メンバー、引っ張りなどを再確認します

グラウンドは1周300mのタータントラック。外周にはウッドチップで舗装された1周333mのコースもあります。この日はタータントラックでの練習でした。

やや風が強かったのもあって、少しでもお役に立てればと思い、みなさんと相談したうえで前半はAチーム、後半はBチームに入りました。風よけになるつもりで、ところどころペースを引っ張りました。

途中、ペースを引っ張りました。皆さんいいリズムで走っていました

山本監督も軽やかな足取りで、ストップウォッチを握りしめながらBチームを先導して走られました。

現在も年に2~3回はマラソンに出場している山本監督。選手に声をかけながら走っていました

留学でも教育実習でも成長できた

練習後は選手の皆さんにもお話をうかがいました。

伊藤早紀選手(4年、岡崎学園)

「高校時代はけがが多かったのですが、将来は苦しい期間も生徒に寄り添える先生になりたい、と高校3年のときに思いました」

幼少期より英会話を習っていたという伊藤選手。「英語が好きでしたし、部のSNS更新頻度も多いし、楽しそうな雰囲気に惹かれて関西外大に進学しました。陸上も勉強もどっちも頑張れますし、陸上以外の友だちができるのも魅力です。留学はカナダのカルガリーに3カ月行ってきました。純粋に楽しかったですね。留学中にカルガリーマラソンにも出場しましたよ」。カナダで視野も広がったそうです。

伊藤早紀選手。4回生で迎えた富士山女子駅伝ではアンカーの7区を務めました

そして、もう一つの経験である教育実習は「教えること、伝わることで面白さを感じました」と振り返ります。「成長できましたし、いろんなことにチャレンジできた4年間でした。関西外大で競技生活や学生生活を送る中で、考え方も変わったし、応援してくれる仲間もいて、本当にここを選んでよかったです。」

卒業後は母校の岡崎学園で教員になる伊藤選手。生徒に寄り添える先生になりたいそうです。「夢に向かって努力できる人」「努力することが楽しめる人」「乗り越えた先に楽しみがあると思える人」を育てていきたい、と熱い志を話してくれました。

中村星香(せいか)選手(4年、美方)

伊藤選手と同じく、幼少期から英会話を習っていたという中村選手。関西外大女子駅伝部のホームページを見て、進学したいと思うようになりました。「留学もできるし、学校にジャージで行かない決まりもいいなと思いました(笑)」。授業と競技でスイッチを切り替えるところや部の雰囲気も魅力に感じたそうです。

アリゾナ州の大学に1カ月半ほど留学。さまざまな国の人が集まり、人間性も生活スタイルもいろいろ。母国語が違ってもコミュニケーションをとったり、思いを伝えたりする面白さがあったそうです。「いままで生きてきた世界は狭かったです! もっと視野を広げたい!」。人生観を変える経験となりました。

中村星香選手。4回生で走った富士山女子駅伝は最長区間の5区を担当

競技面については「3回生まで故障が続きましたが、3回生の秋から継続して練習できるようになりました。4回生になって3000m、5000m、10000mで自己ベストを更新することができました。最後の最後に富士山駅伝を走れたのは、本当によかったです」。

卒業後は大阪府内の公立中学校の教員に。「こどもがやりたいことを応援し、努力できる子を育てたいです」。故障を乗り越えて駅伝を走った情熱や諦めない姿勢は、生徒さんたちにもきっと伝わっていくのではないでしょうか。

西出優月(にしで・ゆず)選手(2年、大塚)

3000mSCへの熱い気持ちが伝わってくる西出優月選手。日本インカレでは同種目で3位に入っています

「高校2年生のときに進路を考えていたんですが、関西外大の練習を体験したときにチームの雰囲気のよさを実感しました。英語の勉強も好きでしたね」。1回生のときはネイティブの先生の授業(英語のみ)が必修で、週に4〜6コマあるそうです。「最初は難しかったですけど、必死で授業を受けているうちに、2回生になって理解できるようになってきました!」

英語のレベルアップと同様に、5000mの記録も17分12秒から16分17秒まで伸ばしてきました。

また西出選手は、3000mSCという種目に強い思い入れを持っています。「高校2年の夏、全国高校選抜の参加標準記録を突破したことで始めました(全国高校選抜の本番は2000mSC)。高3のときに大阪・長居で日本選手権が開催されて、3000mSCの表彰式で選手に花束を渡すプレゼンターをやりました」。そのときにはすでに、将来は日本選手権の3000mSCに出たいと決意していました。

そして「絶対に出たい」という覚悟で迎えた2回生、選手権前の最終チャンスにして、見事に日本選手権のB標準を突破しました。

初めて出た日本選手権では予選を通過して決勝に進出。自己ベストを更新する走りで10位。いまは「3回生で日本選手権3000mSC上位入賞! 4回生で日本インカレ3000mSC優勝!」を目標にしています。

またチームとしては「4回生のときに(杜の都の)シードをとれるようなチームにしたいです!」という決意を教えてくれました。走りで引っ張る西出選手に注目です!

富士山女子駅伝、そしてさらなる挑戦へ

取材の翌週にあった富士山女子駅伝。取材のときに「タイムの足し算だけではなく、襷(たすき)をつなぐのが駅伝です。走る選手もサポートに回る選手も一丸となって、一つでも上の順位を目指したいですね」と語っていた山本監督。本番では4区終了時に18位でしたが、そこから少し順位を下げ、総合23位でした。

富士山女子駅伝1区・森崎綾乃選手から2区・西出優月選手への襷リレー(写真提供・関西外国語大学女子駅伝部)

レース後に山本監督は「厳しいレースとなりましたが、これがいまの実力です。みんな頑張ってくれました。卒業で抜けるメンバーも少ないので、来年また上級生を中心にチームを引っ張っていってほしいですね」と、次回への決意を語りました。今回走った7人のうち、5人が1、2回生という若いチーム。来年に期待ですね!

早くも来シーズンに向けてチームは動き出しています!(写真提供・関西外国語大学女子駅伝部)

語学も陸上もコツコツがんばる関西外国語大学女子駅伝部のみなさん、ありがとうございました!

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