法政ORANGE 復活のRB小林颯希が最後に決めた「魂のタッチダウン」
昨年12月8日、法政大学アメフト部ORANGE(オレンジ)にとって今シーズン最終戦となった東京ボウル。RB小林颯希(さつき、4年、法政二)は試合途中から出場し、決勝点となるタッチダウン(TD)を決めた。今シーズンにやっとけがから復帰した男が、最後の最後に魅せた。
「フィールドでしっかり恩返ししたい」
小林は言う。「苦しさの方が多い4年間でした」。2、3年生ではけがで戦線を離脱。成長著しい下級生時代をけがで思うようにプレーできず、楽しさよりも苦しさが勝る日々が多かった。しかし、そんな時期でもチームメイトは小林に対し、「お前はリハビリに集中しろ」「チームのことはいいからお前はリハビリを最優先に考えろ」と励ました。その間、小林は「フィールドでしっかり恩返ししたい」と強い気持ちを持ち続け、4年生のラストシーズンでフィールドへと帰ってきた。
復帰戦となった昨年9月14日の慶應義塾大戦は、途中から出場。一進一退の激戦を見せる中、最終クオーター(Q)に小林はTDを決め、自身の復活をプレーで示した。
法政大は惜しくもTOP8優勝を逃し、東京ボウルへと駒を進めることとなった。東京ボウルこそは何としても勝ちたい。試合前から小林も含め選手全員が気合の入ったアップをしていた。
小林が自ら飾った花道
岩田和樹(4年、法政二)主将率いるチームの最終戦ということもあり、何としても負けられないという気持ちがプレーにこもる。前半から法政大は、TOP8を沸かせたエースナンバーを背負う阿部快斗(3年、横浜立野)とルーキーの星野凌太朗(1年、日大三)がこの試合も激走。また、オプションプレーを得意とするQB勝本将馬(4年、法政二)の果敢なランで前半から大量リードし、関西代表の神戸大を突き放していた。そんな中、ついに小林がフィールドへと足を踏み入れる。
後半になり徐々に神戸大が点差を詰めていく中、最終Qで小林がTDを決める。試合終了間際に順調に敵陣に攻め込んでいく。この場面で小林は中央へのランで敵陣ディフェンスを交わしTD。けがで苦しめながらもひたむきに練習に取り組んできた、小林の4年間のすべてが詰まった「魂のタッチダウン」であった。「結果を残せたのは一番よかった」と、自身の花道を自らの活躍で飾った。
苦しくも戦い続けた4年間。小林にとっては激しいロースター争いや試合での対戦だけでなく、けがとの戦いでもあった。くじけそうなことも何度もあっただろう。それでも前を向き続けた。「くじけずにやりきったことが、自分の誇れるところ」と笑顔を見せる。
小林は試合後のインタビューで、「明日もひょこっと(練習に)行ってしまいそうな気がする」と、悲しそうな表情で4年間を振り返った。それでも最後は「(来年は)日本一に一番期待してます」と、笑顔で後輩たちにエールを送った。