アメフト

同志社WR丹澤久輝 バスケから転身、2年目で奪い取ったスタメンの座

丹澤は185cmの高身長を生かし、高く浮いたボールも捕球する

「歴史を塗り替える」。そう意気込んで挑んだ夢の舞台、アメフト関西学生リーグ1部。しかし思いは届かず、同志社は1勝5敗1分で2019年度のシーズンを終えた。その中でシーズンを通して著しい成長を見せ、頭角を現した選手がいる。WRの丹澤久輝(2年、同志社国際)だ。

大学に入ってバスケから転身

丹澤は今シーズンから出場機会を得て、リーグ後半ではエースレシーバーと言っても過言ではない活躍を見せた。中学時代からは6年間バスケットボールをしていた。大学に入り、新しいことがしたいと悩んでいたとき友人に「WRできるんちゃう?」と誘いを受け、アメフト部に入ることを決意した。

しかしバスケットボールとの競技性の違いから、なかなか思うようなプレーができず、1年目は伸び悩んだ。だが丹澤は「嫌なことから逃げ出したくない」という一心で練習し続け、ついにスタメンの座を奪い取った。

2年生WRコンビの活躍で初勝利

リーグ序盤の2戦では1部のトップである関西学院大、立命館大に圧倒的な力を見せつけられ、大敗を喫した。続く第3節では先制点を奪うも逆転負け。黒星が続いた。

丹澤にとって初めてのアメフトシーズンは緊張から周りが見えず、毎試合で課題も見つかり、順調とは決して言えない状況が続いた。また、初めてのコンタクトスポーツということもあり、強豪校との激しいヒットやタックルにおびえてしまい、思うようにプレーができなかった。

それでも試合を重ねるにつれ、1部の激しいコンタクトにも慣れていき、周りをよく見られるようになっていった。そうすると、パスプレーでは高身長を生かしたパスキャッチでゲインを獲得することが増え、なにより「相手を倒す」というコンタクトスポーツでは重要となる強い気持ちが芽生えてきた。

第4節の近畿大戦では互いに均衡を崩せずドローに。連敗を脱し、このまま流れに乗っていくかと思われた。しかし続く京都大戦では前半をリードで終えるも、後半に巻き返されて敗れてしまった。

次の神戸大戦では何度もゴール前まで攻め込む場面はあったが、TD(タッチダウン)を取り切れず、無念の今シーズン初の完封負けを喫した。

絶対に負けられない最終節・龍谷大戦。12点を奪うも、4クオーター(Q)終了間際に逆転。敗北の2文字が脳裏によぎるも、それを振り払うかのように攻撃陣が奮起。2年生WRコンビの丹澤と大山が大活躍を見せ、攻め込む。試合終了残り2秒。ラストプレーは主将・笹尾健(4年、近大付)のFG(フィールドゴール)に託された。笹尾の右足から放たれた楕円級はポールに吸い込まれ、逆転。ついにリーグ戦初勝利をつかんだ。

この結果から同志社は1勝5敗1分。6位で近大と並んだため、抽選により同志社の入れ替え戦出場が決定した。

3年生としての決意

甲南大との入れ替え戦、丹澤は「悔いのないようにやれよ、絶対に後悔するぞ」という先輩からの言葉を胸に、フィールドに立ち続けた。

去年も対戦した甲南大を寄せ付けない展開となり、35-8と快勝。1部の意地を見せ、残留を果たした。この試合ではパスプレーでターゲットになることが多く、安定したキャッチ力、身長を生かしたキャッチでオフェンスをけん引し続けた。さらに、ゴール前ではショートパスをダイビングキャッチ。自身初のTDを獲得した。「素直にうれしかった」と笑顔で語った。

入れ替え戦では自身初のタッチダウンを獲得した

来シーズンも1部の舞台で戦うことになった同志社。10年連続で出場している入れ替え戦を避け、歴史を塗り替える。

丹澤は3年生となり、チームを引っ張っていく存在となる。「レシーバーの大黒柱となって最強のレシーバーユニットを作りたい」。WRが攻撃陣をけん引し、WILD ROVERを勝利へと導く。

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